戦闘狂マスターと愉快な狂戦士たち   作:clockman

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特異点F-2-

戦闘狂マスターと愉快な狂戦士たち

 

蒼い奔流に吸い込まれ、気が付くと焼け野原にいた。

 

すぐさま戦闘態勢に移る。まずは周囲の確認。安全が確認できるまで気を抜いてはならない。

 

瓦礫の山、火の海、だがここはカルデアスには見えない。 むしろどこか馴染みのある光景に見えた。

 

 

 

「あのー・・・先輩。」

 

 

 

すぐさま振り向く。

 

そこにはきわどい鎧を着たキリエライトが立っていた。 下半身もちゃんとある。

 

 

 

「キリエライト、生きていたのか。 体はどうした。大丈夫か?」

 

「はい、なんとか。 詳しくはあとで説明します。 それよりもまずは拠点を探しましょう。」

 

「あぁ。 ・・・いや、先にお客さんのようだ。」

 

 

 

瓦礫の陰から現れたのは剣を持った骸骨兵だった。

 

これは、魔術的なものを感じるな。

 

 

 

「・・・!!! 先輩、離れていてください。 ここは私が!」

 

「いや、けが人に戦わせるわけにはいかない。 ここは俺が何とかする。」

 

 

 

GAME START(魔術回路、起動)

 

魔術回路を起動し、自身に強化を施す。 いつもより魔術の通りがいいことにすこし疑問を感じたが、それよりもすることがある。

 

自分は彼女の制止を聞かずに飛び出した。

 

敵は三体。速攻で1体を片づければ二対一だ。 見たところそこまで強い気配もない。 一瞬で終わらせる。

 

 

すばやく近寄り、拳を放つ。

 

だがそんな俺よりも早く、キリエライトが別の骸骨兵に攻撃をしていた。

 

 

流石に驚いたが目の前の敵が先だ。自分が骸骨兵を倒した時には向こうはすでに二体とも片付けていた。

 

 

 

「驚いたな。 まさか君がそこまで強かったとは。」

 

「いえ、これは私自身の力ではなくて・・・。 それよりも先輩もお強いんですね。」

 

「まぁ、これくらいの輩に遅れは取らないさ。 それよりも、瓦礫の山に火の海、骸骨兵と来たか。 ここは非常に危険だな。」

 

「はい。 早くカルデアと連絡が取れればいいのですが。」

 

 

 

下から鳴き声が聞こえる。 どうやらフォウも着いて来てしまったようだ。

 

こんなところにいても大丈夫なのだろうか?

 

 

 

「あっ、フォウさん、着いてきちゃったんですか。」

 

フォウの頭を撫でながらマシュが言う。

 

 

そうこうしていると、急に目の前にホログラムが現れた。

 

 

『藤丸君、マシュ無事かい!?』

 

そこにはDr.ロマンの姿が映っていた。 カルデアから通信がつながったらしい。

 

 

 

 

彼との通信で現状を把握できた。

 

現在自分たちはファーストミッションで調査予定だった特異点F、2004年の冬木市にいるらしい。機械の誤作動か恣意的なものかはわからないが、知らぬ間にレイシフトをしていたようだ。

 

そして、マシュはサーヴァントと人の融合体、デミ・サーヴァントになっているらしい。

 

サーヴァントとは大昔や神話の時代に活躍した英雄を世界の外にある英霊の座から現世に呼び出して使役する一種の使い魔のようなものであり、召喚者たるマスターは彼らの力を借りる代わりに魔力の供給源となる。

 

マシュは自身のうちに存在した英霊から力を譲り受けて人のまま英霊に、デミ・サーヴァントになったらしい。そのついでに体も全快したと。

 

なるほど。確かにサーヴァントならば先ほどの戦闘力にも納得ができる。

 

 

一方のカルデアは悲惨だ。生き残った正規スタッフはDr.ロマンを入れて二十人に満たずレフ教授の生死も不明、マスター候補も自分を除いて危篤状態。カルデアはその機能の八割を失ったと言っていた。

 

自分たちに下された指令は、霊地を確保しカルデアとの通信を安定させること。途中何度か骸骨兵の襲撃があったものの難なく撃退し、あと少し、というところですぐ近くで女性の悲鳴が響いた。

 

 

 

「もう、なんで私がこんな目に・・・! レフッ! レフーッ!」

 

 

そこにはへっぴり腰で骸骨兵と向き合う所長がいた。必死に助けを求めている。

 

自分たちは無言で顔を見合わせ、うなづいた。ここに来るまでの数戦で大分連携は慣れ、マシュの能力も把握した。

 

 

マシュは防御に特化したサーヴァントだ。クラスはシールダー。ランクA以下の魔術を無効化する対魔力を持ち、スキルもすべて防御に関するものだ。さらに自分以外の味方陣営を守護する際に発揮される自陣防御というスキルも持っている。

 

その反面、攻撃面でのスキルはなく、盾で殴るか素手で殴るかくらいしか戦闘方法がない。だが英霊ではない骸骨兵ごときに遅れは取らない。

 

 

敵は五体。このくらいなら瞬殺である。

 

自身とマシュに強化をかけ、マシュは骸骨兵に、自分は所長に駆け寄る。

 

 

 

「気は確かですか、所長!」

 

「―――!? あなたは、さっきの! 何故ここにいるの!? あなたはミッションから外したはずなのに!」

 

このまま喋らせると面倒そうだったので、手で口をふさいで黙らせる。

 

