またまた、自分好みの中也になりました…
キャラ崩壊は気にしないで下さい…(気になると思いますが…
それでも大丈夫な方は読んで下さい!
『其のことでさ、少し話がしたい。』
胸が痛む。あの時の事を太宰は何と云うのだろう。何を話すのだろう。俺が思考を巡らせていると太宰は返事を待たずに話し始めた。
「中也は、私の事、許してくれるかい?」
なんの事だ…?俺を置いていったことか…?
「4年前、何も云わずに出て行った事を。」
其の言葉を聞いた瞬間、胸が痛むのと同時に、何とも言えない、満たされた感じがした。
少しでも気にしていて貰えた。俺が、引き止められなかった事を後悔していた様に、太宰も何も云わずに出て行った事を、後悔していたんだろうか。
「許すも何も、俺だって、何も云わなかった。手前の様子がおかしかったのに気づいてたのに。だからもういい、忘れたい。」
本心だった。どれだけ後悔したって無駄なんだ。だったらもう、忘れたい。
「駄目。…ごめんね、君に辛い思いをさせてしまった。ホントにごめんね。」
太宰の謝罪を聞いていたら涙が滲んできた。
「そんなッ、事云ったって、手前には、わかんねぇだろ!俺が、どんだけ、苦しかったか!俺は、手前に、置いていかれたんだよ…。捨てられたんだよ、俺じゃ、駄目だった。手前の横にいるのは…。俺じゃ…なかった…。」
嗚呼、云うつもりはなかったんだけどな…。こんな事云ったら、嫌われちまう。
「ごめんね、ホントに。確かに、私は中也の苦しみは判ってあげられない。でも謝らせて。そして、云わせて。私は君が嫌いで何も云わなかった訳じゃないし、君より織田作が好きだった訳でもない。」
何で…?其れは4年間俺が、考えてた事…。ずっと考えていた、可能性。そんな事まで、態度に出てた…?
「それに、君に対して怒ってもないよ。」
一呼吸置いて、太宰が云う。其の言葉は、冷たく、鋭く胸に刺さった。
太宰の放つ空気が変わる。怖い。此れだけで人を殺せるのではないかと云うほどの殺気。口は笑っているが、目は笑っていない。向かい合っているだけで、冷や汗が浮かぶ。
「だざッ、あ、悪い、ごめんっ。」
口も回らない。太宰は怒ってないと云う。然し、謝らなければならない気がした。
太宰が何の事を云っているのか、何となく判ったから。…織田の死の原因を作ったのが、自分だという事。多分、其れだ。
「ごめんね?別に怒ってないし、中也は謝らなくても大丈夫だよ。」
…怖い。こんな殺気、太宰から向けられた事がない。どうしよう。兎に角、謝らなければ、許してもらわなければ。
「ぁ…だざい、ねぇ、ごめッ、ごめ、なさい。ッごめんなさい。ごめんなさい。」
怖い怖い怖い。太宰に嫌われたかもしれない。兎に角、怖い。
口の中が乾いてきた。目からはボロボロと涙が零れる。…また、置いていかれる。そう思うと尚更怖くなって、太宰の腕を掴んだ。
「中也、ごめんね。さっき、君の書斎に入って、あの手紙読んじゃったんだ。…中也?」
「だざ、い…あの、手紙を読んだのか…?」
何とか息を整え、尋ねる。
あの手紙は4年前からずっと毎日の様に書いていた物だ。内容はどれもそんなに変わらない。殆どが太宰への想いを綴った物だ。中には詩のような物もある。
然し、その中には其れだけでなく、4年前に俺が、太宰の友人である織田の死の原因になった組織。…ミミックが此の横浜に入る手引きをした事も書いてあったはずだ。
やっぱり、あれを読んだのか…?
