腐り目悪魔のダンタリオン   作:silver time

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筆が乗ったので三話目でございます。
いつまで続くかなぁ·········






Let's rook!


Heavy day

「············」

 

カーテンの隙間から差し込む人間界の日光にその目覚めたばかりの顔を照らされながら、比企谷八幡もといハチマン・ダンタリオンは言葉を失っていた。

 

ベッドが置かれている部屋の一角を除いて、部屋の壁を覆い隠す本棚に隙間無く差し込まれた大量の本がある以外は普通の部屋。

実家の自室よりかはいくらか狭いものの、特に不便を感じることのない空間、カーテンの隙間から差し込む日光以外は実家の自室とほぼ変わらない。

 

では何故言葉を失っているのか?

 

「すぅ···········」

 

いつの間にか自分のベッドに幼馴染の少女が入り込んでいればそりゃそうなるだろう。

最近のラブコメはそういうのも多分にあるから、まだ予想できる範囲だろうが······?

まあしかし、その幼馴染が衣服を一枚も纏っていない産まれたままの姿、言葉通りにスッポンポンな状態でなければの話だが。

 

「···あーそういや、確か脱ぎ癖があるというか、服着たままだと寝付けないって言ってたな·········」

 

ハチマンは彼女の脱ぎ癖を失念していた。

とはいえ、一緒に寝たのももう5年以上も前のことだ。

その時に知った幼馴染の脱ぎ癖が未だに尾を引いているなんて想像できるわけがない。

 

ともかく、今更幼馴染の裸体を目撃しようが彼女の幼馴染として、まだ今の人格が形成しきる前から共にお風呂に入ったりしてきたハチマンには狼狽えさせる材料にもなり得ないだろう。

 

 

 

「············」

 

訂正、やっぱ無理。

いくら何度も見たとはいえそれは今よりも十年以上前の話だ。

 

女性が到達しうる体つきの完成系と言ってもいいそのプロポーションを前にして、邪な考えを持つなと言うのが絶対に無理だ。

 

「起きよう·········んで撤退しよう。」

 

という訳で、ハチマンは速やかに自室から退散しようとして、制服をハンガーから取り外して、部屋の扉に手をかけた。

 

 

「·········」

 

「「·········」」

 

扉を開けてから右方向、曲がり角から二つの赤が目に映った。片方は青いリボンが、もう片方は白いフリフリ付きのカチューシャが唯一の判別方法だろう。

 

家政婦は見たな二人の姉妹給仕は片やニヨニヨ、もう片方は変わらない顔でこちらを見て、

 

「「昨夜はお楽しみでしたね。/♪」」

 

余計な爆弾を投下した。

但しそれは自爆した感じの方だ。

 

 

「――――天の鎖(エルキドゥ)。」

 

 

 

 

 

 

 

 

      [しばらくお待ちください]

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお、こりゃまた凝ったもの作ったな。」

 

「あだだ······あの、ハチマン様?本当にすみませんでしたからこの鎖はずしてくらいだだだだ!?」

 

「······姉さんが海老反りになっていく。」

 

「何だ?おかわり追加?」

 

「違います違います!!というか昨日の報復も兼ねてますよね!?本当にごめんなさいでしたからはずしてぇ!?」

 

「ハチマン様大人気ない。」

 

「······分かったよ。」

 

 

場所は変わって一階のリビング。大きめのテーブルの上を占領する豪華な朝食達を一望し、ちょっとしたお巫山戯をした姉給仕を軽く折檻しつつも褒め称えるという高度なイベントを消化する悪魔ハチマン。

金色の魔法陣から出現した同色の鎖が琥珀の体をキツく縛っていたが、突如としてその鎖は金色の粒子となり霧散し、琥珀の体は自由を取り戻した。

空中で解放された琥珀は地面に落下し尻もちをつくことも無く、極めて慣れた様子でリビングのフローリングに着地した。

 

「にしても、本当に凝ったものを作ったもんだな琥珀さんや。」

 

「もちろんです。ハチマン様は基本的に朝食を摂らずに研究に没頭してますから、この際に生活を改めてくださいませんと。」

 

ほうれん草のお浸し、鰤の照り焼き、豆腐の味噌汁、出し巻き卵、野菜サラダという朝食にしては力の入った料理を見て、ハチマンは琥珀の料理スキルに改めて感心を覚える。

 

しかし。

 

 

「そして琥珀さんや、何故にこのサラダには赤い悪魔の果実(トマト)が入ってるので?」

 

