DRAGON BALL D改   作:榛猫(筆休め中)

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前回までのDRAGON BALL D改。

アーシアを助けるため教会へと乗り込んだイッセー達...。

待ち構えていたはぐれ悪魔祓いフリードを退け、アーシアの元へと走る...。

しかし時すでに遅し、アーシアは堕天使レイナーレの手によって神器を抜き取られ瀕死の状態であった。

アーシアを救うべく、佑斗と小猫にアーシアを任せるイッセー。


「おめえだけは許さんぞ!堕天使ィィッッ!!」


目覚めよサイヤの力!月夜に響く大猿の咆哮!

 

【ドンッドンッドンッドンッドンッ…!!】

 

夜の教会に二人のぶつかり合う音が響き渡る。

 

 

「ハアァァァァァッ!!」

 

 

「でりゃあぁぁぁっっ!!」

 

 

【ドゴォンッ!!】

 

一際大きな激突音と共に二人がぶつかり合う。

 

 

「はぁっ...はぁっ...はぁっ...中々やるじゃない」

 

 

「はぁっ...はぁっ...フッおめえこそ...」

 

お互い自身の持てる全力でやり合っているためか肩で息をしている。

 

加えて今のイッセーは界王拳を使用している。その疲れは尋常な者ではないだろう...。

 

イッセーは油断なく堕天使を睨みつけるのであった。

 

 

界王(ナレーション)sideout

 

 

 

sideイッセー

 

 

「でりゃあぁぁぁぁっっ!!」

 

オラは叫びと共に堕天使へと突っ込んでいく。

 

早くコイツをぶっ倒してアーシアの神器を取りけえさねえとなんねえ!

 

じゃねえとアーシアが死んじまう!

 

だが、そう考えれば考えるほど焦りが動きを悪くする...。

 

自覚はしてる...けど、それを直しているような余裕はねえ!

 

そんなことを思案していると不意に堕天使の姿が消え、頭に強い衝撃が走る。

 

何が起きたのかはすぐに分かった、堕天使の奴に蹴り落とされたんだ

 

 

「ぐあっ!!」

 

地面に叩きつけられる寸前、なんとか気力で踏みとどまり体勢を立て直す。

 

ふぅ、あぶねえあぶねえ、戦闘中に考え事なんてするもんじゃねえや......

 

けど、今のままじゃ負けることはねえけど時間が掛かっちまう、それまでアーシアは保たねえはずだ......

 

こういう時は超サイヤ人になって一気にカタァつけるんが手っ取り早いんだけんど、今のオラじゃ変身できねえしな...。

 

 

「こうなりゃ仕方ねえ...界王拳を三倍まで上げるしかねえか」

 

 

「何をブツブツ言ってるの?もしかして命乞い?」

 

堕天使の奴がなんか行ってっけど無視だ...。

 

 

「体もってくれよ!!界王拳三倍だぁぁぁっ!!」

 

 

「ッ!!」

 

 

【ミシミシッッ】

 

『Boost!!』

 

ぐっ!やっぱ三倍だと体への負担がでけえな...だが、コイツ(神器)のおかげかいつもより力が漲ってくる!

 

 

「いくぞ!だりゃあぁぁぁぁぁっ!!」

 

界王拳を三倍まで引き上げたオラは再度堕天使へと突っ込んでいく。

 

突如スピードが跳ね上がったオラを見て堕天使は驚きの声尾を上げる。

 

 

「なっ!?スピードが上がって...ッ!」

 

オラはその隙を見逃さず、一気に奴との距離を詰めると肘内を叩き込む。

 

 

「でりゃぁぁぁぁ!!」

 

 

【ドゴンッ!!】

 

 

「かはっ...!」

 

 

「づぇぇりゃあぁぁ!!」

 

腹を押さえて蹲る堕天使に渾身の回し蹴りを叩き込む。

 

 

「がぁっ...!!」

 

勢いよく教会の壁を破壊し、外へと吹き飛んでいく堕天使をオラは追撃をかける為、飛んでいった堕天使の後を追う。

 

 

「だあぁぁっ..!んっ!?」

 

追撃をかけようと外に飛び出たオラの目に入ってきたのは淡く輝くまん丸の満月だった。

 

やべぇ!今日満月じゃねえか!