「だ、ざい、あの、悪い、黙ってて…ホントに、悪かった。ごめん…。」
兎に角、謝る。謝っても済むことではないけど、今となっては其れしか出来ないから。
「中也、謝らないで?ごめんね。君はあの後、首領に云いに行ったんだろう?」
そう、織田が死んだ事を聞き、太宰が離反した後、何故、織田が死んだのか、何故太宰が離反したのか理解った。正確には、太宰の心境などではなく、誰がそれを望み、原因を作ったか。…首領だった。
俺にミミックの手助けを命じたのも首領。織田に太宰のもう一人の友人、安吾の捜索を命じたのも首領。
恐らく首領は、特務課との取引、そして、手元に在ると何かと不都合である危険な駒…つまり太宰を組織から追い出す為に仕組んだのだろう。
そう思った俺は首領の所へ行き、文字通り決死の覚悟で首領に抗議をしに行った。
…抗議と言うよりかは、途中から俺がただ喚き散らしているのを首領が聞いているような、そんな感じだった。その時の俺は、首領に大声で怒鳴れる位には必死だった。
流石に手は出さずに、話し合いだけで済んだが姐さんが居なければもっと大事になっていたかも知れない。
暫くして、太宰の問いかけに対して小さく頷く。
「ごめんね、居なくなっちゃって。あの手紙を読む迄、君が謝れなくて、苦しんでいたのに気付かなかった。私が居なくなった事で、中也がそんなに辛い思いをするとは思っていなかったんだ。」
少し、沈黙が続く。一呼吸置いて太宰がまた口を開いた。
「怖かったんだ、傷つくのが。ずっと、君には嫌われていると思ってたから。あの距離感を壊したらもう、戻れなくなると思って。」
太宰らしくない弱々しい声だった。話しかけると云うより、呟いた様な、独白の様な感じだった。
太宰もおなじ気持ちだったのか…。
お互いに、傷つくのが怖くて逃げてたんだ。…だから、距離は平行で、交わるどころか、近づく事もなかった。
隣り合わせで、すぐ近くにある筈なのに、まるで見えない壁があるかのように、それ以上近づけないのだ。
自分でその壁を作ってしまっていたから…。
「私は、自分が傷つくのが怖くて、君の気持ちなんて考えていなかった…。中也がもし私の事を嫌いだったとしても、何か云うべきだった。ごめんね、一人にして。」
また、涙が零れてきた。一人。そうずっと一人だった。
毎日が生きるか死ぬかの別れ目、何時裏切られるかも判らない。誰も信用できない、そんな場所で、太宰は、俺の側に居てくれるような気がした。
そう思ってた、勝手に。
でも、その太宰に、置いていかれてしまった。
あの時の哀しみを、喪失感を思い出してしまい、涙が止まらなくなった。
俯き、唇を噛んで、必死に涙を拭い、止めようとしていると、フワッと何かに包み込まれる様な感覚がした。
太宰に抱きしめられていた。
そのままの状態で太宰がまた口を開く。
「いいよ。今、全部聞いてあげるから。抱え込まないで、全部云って。云いたくても云えなかった事。遅くなっちゃったけどちゃんと聞くから。ね?」
もう限界だった。そんな事を云われたら、4年間抱えてきた想いが、後悔が、謝罪が、哀しみが、全部、全部流れ出てきてしまう。
「太宰ぃ…。俺、辛かったんだ。太宰が居なくなって、そしたらみんな俺の敵なんじゃないかって。そう思ったら、怖くてッ!ずっと一人で淋しくて、なのに、何処を探しても太宰がいなくてッ。太宰が、俺のやった事知って、俺の事更に嫌いになったんじゃないかって思って…。みんなみんな太宰が裏切り者だって云うんだよ、そんな事云ったらッ、俺だって、太宰を裏切ったのに!相棒だったのに!あの時、首領からの任務を受けなければッ、こんな事にならなかったんだ…。太宰も、織田も傷つかなかった…。俺があの任務に対して、思ったことをちゃんと云っていれば、誰も…。全部、俺が…。」
「大丈夫、誰も中也のせいだなんて思ってないよ。もちろん私もね。だから大丈夫。そんなに、自分を責めなくて善いんだよ。」
そう云いながら、泣きじゃくる俺の背を優しく撫でてくれた。
「太宰、太宰ぃっ、もう置いて行かないで。一人にしないで。頼むから、もう…。」
「うん、置いて行かない、安心して。もう何処にも行かないよ。中也を一人になんて頼まれてもしてあげないから。」
「ッ、ねぇ、だざ、太宰ッ。
悪い、ホントに、ずっと、黙ってて、任務の事。ごめんなさいッ。あ、ひっ、く、太宰ぃ…。」
その後も、泣きながら抱えていた想いを吐露する俺を、太宰は優しく抱きしめていてくれた。
此処までで切ります!
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読んでくださってありがとうございました!