あんさんぶるガールズ‼~転校生と少女たちの日常~   作:ファントムベース

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どうもお久しぶりです。5ヶ月近くも投稿しなくてすみません。
大学の実験レポートに加えて、モチベーションの低下やネタが思いつかないなどで中々投稿できずにいました。
夏休みに入れば投稿ペースは少し早くなるかもしれませんが、それでも遅くなるかもしれません。
まあ何はともあれ、本編へどうぞ。


第9話「『料理』と書いて『DEATH』と読む」

「わっせ、ほいせ、わっせ、ほいせ、…」

 

 

お昼休み。裕也は家庭科の先生から頼まれた段ボール箱を、家庭科室に運んでいた。段ボールの中には野菜や米、調味料といった食材が入っているらしく、次の授業で1年生が調理実習で使うものらしい。

 

 

「てかこの量、いったい何作らせるつもりなんだ先生は…」

 

 

段ボール箱の中の食材を見ながら、裕也は呟く。どう見ても1クラスで使いきれる量ではなく、どちらかといえば学園祭の模擬店とかで使う量であったからである。

料理研究部でも使うのだろうかと思いつつ、裕也は家庭科室近くまで来た。

 

 

「ふぅ、やっとついた。さて、とっとと荷物を中に…⁉」

 

 

家庭科室の前まで来た裕也は扉に手をかけるが、『ピロリロリーン!』とニュータイプ的な何かが彼に危険信号を知らせる。

人間としての…というより生物的本能がここ(家庭科室)に入ることを躊躇わせた。しかしいつまでもここに突っ立っている訳にはいかない。

 

 

「…ええい、ままよ!」

 

 

覚悟を決め、裕也は扉を開いて中へと足を踏み入れる。がその瞬間、部屋中に漂うこの世のものとは思えない悪臭が彼を襲った。

 

 

「うぐっ…⁉」

 

 

反射的に鼻と口を手で覆って意識を持ってかれるのを阻止しつつ、この悪臭の原因を探す。

 

 

「るんたった~るんたった~♪」

 

 

…と思ったが、案外一瞬で原因とその犯人を見つける。窓際の黒板に近いコンロで、謎の歌を口ずさみながら鍋の中をかき混ぜるのは『氷野くるみ』だ。

 

 

「…おい、くるみ。こんな所で何してる」

 

「あ、黒崎先輩!実はですね、身体の弱い八朔先輩のためにくるみ特製☆健康スペシャル料理を作っているんですYO!」

 

 

やたらハイテンションに満面の笑みで答えるくるみだが、鍋から漂う瘴気や毒々しい色合いのヘドロ状のそれは、どう考えても人間…というより生物が食べる物ではない何かだった。

これをもしつゆりが食べてしまったら、健康どころか悪化してしまいそうなのだが、これでも人のことを思って作っているようで『砂賀みどり』曰く「悪意がないから余計にタチが悪い」らしい。

 

 

「ちなみにみどり部長に試食してもらいましたよ。そしたら美味しすぎちゃったみたいで、その場に倒れ込んじゃいました♪」

 

「くそっ、既に犠牲者が出ていたか…‼」

 

 

出来れば被害ゼロでこれを処理したかったが、既に遅かったようだ。心の中で犠牲者を弔いつつ、裕也はこの殺人料理をどうするか考える。

 

 

「ところでくるみ。こいつにはいったい何を入れたんだ?」

 

「えっとですね、とにかく身体に良さそうなものをいっぱい入れましたよ~。タマネギやオクラなどの野菜に、納豆、鯖の缶詰、学園裏で採った草とか木の実を入れてみました!あ、それに蜂蜜とチョコレートも入ってますよ♪」

 

「…………」

 

 

自慢げに材料を説明するくるみだが、それを聞いている裕也は段々と気分が悪くなっていった。もはやこれを聞いて誰も食べたいとは…というか、見た目でまづ近づく者すらいないだろう。

だがこれを早くどうにかしないと、更なる犠牲者が増えてしまう。そこで裕也は1つの手段を思いつく。そう、それは…

 

 

(スケープゴートか…)

 

 

スケープゴート…それは全を助けるために一を犠牲にするという、ある意味残酷な最終手段だ。今回の状態に照らし合わせると、つゆりを助けるために、誰かがこの殺人料理を全て食すという事である。

だがこの場には犠牲に出来る者はいない。仮にいたとしても、絶対に裕也はしないだろう。何故なら――

 

 

「なぁくるみ。この料理、全部俺が食っていいか?」

 

 

――――彼自身が、その犠牲になるからだ。

 

 

「別にいいですよ~♪後でまた作りますから、たーんと食べてくださいね~」

 

「ありがとう。では…」

 

 

裕也は鍋を自分のもとへ持っていき、スプーンを手に取る。今までお世話になった方々、一緒にふざけ合った親友たち、そして両親と姉のあんずのことを思い返しながら彼は叫ぶ。

 

 

いただきますっ(南無三)‼」

 

 

 

 

 

 

「…ご馳走様でした」

 

 

わずか数分でくるみの料理を食べ終えた裕也は、どこからともなく取り出した紙に素早く何かを書き入れてくるみに渡した。

 

 

「くるみ、次作るときはこのレシピ通りに作れ。もちろん余計なものは入れるな、いいな?」

 

「うーん、よく解らないけどわかりました♪わたし頑張りますYO!」

 

キーンコーンカーンコーン…

 

 

と、ここでお昼休みの終了5分前を知らせるチャイムが鳴った。

 

 

「お、もうこんな時間になってたのか。後片付けはしておくから、くるみは先に教室に戻っていいぞ」

 

「ありがとうございます~。黒崎先輩、お言葉に甘えて先に失礼しますね~♪」

 

 

ペコリ☆、とおじきをしてくるみは家庭科室を出ていく。彼女の姿が見えなくなると、裕也は崩れ落ちるように膝をついた。

 

 

「へ、へへへっ…何だよ、俺も結構食えるじゃねぇか…!」

 

 

顔色が真っ青を通り越して白くなっていき、意識もいつ途切れるかもしれない中、裕也は最後の力を振り絞って前へ進もうとする。

 

 

「俺は止まらねぇからよぉ。お前らも…止まるんじゃ…ねぇ…ぞ…ゴフッ」

 

 

しかしその言葉を最後に、裕也は口から(マジで)吐血してその場に倒れ込み、そのまま目を閉じて動かなくなった…。

 

 

 

その後、彼の亡骸(?)は家庭科室にきた1年生たちに発見され、警察や救急車を呼ぶほどの大惨事になるのだった…

 

 

次回に続く…?




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