 

そう慌てて顔を隠そうとするが一足遅かった...。

 

オラは月から目が離せなくなりその意識を手放した。

 

 

sideout

 

 

 

side界王(ナレーション)

 

 

「グウゥゥゥゥゥゥ...グオオォォォォォッッ!」

 

満月を見て大猿と化したイッセーが吼える。

 

だが、その瞳は怒りに満ち溢れており、理性が飛んでいるようであった。

 

 

「な...何よあれ...まるでバケモノじゃない...」

 

イッセーの予想だにしなかった変化に堕天使レイナーレは恐怖に顔を染める。

 

 

「グウゥゥゥッ...ッ!」

 

ゆっくりとした動作でレイナーレの方を見る大猿(イッセー)

 

そしてレイナーレを見つけた途端に怒り狂ったように咆哮を上げた。

 

 

「グオオオォォォォォッッ!!」

 

咆哮と共に堕天使に迫る極太の腕。

 

 

「くっ...!」

 

レイナーレは大猿(イッセー)の攻撃をなんとか躱し空中へと逃れようとするが...。

 

 

 

「グギャオォォォォッ!!」

 

突如虚空から現れた大猿(イッセー)がその剛腕を振り下ろしレイナーレを叩き落す。

 

 

「なっ!?回り込まr…がぁっ!」

 

 

【ズガアァァァンッッ】

 

レイナーレは勢いよく地面に叩きつけられ土煙が濛々と立ち上る。

 

これを人間がくらえば一溜まりもないだろう...。

 

しかし、レイナーレはまだ生きており、懸命に傷の治療をしていた。

 

 

【ブウゥゥゥン…】

 

しかし、傷があまりにも大きいため中々治りきらないでいた。

 

 

「なんで!どうしてよ!早くしないと!...っ!」

 

【ズズゥゥン…】

 

地響きと共に大猿(イッセー)が降ってくる。

 

 

「グウゥゥゥゥゥ...ッ!」

 

ズシンズシンと足音を響かせながらゆっくりとレイナーレの方へと近づいてくる。

 

 

「いや...早く、早く!早く治ってよ!」

 

恐怖からか顔を涙と鼻水で汚しながら必死に神器を使用するレイナーレ...。

 

それを関係ないとばかりに近づいてきた大猿(イッセー)は構わずレイナーレをその巨大な足で踏みつける。

 

 

「あ...ぁがぁ...ぐ...るじい...!息が...」

 

踏みつけられ動けないレイナーレは必死になって逃れようともがくが大きさの所為でまともに動けないでいた...。

 

大猿(イッセー)は少しの間踏みつけていると不意に足を上げた...。

 

 

「...がはっ!はぁっ...たすけ...」

 

レイナーレがそう口を開いた直後だった。

 

 

【プチッ!】

 

不意に降ろされた足に踏み潰され、まるで虫でも踏み潰すようにレイナーレは絶命した。

 

そして大猿(イッセー)が足を退けると、そこには最早原形を留めていない絶命したレイナーレの姿があった...。

 

 

「グオオオオオォォォォォッ!!」

 

大猿(イッセー)は興味が失せたのかソレには見向きもせず、月に向け大きく吠えるのであった...。

 

 

 

sideout

 

 

 

side木場

 

 

僕、木場佑斗は目の前の光景を信じられないでいた...。

 

イッセーくんからアーシアさんを頼まれた僕と小猫ちゃんは教会から少し離れた少し開けた場所にいた。

 

教会から出た直後は何かがぶつかり合う衝撃音と爆音が響いていた。

 

だが、少しすると、教会の方から一際大きな獣のような雄たけびが聞こえてきたんだ。

 

何が起きたのかと慌ててそちらを見ると、そこには見上げるほど巨大な大猿があの堕天使を相手に暴れ回っていたのだ。

 

僕は目を疑った...これは現実なのかもう訳が分からなくなりそうだった...。

 

アーシアさんの一言を聞くまでは...。

 

 

「...イッセー...さん?」

 

辛そうにしていたアーシアさんがあの大猿を見てそう呟いたのだ。

 

それを見て僕は再度大猿の方を見る。

 

大猿は空を見上げて大きく吠えながらドラミングをしていた...。

 

アレ(・・)がイッセー君だというのか...?

 

ふと、そこで僕はイッセーくんと副部長が言っていたことを思い出した。

 

 

[イッセーくんはあくまで悪魔に近い人間ということです]

 

 

[オラはサイヤ人っちゅう種族なんだ!]

 

イッセーくんの言葉が確かであるなら、サイヤ人と言う種族は何らかの方法であの大猿のような姿になるという事だ。

 

だが、あの姿では自我は保てない...

