ARMORED CORE Phantasma Plase 作:SUNRISE
旧世代施設のあるSOUTH ISLANDS西部から北西へ大凡10,000km進んだところ、太平洋のその中心には島がある。先日得られた情報によると、かつてハワイ島と呼ばれたそれにはそれなりに大規模な旧世代施設が存在するらしい。
「なんたってそんな誰も寄り付かないような場所に作ったのかね。」
「知られたくないが残さなければならなかったものがあるんだろう。事実、デザインドやカルティベイター、ファンタズマビーイングなんかの機密情報が保管されているようだ。」
ハワイ島には巨大な火山がある。それは数百か千年以上前に巨大規模の噴火を起こしたとの記録があり、世界が崩壊する原因のひとつとなったのではないかと囁かれている。
また、その施設建造時には地質調査がなされ、その噴火が起因となって大規模な地殻変動が起こり、ホットスポットが閉ざされ火山活動が一切として見られず完全に沈黙しているとの調査結果もある。地盤沈下による都市の浸水もあるとのことだ。
「だから船も航空機も出しちゃくれねぇ。おかげでヘリの整備が大変になりそうだ。」
「それが昔の連中の目論見だろうに。ははは」
ACをファットマンのヘリに係留し、その10,000kmを移動している。眼下には底の見えないほど深い海が広がっていた。
本来であれば大型クルーザーを利用するかSTOVL輸送機を使うなどをするのだが、大海の中心にある前人未到、正体不明の島など誰も船や航空機を出してくれず、仕方なくファットマンのヘリで飛んでいるというわけだ。
大型ヘリ・・・F21C STORKもACと同じ技術(主に動力や駆動部)が流用されているため、前時代のヘリと比べ圧倒的な航続能力や到達高度、積載能力、防御性能を持ち合わせているが、やはり長距離移動は航空機や
脆弱な駆動部分が多く、航空力学的に不安定なヘリは高速移動や長距離飛行には適していない。
「あれじゃないか?例のハワイ島ってのは。」
「・・・あぁ。」
遠方に黒い点が見える。観測用カメラの倍率を上げてみれば、それが火山灰や冷え固まった溶岩で覆われた島であることがわかった。
そして、半ば水没した都市部と情報どおりの旧世代施設の姿も見える。
また、この荒廃した世界では珍しく、植物が生い茂っていることも確認できた。
「やーっと落ち着けるな。一度ACを下ろすぞ。」
「ポイントにマーカーをセット。あそこなら広いし大丈夫だろう。」
水没しておらず、開けた場所を見つけたので近くにACを下ろしヘリを降下させる。
古いタイプのF21Cは、ACの係留装置がロッキングアーム式のため安定性はあるものの汎用性に欠けていた。いくらACが堅剛で、その体躯が持つ大重量の投下に耐えうるとしても常用的にその莫大な圧力を与えることは望ましくない。人の手が離れている場合であれば、姿勢制御やブースターによる軽減も不可能なためなおさらである。
また、アーム式は再度の係留が非常に難しく、洗練されたOSがあったとしても、周囲の地形によっては強力なツインローターから送られる風圧が乱気流となってバランスを崩しやすかった。
それで生まれたのが改修型のワイヤ式である。非戦闘時ではワイヤを伸ばし、係留装置自体を降下させてACを接地、係留装置のロックをはずしてワイヤを引き上げる。係留時は逆の動作である。これによって迅速かつ安全、効率的な作業が可能となった。
無論、戦闘時は係留装置そのものを外して即座に投下が可能である。
「俺はここで待機しているよ。
「俺は周辺の警戒と探索をしてくる。探せば使えそうなものもあるかもしれないし、安全が確保できたら、しばらくはここに簡易拠点を作るか。その前にはひとまずアセンブルを考えておくか。」
「了解だ。たまには勢力争いの喧騒から離れるってのもいいかもしれないな。」
三大勢力の手が届いていない未踏地域、未知数の危険が目の前に広がっている。それも旧世代文明が隠した遺産ともなれば生半可なものではないだろう。
だが、その分眠っているモノは勢力図を大きく塗り替えかねないモノばかりではなかろうか。
手に余るにしても。その情報や力を持っておくのは悪くない。それに、本来の目的が大前提であるからな。
未知の恐怖とそれに伴う高揚が身を高ぶらせ、