リラです。
出すのが遅くなりましたが続編です。
どうか読んでくれると嬉しいです!
ピクシブでも出してます!
やや修正してあったりするので、良かったらそちらも読んで下さい。
目的地に着くと中也はベンチに凭れて寝て仕舞っていた。
まぁ、無理もないだろう。
既に7時30分、この寒い中30分も待っていてくれたのだから。
その寝顔がとても愛らしく、つい写真を撮って仕舞った。なんだか、目が赤い気がする。…気のせいか?
そういえば、中也のコートが見当たらない。…忘れてきたのだろうか。
流石にコートがないと体が冷えて仕舞う。
自分のコートを脱ぎ、中也に被せる。
想像以上の寒さにブルリと身震いをする。
その後も中也の寝顔を見つめ続けて、1時間ほど経った頃中也が目を覚ました。
コートを見て不思議に思ったのか、辺りを見回している。
中也の顔がグルリと180度位回った所で
「おはよう、中也。」
と声を掛けた。
すると中也は驚いたようでバッと此方を振り返る。
「人を呼びつけておいて何寝てるの。全く、1時間も待ったんだけど。」
意地悪くそう云うと中也は時計を確認し、此方に向き直る。
「悪ィ。…でも、何で…?」
「はぁ?中也が呼んだんでしょう?何云ってるの?」
溜息混じりに正直にそう云ってみる。…少し意地が悪いだろうか?
少し間をおいて中也が口を開く。
「いや…そうじゃなくて、此処判ったのか?もう来ないと思ってたから…。」
予想外の言葉にちょっと戸惑う。
「判らない訳がないじゃない。私が教えたんだよ?此の場所。」
そう答えると中也は、何故か凄くホッとした様な顔をする。
目が赤く、少し腫れぼったい上に、先程から妙に様子がおかしい。
「…何かあった?」
そう訊いても
「何もねぇよ。どうしたんだ?」
と、逆に質問を返されて仕舞った。
「ううん、何か元気ないなぁって、今日の君。」
「気のせいだろ。」
それ以上の詮索を拒む様に、自分を守る様にそう云われた。
「そう?なら善いけど…。」
納得はできないが、まぁ中也がそう云うのなら、詮索しても意味がないだろう。
「それで?今日は何で遅れたんだ?」
率直にそう訊かれ答えに迷ったが、嘘を憑くのは悪いと思い 嗚呼、と前置きをして
「ごめんね。此処に来る前にどうしても買いたいものがあってね。」
と、答えた。すると中也が
「俺より優先するって事はよっぽど大事なんだなァ?」
皮肉がこもった口調で云った。
やっぱり、私の好意には気付いていない様で、安心しながらも少しは気付いて欲しいという気持ちもある。
自分の気持ちが判らない…。
「うん。大切な人へのプレゼントなんだ。」
軽く笑いながらそう答える。
気付くだろうか、大切な人が中也だと云う事に。
「それって…好きな奴って事か?」
呟くような、小さな声だった。
「そうなるね。笑わないでおくれよ?今回は真剣なんだから。そう、物凄く。」
俯き加減で、自分に言い聞かせながらそう云う。
中也は何て云うだろう。好きな人が居るだなんて笑われるかなぁ。
辛いな…。
そんな感傷に浸りながら中也の言葉を待つ。
…が、中也の口は開かれない。
不思議に思い顔を上げ中也を見やると黙って下を向いていた。
気分が悪いのだろうかと心配になり
「どうしたの?大丈夫?立つ?」
と、声を掛けてみた。
すると
「だ、大丈夫だ。手前も座れよ。立ったままじゃ疲れんだろ。」
「じゃあ、そうするよ。」
まぁ中也の隣に座るのは嬉しいが、やっぱり気分が悪いのだろうか?声が何処か弱々しい。
心配になり、中也の方を向くとスッとコートが差し出された。
私の物だ。然し、中也に風邪を引かれても困る。
「いいよ、君、寒そうじゃない。忘れたんでしょ?」
「手前は善いのか?」
「一応これでも雪国出身なのでね。この位はなんともないよ。」
…正直凄く寒いけど。
「雪国出身でも横浜育ちだろ…。」
コートに袖を通しながら小声で悪態をついてくる中也。…聞こえない聞こえない。
風邪が心配と云うのが3割、中也に私のコートを着ていて欲しいと云うのが7割。
まぁ、割合で云ったらそんなものだろう。中也が着るとコートの袖が余るんだよね。…すっごい可愛い。
寒さを我慢する甲斐がある。
中也がコートを着終わった所で気になっていた事を訊く。
「それで?話があるんじゃなかったの?」
「えっと、今日は、手前に話があって呼んだんだ。」
「だから、其れを聞いてるんだよ。」
思わず苦笑いが零れる。それに何か、やっぱり、何時もと違う。
「なァ、手前は何の話だと思う?」
中也の話したい事…?考えてもみなかった。
「中也の話したい事なんて見当もつかないよ。…真逆、マフィアを離反するなんて事じゃないよね?」
少し意地悪に云ってみる。
"離反"…後悔はしていない。
…が、失った物は思いの外多かった。
最初のうちは中也と会えない事が辛くて、何度も戻ろうかと思った。
でも、もうあんな場所に居たくない。
所詮構成員など使い捨ての道具としか見られない。私や中也の様な幹部クラスの人間でもだ。
中也の異能だってそうだ。
私が途中で止めていても中也の命は削られていく。
あんなに組織の為に、森さんや姐さんの為に文字通り身を削って尽くしたって、最後は見捨てられるかもしれない。
出来る事なら、中也を連れ出したかった。
でもあの時其の話を中也にしても、ついて来てはくれなかっただろう。
捨てられるかもしれないと判っていても、中也は組織に尽くす。
「手前じゃあるまいし離反なんてしねぇよ、莫迦。」
そんな事を考えていたら、中也が少し哀しげな声でそう云った。
私が離反した事、少しは哀しく思ってるのかな…?