ハチマン曰く赤い悪魔の果実が、野菜サラダの上に堂々と鎮座しているのであった。

そう、彼が唯一苦手とする食べ物こそが、サラダは勿論お弁当の彩りにも欠かせないトマトなのだ。トマト如きに悪魔である彼が悪魔と名付けている時点でどれだけ苦手としているか、容易に想像できるだろう。

 

「もちろんこれを機に好き嫌いを克服してもらいます。というかして下さい。」

 

「·········翡翠、」

 

「私は、何も、見ていません。」

 

哀れなり、千の魔術を携えし者(グランドキャスター)

逃げ場は何処にも存在しなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようハチマン、琥珀に翡翠も。」

 

「おはようございます、リアス様。」

 

「おはようございます。」

 

「よっす。」

 

 

先のちょっとしたバタバタから少しして、制服に着替えたリアスが寝室から降りてきたのを確認し、琥珀は人数分のご飯とお味噌汁をよそい、全員が席に着く。

 

「「「「いただきます」」」」

 

声を揃えて様式美(いただきます)をし、四人は食事をとり始めた。(尚、約一名が野菜サラダを取り皿によそう際、あからさまにトマトを除けようとしていたのをバッチリ視界に収めた琥珀さんの手によって阻止された哀れな悪魔がいた事を、ここに記しておく)

 

 

「うん、とっても美味しいわ。」

 

「それはよかったです。リアス様のお口に合うようで。」

 

「ハチマン様、ちゃんとトマトも食べてください。」

 

「あ~············分かった、分かったから。」

 

約一名、渋い顔しながら一口サイズにカットされたトマトを口に放り込む様を見つつ、穏やかな笑いに包まれた朝の一時は緩やかに過ぎていく。

 

 

 

 

朝食を済ませ、時刻は七時の四十分を過ぎたあたり。

学校までは近いため、八時に出たとしても余裕で間に合う時間帯だ。

そんな中ハチマンは、いつの間にかテーブルの上に積まれた紙の束とにらめっこしていた。

あの顔で凄まれたらマジでちびる5秒前な事は確実だと思う。

 

「何をやっているの?」

 

単純にそうリアスは聞いた。

テーブルの上に鎮座する紙の山、その一番上の紙にはビッシリと文字が敷き詰められたように並んでおり、申し訳程度に写真がプリントされている。

そしてその写真に写っている風景に、リアスは見覚えがあった。

 

「これって、東の方の商店街?」

 

「ああ、そこで合ってる。んで何やってるかと聞かれれば管理だよ。」

 

「管理?」

 

他の写真を見てみればこれまた見覚えのある場所ばかり、ざっと見ても駒王全域の写真が紙一枚につき一つプリントされている。

 

「お前碌に管理の仕事やって無かったろ。」

 

「うっ······そんなことは「だったら何で堕天使が侵入してた事にも気付かなかったんですかねぇ。」···ゴメンナサイ。」

 

「まあそういう訳だ。俺がこっちに来た理由は単なる親父の言いつけだけじゃねぇ。サーゼクスからの命令もあってな、まだリアスの管理能力には些かの不安要素があるんでな、そのサポートをしろとの事だ。」

 

一ヶ月近く前の堕天使騒動の事もあり、今現在リアスの管理能力に不安要素が募りだしはじめた事で、サーゼクスはこれの対応策として管理のサポートを行える人材を派遣する事を決定した。

そのために、研究用以外にも色々な機材を向こう側から持ってきたのだ。

 

「······そっか。やっぱりそうよね。」

 

「まあ、未だに未成年な俺たちに管理の仕事を請け負わせる上の考える事は理解出来んがな。サーゼクスも最初はこの事に疑念を抱いてたし。」

 

あんまり気負うんじゃねえよと言葉を投げかけつつも、手元の資料に目を通していく。いつの間にか琥珀と翡翠も資料を手に取り、内容を簡潔にメモへとまとめていく。

 

「それにしてもこの資料ってどこから、というかどうやって作ってるの?」

 

「昨日のうちに駒王中にバラ撒いておいた観測機で24時間監視体制。異形の者が入り込んだ際はすぐさまアラートを鳴らして、こっちに知らせてくれる。僅かな魔力量の増減を感知するアートグラフィックカメラも仕込んである。

その観測した情報をそこの情報統括室に置いてある印刷機に送り込んで、必要な情報と何処からの情報かを判別する写真を添付した資料を作ってるんだよ。」

 

「ハチマン様、西にある公民館付近、駒王町記念館付近に異常は確認できません。」

 

「南方面、駒王駅を中心とした800メートル圏内、異常ありません。」

 

「了解、後は北の方だな。」

 

「·········」

 

