一星龍の勧めで異世界へと行くことになった悟空。
向かった先で実力を遺憾なく発揮した悟空は再び眠りについた。
これからどうなる悟空!
あの大戦から五十年が経ち、悟空はある森の中で目覚めていた。
「くぁ…にしても、変わったもんだなぁ……前までボロッボロだったってのに」
そりゃあ五十年も経っていれば復興もするわい…お主が寝過ぎなんじゃ…。
「ひっでえなぁ…界王さま…仕方ねえじゃねえかよ……ん!?」
どうかしたのか?悟空
「気配を感じんだ…ってか界王さま、ナレーションは良いんか?」
おぉ、そうじゃったわい…。
「しっかりしてくれよ…界王さま……」
お前に言われたくはないわい!
ゴホンッ……悟空が気配に気づき正体を探っていると、目の前を傷だらけの女が走り去っていった。
「待て!逃がさんぞ!」
「旧魔王派は残らず始末する!」
そう言いながら、後ろから数人の男達が走っていく。
「なんだありゃ…あれじゃまるで弱いものいじめじゃねえか、オラがいっちょ懲らしめてやる!」
そう言うと悟空は男達の後を追っていくのだった。
sideout
side gureifia
もうどれほど戦い続けただろうか......
私、グレイフィア・ルキフグスは旧魔王派として新魔王派と戦っていた。
しかしある時敵の策略に嵌ってしまい、仲間が深手を負ってしまう。
私は仲間を逃がすため、敵の注意を引きつけるべく...一人囮をかって出た。
だが、その最中、私自身も敵の攻撃を受けてしまい深手を負ってしまう...。
それでも何とか生き延びて数日後、私はある森の中で身を隠していた。
傷を癒すためだ...もう、身体も心もズタズタだった。
新魔王派にだけは殺されてなるものか...と、それだけを心の支えにして生きてきた...。
しかし、運悪く新魔王派の追手に見つかってしまい逃走を図った。
だが、もう魔力は底をつき、体力ももうほとんど残っていない...。
「~ッ~ッ!!」
「待て!逃がさんぞ!」
その声と共に一発の魔力弾が私に被弾する。
「アグッッ!!」
その痛みと勢いで私は吹き飛ばされ倒れてしまう...。
近づいてくる男たち、その顔は下卑たものだった。
「へへっ手間取らせやがって」
「これでお前はお終いだ、旧魔王派は根絶やしにする!だがその前に...」
「お前で楽しませてもらうぜ...グヘヘ」
こんな所でこんな男たちの慰み者になるくらいなら舌を噛み切って死んだほうがマシだ...。
と、舌を嚙み千切る準備をしたところで一つの影が私の前に立ち塞がった。
それは青と黄の上下道着にカンフーシューズ、ボサボサの髪をした青年だった。
しかし私が驚いたのはそこではない...
その青年の腰辺りから生えている尻尾、私はそれを見てある光景を思い出した。
それは先の大戦の時......。
二天龍を相手に壊滅的な被害を受けていた
その英雄の姿に酷似していたのだから...。
だが、あの英雄がいたのは五十年も前...人間であるならば彼はとうの昔に寿命で亡くなっているはずなのだ。
私が混乱しているなか、その青年が男たちを睨みつけて話し出した。
「おめえ達何してやがんだ!コイツもうボロボロじゃねえか!」
青年の言葉に男たちはあざ笑うかのように答える。
「何をしているだと?見てわからんのか、悪を粛正しようとしているのだ」
「悪だと?何言ってんだ!コイツが何したってんだ!」
「ほう、どうやらそいつの事を知らないようだな、そいつは旧魔王派、言うなれば悪人だ」
「コイツが悪人?」
青年が不思議そうに私を見てくる。
「誰だか知りませんが早く逃げなさい...巻き込まれないうちに...」
そうだ、関係のない者を巻き込むわけにはいかない。
私は青年の眼を見据えてそう言った。
すると、青年はニッと笑むとまた男たちに向き直った。
「分かったか?ならばさっさと退け」
これでいい、青年は巻き込まれることはない...。
私が心中で安堵していると、次に青年の口から出た言葉はとんでもないものだった。
「・・・嫌だといったら?」
「ほう、ソイツが何者かを知ってなお断るか、いいだろうそこの女共々消してくれる!!」
そう叫ぶと男の一人が魔力弾を青年に向けて放つ。
「やめなさい!無関係な者を巻き込まないで!」
私は叫ぶがもう遅い...。青年は避ける素振りも見せず、飛んでくる魔力弾に当たった。
「ッ!!」
吹き荒れる爆風...それを防ぐように私は手で顔を覆う。
間に合わなかった...無関係な者を死なせてしまった...。
私が悲痛に苦しむなか、男たちは高笑いをしていた。
「はーっはっはっは!馬鹿が!我らに逆らうから悪いのだ!次はおm...ッ!?」
高笑いしていた男たちが不意に笑うのを止めた。
そして驚いたように先程の爆煙を見つめている...。
何があったのかと私もそちらを見る、すると......