そんな自分本意な考えが頭をよぎる。
莫迦莫迦しい。そんな訳、無いというのに。
「そう?逃げたい時は相談に乗るよ?…で?結局、何の話なの?」
何も気にしていない風を装って、軽い口調で返答する。
「俺が何を云っても最後まで聞いてくれるか?」
珍しく、中也が弱気だ。何時もはそんな事気にせず云いたい事ははっきり云うのに…。
「聞くよ、全部。」
何処か弱い口調の中也を安心させてあげたくて、優しく、ゆっくりと云う。
「悪ィ…少し、時間をくれるか…?」
「いいよ、待ってるから、ゆっくりでいいから。…そのかわりと云っては何だけど、中也が話終わったら、私も中也に話があるんだけどいい?」
「嗚呼、判った。」
やっと云えた。此れで多分話は聞いてもらえるだろう。
それから2〜3分位経って中也が口を開いた。
「俺さ、手前の事大っ嫌いだよ。ずっと。」
そっか、嫌い、か。
「うん、知ってるよ?私も嫌いだもの君の事。」
そう、嫌い。何も思ってない。
…嘘だ、涙が出そうだ。辛い。
「でも、4年前、手前がいなくなった時、何か穴が空いたような、そんな感じがしたんだ。あの時、俺は手前を止められなかった。」
穴、か…。少しは中也の中に私がいたって事かな。そう考えると嬉しい。
「ずっとそれを後悔してたんだ。それにさ、あの時は判らなかったけど……判らなかったからさ、待ってた。」
後悔なんてしなくていいのに。中也は何時もそうだ。背負わなくていいものまで背負って、そのせいで無理が生じて、体に不調が出て、それでもまだ何かを背負おうとする。
其れが認められるための行為だと思っているかの様に。
そんな事しなくても、みんな中也の事を認めてくれているのに。
そんな事を思いながら閉ざしていた口を開く。
「…私を?」
「嗚呼、また会えば判るかもって思ってた。」
そんな、また中也は勘違いさせてしまうようなことをいう。
そんな事を云われたら誰だって思ってしまう。
若しかしたら、中也も私の事を好きなのでは…と。
「フフッ、それで?判ったの?」
「判ったぜ、信じられなかったけど、何か、納得出来た。…俺は…」
そこで中也は黙り込んでしまった。
…泣い、てる?
何となくそんな気がしたが、私は何も云えなかった…。
暫く経って、まだ口を開かない中也が流石に心配になり 大丈夫?中也? と声をかける。
「嗚呼。…俺は、ずっと手前が…太宰が好きだった。」
え…。嘘、好き…?中也が、私を…?
あまりの衝撃に思わず息を呑む。
なんて答えたら善いか判らず声を出せない。そうしていると、
「悪い、云うつもりはなかったんだ。こんな事云われたって気持ち悪いだけだろうし、ホント…悪い。」
と、謝られて仕舞った。何か、何か云わないと、取り敢えず、声を…。
「中也…。」
兎に角引き止めるために名前を呼ぶ。…が。
「何も云うな!!…頼むから…もう後悔したくなくて伝えただけだから、じゃあ、また。ホントに 悪かった。気にしなくて善いから。」
そう云って中也が立ち上がり、此方に背を向ける。
「中也!?ねぇ!待って!ちょっと!」
私の静止も聞かず走り出す中也。
其のまま車に乗り込んで、去って仕舞った。
暫く、其処で固まっているしかできなかった。
兎に角、兎に角だ、中也が私の事を好きだった。其れは紛れもない事実という事だ。
明日の朝、また話に行こう。
そう思って、帰ろうとした時視界の端にあの趣味の悪い帽子がうつる。
仕方が無い、持っていってあげよう。
―中也の帽子を手に取り、そっと、キスを落とした。
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