DRAGON BALL D改   作:榛猫(筆休め中)

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前回までのDRAGONBALL D改......。

リアスの兄であり、魔王であるサーゼクスから、眷属の封印を解くことを許可された一誠たちグレモリー眷属は翌日、早速その封印を解除することを決めた。
だが、中で待っていたのは女装をした金髪の小柄な少年であった。


後輩を知れ!ギャスパーの持つ神器の力!

sideナレーション(界王)

 

 

「え、えっと...ひょうどう...いっせい...さん?ですかぁ...?ぶ、部長...こ、この方達は...?」

 

一誠の自己紹介に困惑したように返しながら、女装少年はリアスに問い掛ける。

 

 

「あなたがここにいる間に増えた眷属よ。『兵士(ポーン)』の兵藤一誠、『騎士(ナイト)』のゼノヴィア、そしてあなたと同じ『僧侶(ビショップ)』のアーシア」

 

 

他の二人もリアスの紹介の後、簡単に挨拶をするが、少年は......

 

 

「ヒイィィッ!!人がいっぱい増えてる!!」

 

...と、こんな有様である......。

 

 

「お願いだから、外に出ましょう?ね?もうあなたは封印されなくてもいいのよ?」

 

気を遣うようにリアスが優しく声をかけるが......

 

 

「嫌ですぅぅぅぅ!!僕に外の世界なんて無理なんだぁぁぁぁぁっ!!怖い!お外怖い!!どうせ僕が出てっても迷惑をかけるだけだよぉぉぉぉっ!!」

 

うぅむ...これは相当難儀な性格をしておるなぁ......

 

と、そこに...?

 

 

「何言ってんだおめえ、外は怖くなんかねえさ!ホラ、オラと一緒に行こうぜ?」

 

そう言って一誠がなんの前触れもなく少年に近づきその肩に触れた時だった。

 

 

ヒイィィィッ...!!

 

少年の悲鳴に近い絶叫と共に、時が止まった.........。

 

周囲は時間が止まったようにモノクロの風景となり、部屋の中ほぼ全員の動きが完全に停止させられる。

 

見れば、部屋にあった時計の針も止まっているではないか。

 

その止まった時の中で、それをした張本人は震えながら部屋の片隅に逃げようと歩き出そうとするが......

 

 

「ん?おめえどこ行くんだ」

 

そう言って肩を掴む者が一人いた。

 

そう、我らがヒーロー。兵藤一誠その人である。

 

 

ッッッ〜!?ヒッ...!!ヒギャアアァァァッ...!!

 

それに寄生を上げ、音速に近い速度で部屋の隅へと逃げた女装少年。

 

それと同時に時が動き出したのか、リアス達が一誠たちを見ている。

 

 

「やっぱり、あなたにはこの子の能力は効かないようね。この子はイッセーと同じ神器持ちよ。―――停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)。視界に映した全ての物の時間を停止させることができるの。まぁ、停止の対象が強い場合は効果が薄いようだけど」

 

リアスが何かを察したように話し出す。

 

 

「おかしいです。何か今一瞬......」

 

 

 

「......何かされたのは確かだね」

 

 

 

動き出した時の中でアーシアとゼノヴィアが驚き、朱乃と木場、小猫も事情を知っているからか小さくため息を吐いている。

 

 

「怒らないで! 怒らないで! ぶたないでくださぁぁぁぁいっ!!」

 

 

「だから何言ってんだおめえ...別にぶちゃしねえよ......」

 

流石の一誠も少しばかり困惑しているようだ......。

 

そうしていると、朱乃がよく分かってない一誠たちに説明をしてくれる。

 

 

「その子は興奮すると、視界...目に映るものの全ての時間を一定時間停止することが出来る神器(セイクリッド・ギア)を宿しているのです」

 

 

「じかんていしって...時をとめれっちまうんか!?おめえ...?!すげえ力持ってんだなぁ...!!」

 

 

「ヒイッ...!!」

 

一誠の驚きの言葉に少年はビクリと肩を震わせるだけ......。

 

そこに朱乃が補足の説明を入れてくれる。

 

 

「彼は神器(セイクリッド・ギア)を制御出来ないため、大公及び、魔王サーゼクスさまの命でここに封じられていたのです」

 

 

「へぇ...。良くわかんねえけど、すげえんだなおめえ...」

 

よく分かっていなかったのかお主は......

 

その言葉を聞きながら、リアスは少年を背中から優しく抱きしめながら口を開く。

 

 

「この子はギャスパー・ヴラディ。私の眷属の『僧侶(ビショップ)』。一応、駒王学園の一年生なの。――そして、転生前は人間と吸血鬼(ヴァンパイア)のハーフよ」

 

リアスの口から出てきた言葉はとんでもないものであった......。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「ほら、走れ! 逃げなければデュランダルの餌食になるぞ!」

 

 

「ひぃぃぃぃぃぃ!! デュランダルを振り回しながら追いかけてこないでぇぇぇぇ!! 一狩りされちゃうぅぅぅ!!!! ハントされるぅぅぅ!!!!」

 

聖剣デュランダルを手に、新たに出来た後輩を相手にゼノヴィアが活き活きとした顔でギャスパーを追いかけている光景が繰り広げられている......

 

こうなったのは少し前のこと......

 

リアスと朱乃から、ギャスパーの力やその体質、そして転生に使った駒の説明を受けた一誠たちは、現在、夕方に差しかかった時間帯に旧校舎の前で繰り広げていた......

