ARMORED CORE Phantasma Plase 作:SUNRISE
今俺達はシリウスの運行する大型輸送船に乗っている。
MID-CONTINENT、かつてヨーロッパと呼ばれた場所は現在シリウス・エグゼクティブが保有している。
さすがに長距離をヘリのみで移動すると言うのも骨が折れる。移動を兼ねて輸送船の護衛任務を請け負ったのだ。
今は内海へと入るべく海峡を突破しようと試みている。南にあるNEW-FRONTIER、アフリカ大陸はヴェニデの領地だ、襲撃される可能性は極めて高い。故に現在は船団全体が臨戦態勢となり。張り詰めた空気が全体を覆いつくしている。
襲撃を避けるため目視されにくい夜間での進行も考えられていたが避けることは叶わないであろうと結論付けられ、重武装を施した護衛船を周りに配置し、迎撃のしやすい日の昇っているうちに進行することになった。
途中で積荷を陸揚げし、陸路で物資を送る事も考えられたが量が多いため途中にある山地を抜けることは難しく、コストも掛かるだろうから結局は水路を利用することになった。
輸送船団を失いたくないシリウスは腕利きの傭兵を求めており、ちょうどよく白羽の矢が立ったというわけだ。
「傭兵、そろそろ海峡を抜けそうだ。」
「このまま何も起こらなければいいがな。」
「それでは金を出したこちらが馬鹿のようではないか。せめて何かしらは働いてもらわねば。」
「とは言っても何も起こらないんじゃあなぁ。」
そう独り言ちる。このまま行けば金を貰って尚且つ目的の場所まで運んでもらえるのだ。タダ乗りよりも美味しい結果が得られる。
「敵部隊を観測!距離、5000!」
「威嚇射撃を行え!CIWSは準備に移れ!」
「傭兵、仕事だ。きっちりと働いてもらうぞ。」
が、そうは行かないようだ。
『メインシステム、戦闘モードを起動します。』
ACのCOMがそう告げる。
モニタの中心にサイティングサークルが写る。
スキャンモードに切り替え、リコンをそれなりの角度を付けて射出する、かなりの大部隊だ。航空機、ACもいる。まぁ護衛艦、AC付きの輸送船団なのだから当たり前ではあるが。
「航空機にVLSを。すでに射程範囲だろう。さすがにACでは太刀打ちできない。」
「了解だ。VLS準備、目標は敵航空機編隊、ロックオンでき次第順次発射。」
ミサイルが割れるような音を鳴らしながら発射されていく。すでに主砲は攻撃に移っている。自分もここに突っ立ってはいられない。
グライドブーストを起動し、敵部隊へと突っ込む。上空では
視界の先では艦砲が敵部隊の防衛型MTを穿っていた。MTに比べ被弾面積の小さい戦車などは比較的残っていた。
道中で生き残りの防衛型を撃ち抜き、蹴り飛ばし先へ進む。飛行型のMTもいるようだ。
適度にガトリングなどで撃ち落し、迎撃が難しいものは護衛船団に任せる。
敵ACの狙撃を受けた。スナイパーキャノンを担いだ四脚の狙撃型だ。
「また狙撃型かよ・・・」
前回の依頼でも狙撃型が増援で出てきた。だがこちらのほうが狙撃の精度は高いだろう。
まだ距離はあるため、一瞬見える弾道を見極めて全て間一髪で避けながら道中の敵をなぎ倒していく。
不意に狙撃が止んだ。
「弾切れか?ならこっちの番だ。」
そのまま敵ACに向かって突っ込んでいく。しかし詰めが甘かったようだ。
視界の両端にミサイルの発射装置を積んだトラックが並んでいる。用意周到だな。
いくつかの被弾を受け、装甲が剥げる。そこにACのバトルライフルのHEAT砲弾が叩き込まれた。
「チッ、これはきついな。」
中量二脚はもともとHEAT砲弾、CEに対して抵抗が弱い。一気にAPが削られた。
四脚もKE、TEにに弱い。今の武装でも十分に通用するだろう。だが周りには大量のミサイル兵器群。突っ込めばミサイルの嵐に呑まれ、引けば四脚の狙撃特化バトルライフルに撃ち抜かれる。面倒な戦法だ。
だがこちらには護衛艦がいる。
「支援砲撃を頼む。リコンを大体の位置に撃つ、そこに頼む。」
リコンを射出し、そのまま後退する。相手は予想通りバトルライフルで狙撃してきた。
まだスナイパーキャノンほどの弾速ではないため避けられないことはないが先ほどと違い距離が近いためなかなか苦しい。
そこへ支援砲撃が降り注ぐ。
ミサイルトラックは一掃され、巻き込まれた四脚はそのあまりの衝撃に立ち止まった。
”今だ”
一気に距離を詰め、左ハンガーに付けられた必殺のブレード、MOONLIGHTを振るう。
直撃だ、相手の装甲が溶け、爆炎を上げる。そのまま倒れこみ、沈黙した。
周りを見てみれば敵部隊も虫の息だ。撤退を開始している。
「傭兵、敵部隊は撤退を始めた。何とか持ちこたえたな。」
「こちらも敵ACを落とした。それと先ほどの支援砲撃に感謝する。」
「身体を張って戦ってもらってるんだ、それくらいはどうってことはない。それよりもこの先また敵が出ないとは限らない。警戒は解くな。」
「了解だ。」
そう言って移動用の低燃費モードに切り替え、機体を制御するコンピュータ、モニタ、操縦系を除く全てのエネルギーをブースターに移し、グライドブーストで輸送船に戻る。
その後輸送船団は接敵することなく、無事に港へとたどり着いた。
AC、大型ヘリをガレージに収め、そのガレージを背に市街へ歩き出す。隣ではファットマンが眠たそうに屈伸をしている。60歳とは思えないような姿だ。
「ファットマン、戦闘の時は何をしていたんだ。」
「寝ていたよ。ヘリの操縦ってのは疲れんだ。」
「こっちは命のやり取りしてるんだがな。」
「操縦をミスってもすぐ死には繋がらないだろう?こっちはちょっとしたミスで死んじまう。常に気を張ってないとあの世行きだ。」
「鼻歌を歌いながら操縦してる奴の言う事とは思えないな。それに戦場だったらACでもちょっとしたミスで死ぬだろうに。」
「はっはっは。違いねぇ。」
先ずは情報集めだ。俺達がここに来た目的は観光じゃない。
何か情報を知ってる奴を探さないと。