「細かいことはいいんで、現状を説明します。 黙って聞いてください。 いいですね?」

 

 

 

マシュが戦っている間に、大体の説明は済ませた。 話が進むたびに取り乱していたが、その都度落ち着くように言い聞かせると徐々に静かになっていった。最後の方は無駄口をたたかず黙ってうなずいていた。

 

 

 

「・・・わかったわ。とりあえず霊脈を探しましょう。 話はそこからよ。」

 

先ほどの醜態がなかったかのように取り繕った物言いで所長は言った。

 

 

「あの・・・、霊脈はちょうど所長の下にあるかと。」

 

「な!? わ、わかってたわよそれくらい! さぁ早くここにその宝具を置いて。」

 

 

 

苦しい言い訳だがそっとしておこう。

 

マシュは言われたとおりに盾を置き、所長が魔術的な操作を行うと、その瞬間周囲が青い空間に包まれた。

 

 

「これは・・・カルデアにあった召喚実験場と同じ・・・。」

 

『シーキュー、シーキュー。 もしもーし! よし、通信が戻ったぞ!』

 

「・・・レフがいないのは本当のようね。」

 

『その声は、所長!? 生きてたんですか!? あの爆発の中で!? しかも無傷!? どんだけ!?』

 

「そういうのはいいから! ・・・藤丸から大体のことは聞いているわ。 それよりマスター適正者は? どう対処してるの?」

 

『・・・47人、全員が危篤状態です。医療器具も足りません。何名か助けることはできても、全員は―――』

 

「馬鹿! すぐに凍結保存に移行しなさい! 蘇生は後回し、死なせないことが最優先よ!」

 

 

なるほど、確かにそれは英断だ。

 

許可のない凍結保存は犯罪ではないかとマシュが聞くと、所長はこう言った。

 

 

「バカ言わないで! 死んでさえいなければ後でいくらでも弁明できるからに決まってるでしょう!?」

 

 

 

だいたい47人分の命なんて、私に背負えるわけないじゃないと頭を抱えてうずくまる所長。

 

人としては小さいが、魔術師としては十分善良な類だろう。 信用してもいいかもしれない。

 

 

 

「ところで所長。 今回の件は保険がきくんですか? どう考えても新入社員が対応する問題じゃないと思うんですが。」

 

「保険がほしいのはこっちよ! あぁもうこんなときにレフがいてくれたら・・・!」

 

 

 

所長はDr.ロマンにレイシフトの修理を指示し、自分たちには特異点Fの調査を命令した。原因の解明や解析はいいらしい。とりあえずこのまま手ぶらで帰ると魔術協会からせっつかれてまずいそうだ。

 

自分は魔術協会には所属していないのでよくわからないが、所長の口ぶりから相当嫌な奴らのようだ。

 

 

 

「ところで、戦力の件なんですが。」

 

「なによ。 こっちには一騎当千のデミ・サーヴァントがついているのよ? 怖気づいたのかしら?」

 

 

少しカチンときたが、我慢する

 

 

「いえ、マシュはどうやら防御特化型のようなので、攻撃性能自体はサーヴァントの中では低いようなんです。」

 

「なんですって!? マシュ、それは本当?」

 

「・・・はい。 本当です。 それにまだ宝具も使えなくて・・・。」

 

「はぁ!? 宝具が使えないですって!? どうしてそれを先に言わないの!」

 

 

ヒステリックになってきたので無理やり肩を叩いて止める。

 

 

「落ち着いてください所長。 だから聞きたいことがあるんです。 今ここで、サーヴァントを呼び出すことは可能ですか?」

 

「ひっ! こ、ここで? そりゃできなくはないかもしれないけど、成功するかはわからないわよ?」

 

「かまいません。 さっきまでキリエライトはけが人だったんです。 彼女に戦闘のすべてを任せるわけにはいきません。」

 

「先輩、私別に無理をしているわけでは・・・。 それに、サーヴァントを増やすと先輩に負担がかかります。」

 

「自分はこう見えても魔力量は多い。 今の消費くらいならもう一人増えてもなんとかなるさ。 それにキミも、体は大丈夫でも精神は疲労しているように見える。 できるなら戦力は増やすべきだ。」

 

 

それにキミを信頼していないわけではない、と目を見て答える。

 

自分の意思が伝わったのか、キリエライトは躊躇いがちに首を縦に振った。

 

 

 

「はぁ、そこまでいうならわかったわ。 幸い、ここでの英霊召喚は呪文を必要としないの。そこら辺は全部機械がやってくれるわ。あなたは来てほしい英霊を念じながら私が教えたとおりに魔力を流しなさい。」

 

「なるほど、それはよかった。 難しい魔術を使えと言われたらどうしようもなかった。 なんせ自分は強化と念話しか使えないからな。」

 

「はぁっ!? あんたへっぽこにもほどがあるでしょ!? 本当に魔術師なの!?」

 

「あいにく、根源をそれほど真剣に目指しているわけじゃないんですよ。」

 

 

 

軽口をたたきながら指示通りに魔力を通す。空間に魔力が満ちていく。ほどなくして、青白い三つの円がマシュの盾の上に現れた。それはグルグルと稲妻を走らせながら回転を続け、やがて白い光が放たれた。

 

 

 

―――そこには、岩のようにゴツゴツとした傷だらけの肉体を持つ半裸の巨大な男がいた。

 

 

 

「バーサーカー スパルタクス。 早速で悪いが、君は圧政者かな?」




可愛い女の子は当分出ないぜ!!!
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