これが、本来の管理者としてのあるべき姿なのだろうか。

普通の管理手順を一切合切無視したやり方なのは解ってはいるが、本来管理者とはこう在るべきで自分がどれだけ甘い生活を送っていたのかを嫌というほど思わせる。

自分では、何もかもが力不足だった。

今思えば、ライザーに負けた事は当然の帰結だったのかもしれない。

自分を見てほしい等と、グレモリーとしてではなくリアスという一個人を見てほしい等と言っていた自分が嫌になる。

当然の結果ではないか。

実力の伴っていない、管理者としての責務すら怠っていた自分では、仕方の無いことではないか。

こんな様で、よくも彼に頼られるような自分になりたい等と思えたものだ。

 

なら、このままでいいのか?

 

「·········」

 

リアスはまだ手のつけられていない書類を手に取る。

 

否、このままで言い訳がない。

自分はまだ目指した場所にたどり着くどころか、スタート地点にすら立っていなかった。

なら、少しずつでもいい。

自分に出来る事を精一杯やる。やって見せる。

そうして、初めて自分は走り出せるのだから。

 

リアスは制服のポケットに仕舞われていた普段使うことのないメモ帳を取り出し、資料の内容を出来るだけ簡潔にまとめていく。

今はまだハチマンどころか琥珀や翡翠にすら届かないであろうが、自分にも出来る、これから出来ていく事を身につけるべきだ。

 

(このまま何も出来ない女でいるのは、絶対にイヤ!)

 

 

 

リアスが作業に参加した事で、予定よりも少し早く管理確認が終わり、ハチマンを引き摺る形でリアス達は学校へと登校して行った。

 

そして結局、作業に参加したリアスを見て微笑を零していたハチマンに、終ぞリアスは気付くことは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「めっちゃ疲れた·········」

 

駒王学園三年生の教室で机の上ででろーんと疲れ果てた哀れな男がいた。

言わずもがな、比企谷八幡ことハチマン・ダンタリオンだ。

 

「何なのあの視線の数。ボッチの俺に対してクリティカルヒットなの分からないの?数秒で灰になる自身があるぞ。」

 

「数秒で灰って、流石にないだろ。あとボッチって、まだ登校二日目なんだからしょうがないだろ。」

 

「っていうか、アンタ誰?」

 

「アレ?まさかの覚えられてない系?」

 

机の上で伸びているハチマンに話しかけているのは一人の一般男子生徒だ。

ちなみにリアスはソーナと朱乃に連れられて絶賛尋問中である。

もちろん同棲についてのアレコレについて。

同棲してる事が即効でバレたので仕方ない。

 

「俺は国谷誠一(くにやせいいち)ってんだ。これからよろしくな、えーと···ヒキガヤで合ってるか?それともヒキタニって読むのか?」

 

比企谷(ひきがや)で合ってるよ。まぁあまり関わらんだろうがよろしく。」

 

「そんな寂しい事言うなよ~仲良くしようぜ新たなる同士よ。」

 

「何が同士だ。」

 

「それにしても羨ましい事この上ないぜ。まさか学園のお姉様と呼ばれるグレモリーさんと姫島さん、そして生徒会長の支取さんと幼馴染って、コイツさては人間じゃないな!?」

 

「発言が理解不能過ぎる······」

 

変な所で的を射ていて、されど明後日の方向へとすっ飛んでいく国谷という一般生徒の発言に辟易としていると、また一般生徒が何名かこちらへ来た。

彼らの表情は八幡と同じく、呆れたような表情だ。

 

「何やってんだよ国谷。比企谷が困ってんだろ。」

 

「しょうがないよ。国谷君はその場のテンションだけで生きてる節があるし。」

 

「取っ付きやすさはあるけれど、近寄り難くもあるのよね。」

 

「傍から見れば変人ね。」

 

「そこ!外野サイドうるさいぞ!今俺と比企谷はこれからに関わる重要な話し合いをだな、」

 

「その本人が置いてかれてるぞ。お前の無駄に高いテンションに。」

 

何をう!ととっかかってくる国谷を敢えてスルーしつつ、比企谷へと彼らは向き直る。それぞれ特徴的な色の髪の女生徒と眼鏡を掛けた黒髪の少女、そして中性的な顔立ちの男子生徒···いや、よく見れば女子物の制服を着ているので三人の女子生徒と、気だるげな雰囲気の特にこれといった特徴のない普通の男子生徒だ。

 

「ウチのバカ代表が悪いな。えっと、比企谷で、いいんだよな?」

 

「···おう。で?アンタらは?」

 

「俺は佐t「そいつはキョンだぜ。」······オイ国谷、ちょっと黙ってような。」

 