 

リアスと朱乃、そして木場は現在魔王に呼び出されていて不在だ。

 

ギャスパーも必死に逃げており、鬼気迫る泣き顔でデュランダルから逃げ回っていた。

 

ゼノヴィア曰く『健全な精神は健全な肉体から』とのことらしいが、アレはどう見ても自身が楽しんでおるようにしか見えない......

 

そして事の発端は、一誠の『とりあえず外に慣れるために修行だな!!』という案から始まったものであったりする......。

 

 

「私と同じ『僧侶(ビショップ)』さんにお会いして光栄でしたのに、目も合わせて貰えませんでした......グスッ」

 

そう涙ぐみながら話しているのは、同じ僧侶(ビショップ)のアーシアである。

 

前々から良く『もう一人の僧侶(ビショップ)に会いたい』と言っていたのに、それがこんな極度の人見知り...というより人間嫌いではこうなっても仕方があるまい......。

 

その眼前では小猫がニンニクを手に持ち、ゼノヴィアと共にギャスパーを追いかけ回していた。

 

そして肝心の一誠だが......

 

 

「あいつら張り切ってんなぁ〜!!なんだかんだ言って修行好きなんだな!!」

 

 

「はい、一誠様...ですがそろそろ止めてあげた方が良いかと...」

 

と、別の方向で関心しているところを、何故か後から来たグレイフィアに窘められていた......。

 

 

「おっ、やってんな?」

 

その声と共に現れたのは生徒会メンバーの匙であった。

 

 

「ん?匙じゃねえか、オッス!」

 

 

「おう、兵藤。解禁されたっていう引きこもり眷属がいると聞いてちょっと見に来たぜ」

 

その顔には興味津々といった様子がありありと浮かんでいる。

 

 

「はははっ、おめえもか?ギャスパーの奴ならそこにいるぞ?あの逃げ回ってる奴がそうだ」

 

 

「おいおい...ゼノヴィア嬢、伝説の聖剣を随分豪快に振り回してんな......。いいのかアレ...?ってか、女の子じゃん!しかも金髪!!」

 

ギャスパーの姿を見て嬉しそうな匙だったが......。

 

 

「ははっ、おめえも騙されてんなぁ...アイツ、あんな格好してっけど実は男だぞ?」

 

 

「なん...だと...!?お前...アレで女装ってそりゃ詐欺だろ...!!どう見ても女の子にしかみえねえよ...誰かに見せるためにするための女装を引きこもりがしてるって...矛盾だらけじゃねえか...」

 

一誠の言葉にガックリと膝を着き嘆く匙......。

 

そこへ更に掛けられる声があった。

 

「へー、魔王眷属の悪魔の皆さん方はここで集まってお遊戯をしてるわけか」

 

そんな渋めの声に一誠以外の全員がそちらを見る。

 

 

「オッス!アザゼルのおっちゃん!」

 

 

「よー、赤龍帝、久しぶりだな。あの時の夜以来か?」

 

 

『アザゼル...!?』

 

一誠とグレイフィア以外の全員が一斉に臨戦態勢に入る。

 

それを見たアザゼルと名乗った青年は不敵に笑みを作り...

 

「やめとけ、お前たちじゃ俺には敵わんさ...そこの赤龍帝と女王(クイーン)なら話は別かもしれんが」

 

 

「へへへっ!なんなら試してみっか?」

 

一誠も負けじと不敵に笑みを受かべ、そうアザゼルに告げる。

 

 

「いや、遠慮しておく。今日は散歩ついでにあの聖魔剣使いを見に来ただけなんでね、でも姿が見えないようだが?」

 

 

「木場様でしたら今は不在です。魔王様に呼ばれておりますので...」

 

グレイフィアの言葉を聞いたアザゼルは少し肩を落とす。

 

 

「そうか、そいつは残念だ。それはそうとお前...」

 

 

「ヒィィッ...!!」

 

そう言ってアザゼルはギャスパーの方を見て話す......。

 

 

「『停止世界の邪眼(フォービドゥン・バロール・ビュー)』か。 そいつは使いこなせないと害悪になる代物だ。神器の補助具で不足している要素を補えばいいと思うが......そういや、悪魔は神器の研究が進んでいなかったな。五感から発動する神器は、持ち主のキャパシティが足りないと自然に動きだして危険極まりない」

 

その次に匙を見て言う。

 

 

「そっちのお前は『黒い龍脈』の所有者か?」

 

 

「...だったらなんだ!!」

 

目を付けられたと思った匙が身構える。

 

どうしても戦闘態勢を取ってしまう辺り、アザゼルへの恐怖心があるのだろう。

 

別に、そんな警戒するような男には見えんが......

 

 

「丁度良い。そのヴァンパイアの神器を練習させるならおまえさんが適役だ。ヴァンパイアにラインを接続して余分なパワーを吸い取りつつ発動させれば、暴走も少なく済むだろうさ」

 

そして尚も続ける。

 

 

「だが、神器上達の一番の近道は赤龍帝を宿した者の血を飲む事だ。ヴァンパイアなんだし、一度やってみるといい」

 

 

「......随分、神器(セイクリッド・ギア)にお詳しいのですね」

 

 

「...なに、ただ趣味で調べていたから分かっただけだ...信じるも信じないもお前たち次第だがな......」

 

それだけを告げ、アザゼルその場から去っていくのだった

 




オッス!オラ悟空!

あちゃぁ...ギャスパーの奴また閉じこもっちまった......。
どうも外が怖えみてえだ...なんかオラが力になれることあったかな......。
よし!いっちょ昔話でも聞かしてやっか!!

次回!DRAGONBALL D改!

心の壁をぶち破れ!一誠渾身の昔話!

ぜってえ見てくれよな!

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