 

あれは見るからに野生の獣そのものだ...。

 

イッセーくんをあのまま放っておけばきっと大変なことになるだろう。

 

そうなっては大惨事だ...。

 

僕は立ち上がり小猫ちゃんに声をかける。

 

 

「小猫ちゃん,少しの間アーシアさんを頼めるかな?」

 

そう言うと、小猫ちゃんは不審げに眉を顰めて聞いてくる。

 

 

「......何をするつもりですか?佑斗先輩...。まさか」

 

ははは、気づかれちゃったみたいだね...。

 

 

「うん、そのまさかだよ、僕はイッセーくんを止めに行く、だからその間に小猫ちゃんはアーシアさんを連れて部室まで行くんだ」

 

 

「......無茶です!あの堕天使があんなあっさりと殺ってしまう相手ですよ?敵うわけないです...!」

 

小猫ちゃんのいう事はもっともだ、僕自身もあの大猿に勝てるとは到底思っていない。

 

 

「分かっているよ、でも、あのままイッセーくんを放っておくわけにはいかないからね」

 

それにきっと何か手はあるはずだ...。イッセーくんを元の姿に戻す方法が。

 

僕の決意が変わらないことを悟ったのか、小猫ちゃんは小さくため息を吐いて言った。

 

 

「......ハァ、分かりました、でも無理だけはしないでください、佑斗先輩に何かあったら部長が悲しみます」

 

 

「そうだね、分かった。無茶はしないと約束するよ」

 

その言葉を聞いて小猫ちゃんは小さく頷く。

 

 

「......では、ご武運を」

 

 

「あの...イッセーさんを...お願いします...」

 

 

「あぁ、任せて...。」

 

そうして僕は二人に背を向け、大猿の方へと向かっていくのだった。

 

 

 

 

_______________________

 

 

 

 

 

「さて、ここからどうしたものか...」

 

大猿の近くまでやって来た僕は物陰に身を顰め、考えていた。

 

元に戻そうにも、どうしてあの姿になったのかの原因も分かっていないのだ、対策の練りようがない...。

 

かといって馬鹿正直に出て行けばあの巨体に踏み潰されてお終いだ。

 

 

「困ったな、手の打ちようがない...」

 

もういっそのこと特攻でも掛けてみるかと思いだしている僕に不意に頭の中に響いてくる声があった。

 

 

『おい貴様!聞こえているか!』

 

 

「ッ!?」

 

 

『声を出すんじゃないぞ、そのまま心の中で話すんだ、奴に見つかりたくなかったらな』

 

 

(は、はい、それよりあなたは?どうやって話しかけているのですか?)

 

 

『フンッ名を名乗るほどのものじゃない、今はお前の心に直接話しかけている...。それよりも貴様はあいつを元に戻したいんだったな?』

 

やろうとしていたことを見抜かれ僕は内心で驚きながらも答える。

 

 

(はい、何か知っているのですか?)

 

 

『あぁ、アイツを元に戻したければ奴の腰に生えている尻尾を切り落とすんだ、そうすれば奴は元の姿に戻る』

 

 

(尻尾を?それだけでいいのですか?)

 

 

『そうだ、サイヤ人の力の源は尻尾だ、それさえ切れれば奴はあの状態を維持できん』

 

尻尾か、あの高さだと中々厳しいけど、やるしかなさそうだ。

 

(分かりました、やってみます!)

 

 

『やるのなら気を付けることだ、大猿になった時のアイツの力は十倍以上だ』

 

十倍以上...それはあの堕天使が敵うはずないわけだね...。

 

 

(そんなに...分かりました忠告ありがとうございます。)

 

 

『フンッ健闘を祈る...』

 

それきり声は聞こえなくなってしまった。

 

それにしても誰だったのだろうか...。

 

サイヤ人の事をよく知っているような口ぶりだった...もしかしたら、イッセーくんと同じサイヤ人だったりするのかな?

 

そんなことを考えながらも僕は大猿の様子を見計らう。

 

大猿は僕には気づいていないようでずっと月を見上げている。

 

僕は魔剣を一つ作り出し、気配を殺しながら大猿へと近づいて跳び上がった。

 

腰の高さまで跳び上がるとそのまま渾身の力で尻尾に魔剣を振り下ろす。

 

 

「ハアァァッ!!」

 

 

【ザンッ!!】

 

勢いよく切り落とされる尻尾...。

 

 

「ッ!?グオォォォォ...!!」

 

大猿は驚きの表情のままみるみる縮んでいき、やがてもとにのイッセー君になった。

 

衣服は巨大化によって破れ去り、生まれたままの姿であった。

 

 

「イッセーくん!大丈夫かい!?」

 

 

「は、ははは...悪りい木場...すま...ねえ...」

 

 

「ッ!イッセーくん!」

 

その言葉を最後にイッセーくんは気を失ったように倒れ込んでしまう。

 

僕は慌てて駆け寄りその体を支えた。

 

 

「・・・・・・」

 

イッセーくんは死んだように眠っていた。

 

