ARMORED CORE Phantasma Plase 作:SUNRISE
エネルギーキャノンが壁面を砕き、砲弾の嵐が眼前を覆いつくす。
装甲がその全てを弾き、撒き散らされた砲弾の数々は鉄製の地面を耕していく。
左腕のスナイパーライフルを撃つが、眼前に居た巨体は僅かな残影を残して消えた。
残留したわずかな焔を目で追う。見つけた。
右腕に予めチャージしておいたレーザーライフルを撃つ。急制動の反動か硬直した巨体は避けることもままならず直撃した。
そこへロックが完了した両肩部のミサイルを放つ。二発のミサイルはリニアカタパルトによって余加速された後、ロケットエンジンが点火されて一瞬で最高速度にまで達する。
しかし復帰したARETHAは同じように一瞬で急加速をしてミサイルを振り切る。
次いで右腕のガトリングがすさまじい数の砲弾を吐き出す。僅かな段差を利用してブーストドライブ、さらに追加でハイブーストを噴かして一気に射界から逃れる。どうやら同時に砲弾を打ち出す影響かエアフローが劣悪なようで、一瞬の連射の後すぐに砲弾は途絶えた。
しかし、その隙間を縫ってエネルギーキャノンを放ってくる。TE防御の薄いこの機体では致命傷は必死だろう。
ブースターを切って慣性のままに放物線を描いて落下する。頭上をエネルギーの奔流が通り過ぎた。
着地してすぐさまブースターを点火しグライドブースト。迎撃の弾幕が眼前を覆いつくすが構わず直進し、スナイパーライフルを放つ。
粒子フィールドに阻まれながらも高速の砲弾は本体へ到達し、その装甲を強く叩いた。
砲弾が途絶える。目前には巨体。砲弾の奥から現れたことに驚愕しているのか動きは見られない。迷わずハイブーストのペダルを強く押し込んだ。
グライドブーストによって勢いの乗った70トンの体躯が、その全重量を乗せた蹴りを繰り出した。
並の砲弾を容易に受け止める粒子フィールドもこれを防ぐことはできず。莫大な運動エネルギーを受け止める。
咄嗟の判断で前へブースターを噴かしたらしく次の瞬間には遠く離れた位置に立っていた。そのため幾分かエネルギーが分散されたものの、もともと装甲が薄いのかダメージが見受けられた。
間髪いれずに、ガトリングが火を噴いた。弾幕が機体を覆いつくす。
強固な装甲によってダメージは少ないといえど、圧倒的な弾幕の前では効果は微妙だった。コンピュータがAPの注意を促す定型句を吐き出す。
右へハイブースト、直後にジャンプし、段差を蹴り上げ大きく飛び上がる。巨体はキャノンを向けているが機体を左右に揺らしてFCSを騙す。エネルギー弾は見当違いな方向へ飛んでいった。
一方でこちらはミサイルを放つと同時にスナイパーライフルを放つ。当然避けられるがミサイルがしっかりと巨体を追尾し、緑色の薄い膜を晴らす。そこへチャージしたレーザーを突き刺した。
突如として大爆発を起こし、花火のように砲弾が四方へ飛び交う。どうやらガトリングを盾にしたようだ。
煙が晴れると、依然として健在な巨体がその独特の複眼を光らせていた。
『さすがね。やっぱりあなたは強い。』
「満足か?いや、その調子だと満足そうには思えないな。」
『・・・でも、ここで決着を付けるのは許してくれなさそうね。』
崩れた壁面。そこから除く施設を支える柱は、ものの見事に粉砕されていた。
頭上からは瓦礫がぱらぱらと落ちてくる。
『わたしは、NORTH FRONTIERに行く。待っているわ。』
そう言って背を向け、両肩の大型ブースターが展開して、焔を残して消えた。
『
ノイズ混じりに聞こえた言葉を最後に、通信は途切れた。
「許さんよ。どこまででも追いかけてやるさ。ファットマンには悪いがな。」
そう嘯いた。しかしゆっくりはしていられない。
すでに施設の崩壊は深刻化している。大きな瓦礫が落ちてきて装甲を叩いた。
「さて、どうするか。」
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ヘリの中から、島を見下ろす。施設は沈みこんでただの瓦礫の山となっていた。
「それで、NORTH FRONTIERに行こうってのか。」
「ああ、さすがにヘリでは行けんだろう。近くの勢力圏とかで船に乗せてもらおう。」
「まるで世界一周旅行だな。ハハッ。」
リフトは崩壊の影響で動かなかったので壁を蹴りながら地道に登った。地上に着いたとたんに施設は崩壊したので、危うく下敷きになるところだった。
「それで、マギーとは分かり合えたのか。」
「いや、まだだ。まだ終わってない。」
あの時と同じ。”もう負けたくない”と彼女は言っていた。
だが、俺は勝たなければならない。傭兵にとって、敗北とは即ち死。
マギーを連れ戻して、この世界を生き伸びるために、俺は勝たなければならない。
それが、俺に与えられた権利と義務だからだ。
「