「・・・ニッ!」
爆煙が晴れそこに立っていたのは先程魔力弾に呑まれたあの青年だったのです。
しかも体には傷一つ付けず、不敵な笑みで男たちを見ている青年。
「チッ一斉にかかれ!!」
男の一人の指示で男たちは一斉に魔力弾を青年に放ちます。
しかし青年はやはり避けようとはせず、片手を魔力弾に向けて構えると...?
「ハッ!!」
その一言の掛け声と共に青年の手から見えない何かが放たれると魔力弾達は綺麗に消失してしまう。
「な、なんだと!?」
「今度はこっちからいくぞ!だりゃあぁぁぁぁぁ!!」
そう言うと青年は男たちとの距離を瞬時に詰め、一人を一撃で沈めてしまう。
「ガッ・・・!!」
「まだまだいくぞ!」
そう言うと青年は残像ができるほどの速さで動き、追手の男たちを全て一撃で沈めてしまった。
「ったく、んな馬鹿なことやってねえで働け!」
そう最後に呟くと青年は思い出したように私のもとに来た。
「よっ!おめえでえじょうぶか?」
その青年を見上げて私はなんとか答える。
「えぇ、お陰様で...それより、何故助けたのですか?」
私は疑問を素直に投げかけてみる。
「ん?どうしてって...目の前に困ってる奴がいたら助けんのは当然だろ?」
「ッ!?」
その言葉に私は驚愕していた。
悪魔は基本、自身の欲に忠実だ。
助ければそれ相応の見返りを要求してくるものだ
しかしこの青年にはそれがない、混乱しないわけがない。
と、私が戸惑っていると青年は思い出したように懐をゴソゴソと弄り出すと何かを差し出してくる。
「ほれ、コイツを食え」
そう言って差し出された物は一粒の小さな豆だった。
こんなものを食べてどうしろというのだろう?
「あの、これは?」
疑問をそのまま口に出して聞いてみる。
「そいつは仙豆っつって一粒食えば元気いっぺえになるすげえ豆だ!まあ、とにかく食ってみろ」
訝しみながらも青年に促されるままに私は仙豆と呼ばれた豆を口に含み呑み込む。
するとどうだろう、あれだけ重かった体が嘘のように軽くなっており、あちこちに出来ていた傷も綺麗に塞がっているではないか!
「ッ!?こ、これは...!?」
私が驚くのを他所に青年は満足そうに頷いて話す。
「お!元気になったみてえだな、んじゃ、オラはもう行くぞ!またな!」
そう言うと私に背を向け歩き出していく。
私はその背中に慌てて声をかける。
「あの!お待ちください!」
「ん?なんだ?」
足を止めて振り返る青年に私は続ける。
「助けてくれたお礼がしたいので私の家にいらっしゃいませんか?」
そう誘うと青年は困ったような顔をして言った。
「悪りい、オラ、そんな時間ねえんだ...。もしまた今度じゃ駄目か?」
「そうですか...では、あなたのお名前を教えてください」
どうしてもこの方の事を知りたい...そう思ったら自然と口にして出していた。
「名前か?オラ、孫悟空だ!」
その直後、突風が吹き荒れ私は目を閉じてしまう。
風が止み、再び目を開けるとそこに青年の姿はなかった。
『またな!今度は掴まんじゃねえぞ?』と、どこからか青年の声が聞こえた気がした……。
辺りを見回しても見つけられなかった......
まるで一瞬にして消えてしまったかのように...。
「孫悟空様ですか...いつかまた会えるでしょうか...」
その言葉に帰ってくる返事はなかった...。
その日を境に私は旧魔王派を脱退し、悟空様の事を調べたが何も見つかることはなかった。
そんな私と悟空様が再開するのは遥か未来での話である...。
オッス!オラ悟空!
驚れえたぞ!次に起きたら今度は天界っちゅうとこにいるんだもんよ!
ん!?この気は!?まさか!?
次回!Dragon Ball D改!
天界を救え!魅せろ本場のかめはめ波!
ぜってえ見てくれよな!