あんさんぶるガールズ‼~転校生と少女たちの日常~   作:ファントムベース

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更新が2ヶ月も遅れてしまい、スンマセンでした。
さて今回は黒と影さんのリクエストである、そらちゃん回です!

では、どうぞ。


第7話「大切な人」

午前の授業が終わり、お昼休みの時間。

裕也は購買で昼食のパンと飲み物を買うと、自身の教室ではなく屋上へと向かった。特に理由はないのだが毎日女子に囲まれている生活を送っているため、たまには1人でいたい時がある。それに屋上は校則上あまり近づく生徒がいないので、1人になるにはもってこいの場所なのだ。

屋上に辿り着くと、裕也は錆びた出入口の鉄扉を開ける。

 

 

「…あれ?」

 

 

屋上に足を踏み入れた裕也は、自分以外の人物がいた事に気づく。艶やかで長い銀髪に背が高く、全体的に浮世離れした女の子…3年の『時国そら』は1人ベンチに座り、ポーッと空を見上げていた。彼女の傍らには購買で買ったパンが入ったレジ袋があるので、裕也と同様にここで昼食をとるつもりのようだ。

とそらは裕也に気づいたらしく、出入口に目を向けた。

 

 

「あ、転校生くん…」

 

「どうもっす時国先輩。1人で昼食ですか?」

 

「そうだよ。もしかして転校生くんも?」

 

「まあそんなところです。あ、隣いいですか?」

 

「うん、いいよ」

 

 

裕也がそらの隣に腰掛けた所で、2人の会話は止まってしまう。

 

 

「……」

 

「……」

 

(うう…この沈黙はきついなぁ…)

 

 

沈黙がつらくなり、彼女が好きそうな話題を考えるが何も思いつかない。

 

 

(そういえば時国先輩って何が好きなんだろう…?)

 

 

よくよく考えれば彼自身、そらの事についてほとんど何も知らなかった。知っていることと言えば、電波的な言動が多くて一部の生徒から変人や電波女扱いされていることと、3年の双葉姉妹のいるオカルト研究部に所属していることくらいだ。

 

 

(…いい機会だから、色々と聞いてみようかな)

 

 

裕也はそらの方へ顔を向け、言った。

 

 

「あの、時国先輩。聞きたいことがあるんですがいいですか?」

 

「いいよ。何かな?」

 

「あのですね、良ければですが時国先輩のこと色々と教えてくれませんか?」

 

「私のこと…?」

 

「はい。先輩の好きなものとか、色々と知りたいんです」

 

「…………」

 

 

そらは答えようとするが、躊躇うように口を閉じた。彼女はあまり自分のことを他人に話すのが好きではなかった。もし話した時に引かれたり、嫌われたりするのがとても怖かったからである。

でももしかしたら彼に…転校生(裕也)になら、自分のことを話すことが出来るかもしれない。

意を決したそらは裕也に自分のことを話した。自分の耳のことや家族のこと、周囲のことなどを洗いざらい全てである。

そらが話している間、裕也の顔は真剣そのものであった。

 

 

 

 

 

 

 

「そうだったんですか…先輩はそんな苦労をしていたんですね」

 

 

そらが話し終えると、黙って話を聞いていた裕也の表情は少し暗かった。

彼にそんな顔をしてほしくなかったが、自分のことを話す以上こうなってしまうことは覚悟していた。

申し訳ない気持ちでいっぱいのそらは彼に謝ろうとするがその時、裕也がそっと彼女の手を握り言った。

 

 

「ねえ時国先輩。だったら今から楽しい思い出を作りましょうよ」

 

「え…?」

 

「昔あんず姉に言われたんですけど、辛い事や苦しい思いがあったならその分楽しい思い出を作れって。だから先輩もこれから楽しい思い出を作っていけばいいんですよ」

 

「で、でも私に楽しい思い出を作れることが出来るかな…」

 

「きっと出来ますよ!人間は誰だって必ず楽しい思い出を作れるって、どっかの偉い人だったか学者が言ってました!たぶんですけど‼」

 

 

確証がないことを言いながら、笑顔でサムズアップする裕也。

だがそれだけでもそらは嬉しかった。誰も苦しむ自分に手を指し伸ばしてくれなかったのに、彼は手を伸ばし理解してくれた。それがとても嬉しくて嬉しくてたまらなかった。

 

 

「…そうだね。転校生くん、私いっぱい思い出作れるように頑張るよ。ところで転校生くん、その…そろそろ手を離してもらっていいかな」

 

「え?」

 

 

裕也は自分の手に視線を向けてハッとすると、握っていた彼女の手を離した。

 

 

「す、すいません!つい…」

 

「う、ううん。大丈夫だよ…」

 

 

変に意識してしまい、顔を赤くする2人。まるで付き合いたてのカップルのようである。

 

 

「ねぇ、今度はあなたのことについて教えてくれる?」

 

「俺のこと?」

 

「うん。私が教えたのに転校生くんが教えてくれないなんて、不公平だと思う」

 

「言われてみればそうですね。何から聞きたいですか?」

 

「それじゃあね…」

 

 

それから2人の時間はあっという間に過ぎていき、まもなく午後の授業が始まる時間になろうとしていた。

 

 

「もうこんな時間になっちゃった。教室に戻らなきゃね」

 

「そうですね。結局昼飯は食わずじまいでしたけど」

 

「ふふ、そうだね」

 

 

話をするのに夢中になり過ぎて、2人揃って昼食抜きで午後の授業を受けるはめになってしまったようだが、そんなことは気にもならない。

2人にとってさっきの時間は、互いを知ることが出来た貴重な時だったのだから。

 

 

「今度またここでお話ししようね、転校生くん」

 

「はい、その時はまたぜひ誘ってください。あそうだ、今度から俺のことは『転校生くん』じゃなくて、名前で呼んでください。それじゃお先に」

 

「うんわかった。またね、『黒崎くん』」

 

 

裕也が出入口の先に消えると、そらは再び空を見上げる。空は雲一つない、青く澄み渡った青天であった。

 

 

「黒崎裕也くん…初めて出来た私の大切な人…」

 

 

そらは初めて出来た自分の理解者である彼の名を呟く。その度に胸の奥で何か暖かいものが広がるのを感じた。

しかしこの時の彼女はまだ知らない。これがほのかな恋心であり、彼女にとっての初恋となることに。

 

 

次回に続く…




本当に更新が遅れてしまい、すいませんでした。
理由として、大学のレポート&テストの追われてたのとモチベーションがいまひとつ上がらずに書けなかったからです。
おかげで年末ギリギリに出すことになってしまいました。しつこいようですが、本当に申し訳ない…
これからも遅れてしまうかもしれませんが、頑張って投稿しますのでこれからもどうかよろしくお願いいたします‼

さて次回は、本気さんのリクエストであるしおんちゃん回です。

では読者の皆様、よいお年を!
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