あんさんぶるガールズ‼~転校生と少女たちの日常~   作:ファントムベース

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今回はみつるちゃん回です。


第4話「王子様」

一通りの授業が終わった放課後。校舎では生徒たちが教室で仲良く談笑しあっていたり、ユニフォームに着替えて部活動に向かったりしていた。

そんな中、裕也は生徒会からのパシリ…もとい手伝いで、副会長の『四方みつる』と共に部活動会議で使用する書類の山を運んでいた。

 

 

「すまないね裕也くん。手伝ってもらって」

 

「別に構いませんよ。それに先輩1人じゃ、何度も往復することになって大変でしょうし、このくらいならお安い御用です」

 

 

本来なら他の生徒会メンバーがやるべき事なのだが、生徒会長のひまりは危なっかしくて頼めないし、書記の双子はまず生徒会にほとんど来ない。書記の『悠木ともこ』も剣道の大会が近いとのことで部活に行っているらしく、頼めるのが彼しかいなかったらしい。

 

 

「みんなが噂している通り、裕也くんは本当にお人好しなんだね」

 

「自分でもそう思っているので、否定はしません」

 

「そして学院の女の子をとっかえひっかえして、いやらしいことをしているとか…」

 

「ちょっと待ってください⁉何かあらぬ誤解を招くような噂まで流れてません⁉」

 

 

男の威厳を損なうような噂が流れている事に、軽くショックを受ける裕也。

そんな彼を見て、みつるは「ふふっ」と小さく笑う。

 

 

「冗談だよ。本当にそんな噂が流れていたら、君は今頃風紀委員のお縄についているはずだよ」

 

「た、確かに…」

 

 

みつるに言われて、裕也は気づく。確かにそんな噂が広まっていたならば、彼を捕まえるべく風紀委員が探しているはずだ。

 

 

「だとしてもそんな冗談を言わないで下さいよ、めっちゃ焦ったじゃないですか…」

 

「はっはっは、ごめんごめん。少し場を和ませたかったのさ」

 

 

裕也に睨み付けられ、みつるは笑って謝る。そんなやり取りをしているからか、廊下や教室にいる生徒たちが2人に注目しており、何やらキャッキャと話している。

 

 

「ねぇ、あれ見て。黒崎くんと四方先輩よ」

 

「ほんとだ!学院屈指のイケメン同士が並んで歩いているわ!」

 

「誰かカメラは持ってないの!2人を写真におさめないと!」

 

「そして薄い本の資料に‼」

 

「「………」」

 

 

何か聞こえてはいけない単語が聞こえた気がしたが、2人はとりあえずスルーして生徒会室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

到着した裕也とみつるは生徒会室に入るが、中にはひまりの姿はなかった。彼女は定期テストの点数が悪かったため、補習に行っているらしい。それでいいのか生徒会長、と裕也は心で呟いた。

 

 

「これで最後っと…」

 

 

運んできた書類の山を長机の上に置く。長机には書類だけでなく、資料などが山積みになっており、少しでも動かしたら崩れてしまいそうであった。

 

 

「今日は本当にありがとう。はい、お茶だよ」

 

「あ、どうもです」

 

 

裕也にお茶の入った湯呑みを渡し、みつるは彼の隣に座った。

 

 

「こうやって君と2人きりになるのは初めてだね」

 

「そういえばそうですね」

 

 

大抵は生徒会室にひまりやともこがいるため、みつると2人きりでいるのは何気に初めてである。それを認識した瞬間、裕也とみつるは変に互いを意識してしまい、顔を背けた。

それもそのはず。個室に男女で2人きりなんてシチュレーションにドキドキしない人間がいるだろうか。いないはずだ…おそらく。

 

 

(やべ…なんかドキドキしてるぞ俺)

 

(ど、どうしよう…男の子と2人きりの時って、何を話せばいいのかな)

 

 

特に話すこともなく、ただお茶を飲むだけの2人。さすがに気まずいと思ったのか、みつるから話題をふった。

 

 

「そ、そうだ裕也くん、今日はお礼をさせてよ。いつも手伝ってもらったのに、僕たちからは何もしていなかったからさ」

 

「うーん、いきなり言われましても…」

 

 

お礼と言われて考える裕也だが、やってもらいたい事が何も思いつかなかった。

 

 

「何でもいいんすか?」

 

「うん。けど僕の出来る範囲まででお願いね」

 

「それじゃあ…」

 

 

裕也は湯呑みを机に置くと、みつるに顔を近づけて言った。

 

 

「俺、みつる先輩が欲しいです」

 

「うん、わかった…え?」

 

 

一瞬2人の間を静寂が包んだ刹那、「え、えええぇぇぇっ⁉」とみつるの絶叫が生徒会室に響き渡った。

 

 

「ぼ、ぼぼぼ僕が欲しいって、本気で言ってるの⁉」

 

「本気で言ってたら…どうします?」

 

「えぇ…⁉」

 

 

キスしてしまいそうなくらいに顔を近づける裕也に、みつるの鼓動はどんどん早くなる。

 

 

(ど、どうしよう!このままじゃ僕、裕也くんに…)

 

 

もはやどうすればいいかわからず、顔を真っ赤にしてキュッと目を瞑るみつる。しかし裕也は何もせずに、彼女から顔を離した。

 

 

「冗談ですよ。本気でそんなこと言ってみつる先輩を独占したら、先輩のファンに怒られちゃいますからね」

 

「ふ、ふぇ…?」

 

 

どうやら裕也はさっき廊下でみつるが言った冗談のお返しをしたかったらしく、彼女をからかったようだ。

と、制服のポケットに入れてた裕也のスマホの着信音が鳴った。

 

 

「あ、ちょっとすいません(ピッ)。もしもし?おおなつみか、どうした。…今日夕食を作ってあげるから、一緒に買い出しに行こう?なんで俺が行かないといけないんだよ。…はいはい、わかりました行きますよ行けばいいんだろ。…はいはい、じゃあな(ピッ)」

 

 

電話相手はなつみだったようだが、何やら無理矢理買い物に行く約束を取り付けられたらしく、すごく嫌そうな顔をして電話を切る。

 

 

「すいません先輩。お礼はまた今度お願いしますね、それじゃ」

 

 

そう言い残して裕也は生徒会室を出ていく。顔を真っ赤にしたみつるは、その場にへたり込む。

そこへ補習を終わらせたひまりが駆け込んできた。

 

 

「い、今戻ったぞミッチー!すまん、補習に時間がかかってしまった…ってどうしたのだ?」

 

「え、いや何でもないよ⁉それよりもひまり、来たならこの書類の確認を早くやっちゃうよ」

 

「む、そうだな!よーし、せいとかいちょお頑張っちゃうぞー‼」

 

 

やる気満々にひまりは書類の確認に取り組む。みつるも椅子に座って取り掛かるが、先程の事で頭がいっぱいであった。

 

 

(僕が欲しいなんて…そんなこと言われたら本気にしちゃうじゃないか。裕也くんの…馬鹿)

 

 

そこにいるのは『王子様』としてではなく、『お姫様』としての四方みつるであった…

 

 

次回に続く…




書いていて気づいたんですが、前回と展開が若干被っていました(笑)
次回は裕也の話を予定しております。あと、6話についてアンケートを取ります。詳しくは活動報告を見てください。
感想、ご意見お待ちしております。
では、また次回。
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