第13話・プロローグ
フェアリーキングダムを必ず救い出す。
その思いを強く胸に秘め、キュアブレイズは城下街の大広間にある、希望の鐘の元へと向かう。
この世界の希望の象徴たる鐘の音を響かせることができれば、人々の希望を取り戻すきっかけになると信じて。
「ふん。」
こちらを鼻で笑いながら、アンドラスが目の前へと躍り出た。
繰り出される拳に対して、キュアブレイズも拳を突き付ける。
互いの拳は中央でぶつかり合い、光と闇の力の本流を生み出した。
その渦に巻き込まれて彼のフードが飛び、キュアブレイズは初めてアンドラスの素顔を見た。
外見は30代前半ほど。
白髪のオールバックで整った顔立ちの持ち主だが、その肌は青白く生気を感じさせなかった。
「キュアブレイズ、もう少し賢いやつかと思っていたが、存外バカだな。
おめおめと逃げ延びたと言うのに、自ら倒されるために戻ってくるとは。」
挑発的な物言いだがキュアブレイズは気に留めない。
「倒されるためじゃないわ。この世界を救いに来たのよ!」
「ふっ、ならば猶更のバカだ。
絶望の闇に満ちたこの世界を救えると、本気で思っているのか?」
すると横からキュアスパークが雷を纏った拳でアンドラスへと殴りかかった。
アンドラスはそれを回避し、空中へと飛び距離を開ける。
「本気だからここまで来たんだよ。」
「4人のプリキュアが揃えば、大いなる奇跡が訪れる。
私たちはそれを信じてここまで来たのだから。」
後ろからキュアプリズムも続き、キュアシャインも合わせた4人のプリキュアがアンドラスと正面から対峙する。
「くくっ、はははっ!あんな伝説の一文をここまで真に受けるとは。
救いようのないバカ共よな。」
だがそんな4人をアンドラスは笑い飛ばした。
キュアスパークが鋭くアンドラスを睨み付けるが、直後彼の周囲に絶望の闇が渦巻き始める。
「なっ、なに?」
驚くキュアシャインだが、キュアブレイズはその現象に身に覚えがあった。
キュアシャインが強大な希望の光を発した時も、膨大な光の奔流が渦を生み出していた。
その逆の現象が、今この場で起きているのだろうか?
「ならば貴様らに教えてやろう。」
渦巻く絶望の闇がアンドラスの体内へと吸収されていく。
そして彼の身体が一気に膨張していった。
「一切の希望の光が差す余地もない、真の絶望をな!!」
やがてアンドラスの身体はソルダークの倍はあろう巨体へと変化していく。
背には鳥類のような翼が、手には鋭利な爪が生え、下半身が4つ足の獣へと変わり狼の首が伸びて遠吠えを上げる。
身体はまるで狼の脊椎から伸びているかのようだ。
そしてアンドラスの頭も人のものではなく、フクロウのものへと変わっていた。
その姿は、人の姿を象ったフクロウが、狼に跨っているかのようだ。
「巨大化して、変身した・・・?」
ソルダークでもここまでの異形な姿は見せたことはない。
初めて相対する巨大な怪物を前にキュアブレイズたちは気圧されてしまう。
そんなプリキュアたちをアンドラスは、フクロウの目で見下ろすのだった。