ホープライトプリキュア   作:SnowWind

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この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、架空のものとは関係ありません。


第6話
第6話・プロローグ


 晴れた週初の朝、陽子と健治は仕事へ向かうために家を後にする。

 

「それじゃあ蛍、学校頑張るんだぞ。」

 

「うん!おとーさんとおかーさんも、おしごとがんばってね!」

 

「蛍、行ってきます。」

 

 いつも通り、愛娘に見送られる朝。

 ただいつもと違うのは、その愛娘の声が普段よりも明るく大きかったところか。

 

「蛍、朝から上機嫌だったな。」

 

「朝からじゃないわ。一昨日帰って来てからずっとよ。」

 

 2人は一昨日の夕方のことを思い出す。

 上機嫌に帰って来た蛍は、親である健治と陽子ですらほとんど見たことないような高いテンションで、

 

「おとーさん!おかーさん!わたしね!今日はじめておともだちができたの!!

 おなじクラスのかなめちゃんとひなこちゃんって人でね!ふたりともすっごくやさしくて!

 かなめちゃんは運動がすっごくとくいで!ひなこちゃんはものすごい読書家で!!」

 

 と、生まれて初めて出来た友達のことを1時間に渡って熱く語ったのだ。

 そして昨日も朝早くからずっと、早く明日にならないかと1人で呟いていた。

 健治と陽子の知る限り、蛍が学校のある日を心待ちにしていた記憶はない。

 別段、クラスでいじめを受けていたわけではないが、仲の良い友達同士でコミュニティを作ることが多い学校は、蛍にとってはひと際、孤独を感じる場所だった。

 友達がいない寂しさの余り、不登校になりかけたことさえあったほどだ。

 そんな蛍が、学校へ行くことが楽しみで仕方がないと言う。

 その心境の変化は、親である健治と陽子にとっては嬉しいことであり、同時に感慨深いことでもあるのだ。

 

「だからって、何もあそこまで張り切らなくてもいいのにね。」

 

 クスクス、と笑いながらも若干呆れた調子で話す陽子。

 健治もその様子を見て苦笑し、昨日の晩と今朝、台所に立っていた蛍の姿を思い出す。

 親の目から見ても、少し『やり過ぎ』と思うことではあったが、友達相手に『それ』を振る舞うところを想像し、不安げな表情と楽し気な表情を交互に見せられては、止めに止められないというものだ。

『親バカ』と思われるかもしれないが、蛍にとっては友達と過ごす初めての学校生活となるのだ。それならば成功するにせよ、失敗するにせよ、蛍の好きなようにさせてみたかった。

 

「だけど、楽しそうで良かったじゃないか。」

 

「そうね。・・・蛍、学校、楽しんでらっしゃい。」

 

 一旦家の方を振り向き、今ごろ学校へ行く支度をしているであろう蛍を思いながら、2人は仕事へと向かうのだった。

 

 

 

 

 …

 

 

 

 

 蛍は逸る気持ちを抑えながら、学校へ行く支度をする。

 今日から学校へ行けば友達に会うことができる。

 ずっと願い続けて来た、友達と一緒に学校生活を謳歌するという夢がついに叶うのだ。

 蛍の頭の中に、内に秘め続けて来た思いが次から次へと浮かび上がっていく。

 その全てが今日から現実のもになると思うと、学校へ行きたくて仕方がなかった。

 学校へ行きたくないと思うことは数あれど、学校へ行きたいだなんて思うことは今まで一度もなかったのに、友達が出来るだけで、こんなにも印象が変わるとは思わなかった。

 

「よし、じゅんびできた!」

 

 昨日の晩から準備し、いつもよりもさらに早起きして作った『とっておき』を鞄に入れる。

 

「蛍、いってらっしゃい。」

 

 そんな蛍を、チェリーが笑顔で見送る。

 

「うん!いってきます!」

 

 蛍も大きな声で返事をし、駆け足で学校へ向かった。

 

 

 駆け足で学校へ向かった蛍は、いつもよりも早い時間に学校へ着いた。

 それでも今の蛍には、学校までの道のりはとても長く感じられた。

 ようやく教室の前まで辿りつき、引き戸を開ける。

 自席の方へ目を向けると、前の席には要と雛子の姿が会った。

 2人の姿を確認した蛍は表情をさらに明るくし、小走りで自席へと向かった。

 すると蛍に気づいた2人が、こちらへと振り向いた。

 蛍は自席に鞄を置いた後、2人に向かって大きく手をあげる。

 今日からクラスメートではなく、友達として2人と接するのだ。

 心機一転の意も込め、まずは元気よく挨拶をするところから始めよう。

 大きな声で、2人の名前で、他人行儀にならないように、そして笑顔で。

 

「かなめちゃん!ひなこちゃん!おっはよー!」

 

 大きな声で挨拶する蛍に対してクラス中の生徒が注目する。

 だが蛍はその視線に気づかず、目の前にいる要と雛子のことしか視界に入っていなかった。

 

「・・・。」

 

「・・・。」

 

 だが視線はちゃんと合っているのに、いつまで経っても2人から返事が来なかった。

 そればかりか、2人とも鳩が豆鉄砲を喰らったかのような表情で、蛍を見たまま固まってしまう。

 

「・・・あれ?」

 

 そんな2人の様子を見ながら、蛍も笑顔のまま固まるのだった。

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