ARMORED CORE Phantasma Plase   作:SUNRISE

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ACT8 ~Days~

「しかし、何もないな。やはり誰も来なかったからか。」

 

リコンをばら撒いても反応はなし、スキャンモードであたりを見回してもコンクリートばかりで目ぼしいものはない。

コンクリートの建物はほとんどが水没していたり、固まった溶岩に埋もれていたり、あるいは人手の離れたその当時から変わりなかったりと様々だった。尚も、人っ子一人寄り付かない廃墟であることは共通だが。

遠くには目当ての旧世代施設がその姿をちらつかせていた。

 

「明日にでも内部を探索するか。一旦切り上げて・・・」

 

その時、AD-134の特徴的な両肩部指向性レーダー・ソナーセンサーが水平線の先に反応を捉え、咄嗟に廃ビルの陰に隠れた。

 

「間違いない、マギー(00-ARETHA)だ。」

 

その体躯は島の内陸にある施設へと向かい、陰に隠れて見えなくなった。

確信を抱くが、不用意に突っ込むべきではないことも承知している。

一先ず拠点へ戻り、アセンブルを見直してから行くべきだろう。ファットマンとも話をすべきだ。

グライドブーストで足早に臨時拠点への帰路へ着いた。

 

 

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「何か良さそうなモノは見つかったか?」

「物は見つからなかったが人は見つけたよ。厳密にはそれ(マギー)の乗った兵器だがな。」

「そりゃいいことだ。行くのか?」

「ああ。その前に下拵えをしてからだがな。手伝ってくれ。」

 

作業用具を運ぶ片手間に晩酌を始めていたファットマンと話をつけてアセンブルを開始する。

 

前にハッキングしたデータによれば、(00-ARETHA)は例の黒い鳥(N-WGIX/v)と同種とみられ、特殊粒子を用いた粒子フィールドを持つ。それには、レーザーやスナイパーライフルなどのような高速弾が有効だそうだ。プラズマやパルス系、大きな爆発を起こす砲弾なども、粒子フィールドの減衰に非常に有効である。

黒い鳥(N-WGIX/v)の場合はTE攻撃を意識した設計だったそうだが、データーベースからの情報では、コイツ(00-ARETHA)の場合は黒い鳥(N-WGIX/v)とは間逆の「初期型」であるためそういったTE防御能力は持ち合わせていない。

よって、対AC戦で愛用していたレーザーライフル、スナイパーライフル、ハイスピードミサイルの組み合わせにすることにした。

 

組み終わったACに早速乗り込み、戦闘モードを立ち上げる。

OSがアセンブリした兵装を認識し、プログラムをオンラインにする。

右手のレーザーライフルにエネルギーを供給するパイプが接続された。

 

「行くのか。」

「ああ。ここからなら近いし、自力で行くよ。それに、ヘリはいまはお休み中だしな。」

「はっはっは。なかなかかわいいこと言うじゃねぇか。」

 

ファットマンに出撃する旨を伝えて、ACを歩ませる。少し離れた場所で、ブースターを点火した。

噴き出される炎が砂を巻き上げ、砂や地面を焼き付ける。

出力を最大にまで絞り上げる。70トンもの体躯が浮き上がり、すさまじい速度で前進する。

目指すは眼前に望む施設。足早にその地へと向かった。

 

 

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施設は簡素で、防衛用の兵器類も供給されるエネルギーが止まっているのかすべて沈黙していた。

中心あたりには情報処理系の建物が鎮座している。その足元に、シャッターで閉められた入り口があった。

ぱっと見、依頼などでよく見かけるモノと同じだ。防衛設備が働いていないということを除いてだが。

 

「コンタクトは可能か?・・・できるみたいだな。」

 

非常用の電源が生きているのか、システムに介入することはできた。プロテクトも掛かっていないようで、難なくシャターを開けることができた。

シャッターの奥にはAC数機が入れそうな小部屋がある。リフトだ。ここも変わりない。

 

「本当にここにあるのか・・・?」

 

今になって懐疑心が湧き上がる。重要であることは変わりないだろうが。兵力からしてもそれが感じられない。

しかし、あの機体(00-ARETHA)が入って行ったのだから少なくとも意義はあるだろう。

疑問を抱えたまま、リフトを起動した。

 

階層は最深部と地上の二つだけしかないという異様なリフトは非常に長く、なんらかの秘匿性があることが窺い知れる。

リフトが減速し、軽いGを体に感じながら完全に停止した。シャッターが開かれる。

 

そこは非常に広く、奥深くまで続いていた。光がどこからか差し込み、俗に天使の梯子と呼ばれるそれを生み出している。機械的ながらも幻想的なその光景は、非常に美しい。

中心は小高くなっており、そこに彼女(00-ARETHA)が背を向けて立っていた。

 

『ここは、古い時代に、揺り篭へ力を送っていたモノよ。』

 

背を向けたまま、彼女はそう嘯く。

 

『その揺り篭では、平和で安全な日々(Days)を謳歌できたらしいわ。足元では、血みどろで汚染されきった日々(Days)があったっていうのにね。』

 

あの時と同じ、優しくも儚いような声音。

 

「・・・俺が来ることが分かっていたのか?」

 

『予感はしてた。でも、こうも的中するとは思わなかった。』

 

こちらを振り向いてそう答える。

頭部がなく、異様に細長い腕と巨大な肩。その細腕で支えれるとは思えないほど巨大な、5連装ガトリングとエネルギーキャノン。

旧世代の遺物。世界を破滅させた力の根源。

 

「お前は、どうしたいんだ。」

『私は、ただ負けたくないだけ。』

 

いつかそう言っていた。今でも覚えている。それほど前の出来事でもないが。

 

『あの後、私は目が覚めた。そこは旧世代施設の中で、近くにはこの機体があった。』

 

『それが、私には最後のチャンスのように思えた。』

 

『だから私は、すべてを投げ打ったのよ。』

 

メカニカルな音声が途切れ途切れに、淡々と言葉を重ねる。

 

『そう言う貴方は、どうしたいの。』

「・・・わからない。ただ、連れ戻しに来ただけさ。」

 

彼女が左手に持つエネルギーキャノンに光が集まる。

 

『そう。でも、わたしはまだ戻れない。』

 

呼応するように右手のレーザーライフルをチャージする。

 

『もう一度、決着を付けるまでは。』

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