「えっと、俺は佐t「僕は猿渡銀兵衛春臣。これからよろしくね」······銀、お前もか。」

 

「····オホン、改めて俺は佐t「私は朝田詩乃。まぁよろしくね。」····詩乃、お前絶対狙ったよな?」

 

「·········佐t「あたしは仲村ゆり、これからよろしくね比企谷君。それとそっちのは国谷がさっき言ってたけどキョンよ。比企谷君もそう呼んであげて。」······もういいです。」

 

「·········まあ、がんばれ。」

 

「憐れむな!」

 

八幡は直感的に感じた。

あ、俺と同じようなヤツだ(苦労人的な意味で)、と。

 

「所で、もう学校には慣れたかしら?」

 

「·········退屈しそうには無いという事は分かった。」

 

「あー······その様子からして大変そうね。」

 

「まぁ、あの面子と幼馴染ってんならな······」

 

この学園の超有名人と幼馴染、それを知った駒王民が何もしない訳がなく······超越者候補と噂されるハチマンは早くも心労に押し潰されそうになっていた。

 

そら、早くも向こうの方で女の戦いが幕を上げようとしていた。

 

「あんなグレモリーさんと支取会長初めて見たわ。」

 

「姫島さんは·········いつも通りな気がするね。」

 

「そのうち新しい名物になるかもね。」

 

「一人の男を賭けて争うお姉さま方········何だか新しい扉を開けそうだ······」

 

「国谷ー、戻ってこーい。」

 

「·········寝よう。」

 

とにかく、今は目の前の状況から逃避しようそうしよう。

 

ハチマンは現実から逃げるように目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校が終わり帰宅した後の事。

要するに閑話休題。

 

 

「·········何故お前までここにいる?」

 

「さあ?何故でしょうか?」

 

オカ研副部長兼雷の巫女こと女王、姫島朱乃がそこに居た。リアスに追従する形で。

要するに付いてきたのだった。

申し訳なさそうにリアスが口を開いた。

 

「ごめんハチマン、今日から朱乃もここに住むって······」

 

「············理由は?」

 

「いくら旧知の仲とはいえ思春期の男女が同棲するのは不味いと思いましたの。お互いグレモリー家とダンタリオン家の次期当主ですし。」

 

「俺にそんな事する度胸があると思うか?」

 

「ありませんわ。」

 

「即答かよ。」

 

「それでも間違いがあってからでは遅いですし、そのお目付け役として私も同居(・・)させて頂きますわ。」

 

「·········ちなみに翡翠と琥珀、空き部屋は後いくつある?」

 

「地下も合わせれば軽く十部屋は空いてますね。」

 

「片付けが必要ですが·········姉さん?姉さんはじっとしていてくださいね?」

 

「アッ、ハーイ。」

 

「そういう訳で、これからお世話になりますわ。」

 

「·····胃が痛てぇ··················」

 

ダンタリオン邸(人間界別荘地)、加入者一名追加。

 

彼の気苦労は、これからだ!




嵐の前の静けさ、平穏な日常パートでした。

次回、エクスカリバー編のあの二人と邂逅します。
悪魔であるハチマンが介入することによって、物語はどんな変容を見せるのでしょうか?
次回もお楽しみに!








おまけのアホ共(馬鹿たちの宴)



silver「お前らぐだぐだイベント第二弾どっちに行く?」

友人A「俺は新選組。」

友人B「俺も新選組ー。」

友人C「俺織田幕府。」

友人D「俺も。」

友人E「俺も織田で。」

友人F「俺は新選組に行こうかな。」

友人G「俺織田幕府な。」

S「じゃあ俺は新選組でいいか。」

B「キレイに分かれたなー。」

A「頑張るとしようかね。」

D「それにしても土方さんが遂にサーヴァント化したねえ。」

E「声優は誰かねえ?」

S「杉田さんじゃない?あの人FGO出てるし、使いやすいやろ。」

A「いや、三宅さんだろ。イラストからみて渋い人を使うだろうし。」

B「安元さんだろ、ドリフ的に考えて。」

C「三木さんじゃねーの?」

D「いーや、櫻井さんを推すね俺は。」

E「ゆうきゃんとかも有り得そうだがな。」

F「いやいや、Fateと言ったら諏訪部さんでしょうが。」

G「中田さんだろ。Fate的にも渋さ的にも。」

「「「「「「「「あ゛?」」」」」」」」








その後、ルール無用のデスマッチ(スマブラ)に発展しぶっ殺死合い(画面の中にて)が行われたが、最終的に当たった人にジュースを奢ることで一応の決着がついた。


終われ。
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