 

「無事でよかった...」

 

助ける方法を教えてくれたあの声の人にも感謝しなくちゃね、僕が内心でそう考えていると...。

 

 

「イッセー!祐斗!大丈夫!?」

 

不意に現れた魔方陣から慌てたようにこちらに走ってくる部長の姿があった。

 

その後ろには一緒に飛んできたのか、小猫ちゃんと副部長もいた。

 

 

「あらあら、教会が瓦礫の山になっていますわ」

 

 

「......無事でよかったです。佑斗先輩」

 

 

「ははは、なんとかね...それよりアーシアさんは?」

 

そう尋ねると小猫ちゃんは俯いて黙りこくってしまう。

 

代わりに言うように部長が口を開いた...。

 

 

「残念だけれど、あの子は亡くなったわ...」

 

 

「そう...ですか...」

 

やっぱり、間に合わなかったか...。

 

これじゃあイッセーくんに顔向けできないな...。

 

明日から僕はどんな顔をしてイッセーくんに会えばいいんだろう...。

 

 

「そうか悲しい顔をしないで二人とも...。前例はないけれど、これを試してみましょう」

 

そう言って部長が取り出したのは残っていた『僧侶』(ビショップ)の駒の悪魔の駒(イーヴィル・ピース)だった。

 

そうか!悪魔として転生させれば彼女は蘇る!

 

小猫ちゃんがアーシアさんを地面に降ろし寝かせる。

 

部長がその横に立ち、転生の為の呪文を唱えようとする。

 

 

「あ、部長、少し待ってください」

 

そう言って僕は堕天使だった血だまりの所に向かった。

 

血だまりの中には淡く輝くリングがふんわりと浮かんでいた。

 

僕はそれを手に取りアーシアさんの所まで持っていくと胸元にそっとリングを置いた。

 

すると、リングはすぐさま反応してアーシアさんの中へと入り込んでいった。

 

しかし、一度亡くなった命は元には戻らない。

 

神器(セイクリッド・ギア)を戻したところでそれは変わらない...。

 

僕はそっとその場から離れ部長を見て頷く。

 

部長もそれを確認したのか、今度は悪魔の駒(イーヴィル・ピース)をアーシアさんの胸元に置き、呪文を唱えようとした時だった...。

 

 

【ヒュゥーンッ…コロロロ…】

 

何かが僕たちの前に飛んで飛んできて転がった。

 

 

「ッ!?これは、イッセーの...」

 

そう、イッセーくんの転生の時に出てきたあのオレンジ色の七つの玉だったのだ。

 

僕たちが驚いていると、七つの玉は強い光を放ちだす。

 

 

『『ッッ!?』』

 

僕たちが驚いている中、肩を支えていたイッセーくんがフラフラとその球に前に立ち何かを呟いた。

 

「出でよ神龍(シェンロン)!そして我の願いを叶えたまえ!」

 

すると、強い光を放っていた七つの玉から光り輝く龍が飛び出した。

 

その龍は手乗りサイズではあったが、とても神々しく、神聖な雰囲気を醸し出していた。

 

 

『さぁ、願いを言え、どんな願いも一つだけ叶えてやろう...』

 

僕たちは何を言えばいいのか分からず黙りこくっている。するとイッセーくんが口を開いた。

 

「そこの少女、アーシア・アルジェントを蘇らせてほしい」

 

その話しかたは普段のイッセーくんからは似ても似つかないしっかりとしたものだった。

 

龍はその願いを聞いて...。

 

 

『容易いことだ...』

 

【キュゥゥゥン…!!】

 

龍の両目が紅く輝きすぐに消える...。

 

もう済んだのかとアーシアさんの方を見てみると......。

 

 

【パチッムクリ…】

 

 

「...あれ?私、生きて...」

 

アーシアさんが起き上がった。

 

イッセーくん、なんでか分からないけれどアーシアさんは助かったよ...。

 

君が命がけで体を這ってくれたおかげでこの子は助けられたんだ。

 

 

『願いは叶えてやった、さらばだ!』

 

龍はそれだけ言うと光となってイッセーくんの中へと消えていった。

 

それを最後にイッセー君はまた倒れてしまう。

 

 

「...あれが、ドラゴンボールの力...」

 

その光景を見ていた部長はまるで独り言のようにそう呟いているのだった...。

 

 

 




オッス!オラ悟空!

あり?どうしてみんなドラゴンボールのこと聞きたがんだ?

いぃっ!?オラがドラゴンボ-ルでアーシアを蘇らせたぁっ!?

次回!DRGON BALL D改!

神龍の秘密!アーシア悪魔に転生!?

ぜってえ見てくれよな!

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