転移した先に待っていたのは豪華絢爛というイメージを軽く4度は考え治さなければいけないほどの大広間。
しかしその認識は間違っていたとわかる大広間ではなかったのだ。奥へと続く真紅の絨毯。高すぎる天井には奥への道を示すかのようにホコリ1つ無いかのような輝きを見せるシャンデリアが一定の間隔に連なっている。そこは大きさ豪華さを除けば間違いなく『廊下』だった。
「ここはナザリック地下大墳墓、第9階層の最奥部。第10階層『玉座』へと繋がっております。なお、ここからのご案内はシャルティア様ではなく私、ユリ・アルファが務めさせていただきます。」
スバル一行が気付かない一瞬の間に先程までいた銀髪の少女は姿を消し、黒髪にメガネを掛けたメイドが1人現れていた。
「ほえ~凄いなぁ」
「スバルはこういう時いつも落ち着いているわよね。私とか新しい事だらけでさっきからずっとびっくり仰天なんだから」
「エミリアたん、びっくり仰天ってきょうび聞かねえな。」
「確かにバルスだけ知っているような素振りで気に入らないわね」
「スバルばかり状況が分かっててずるいかしら。詳しく教えるのよ!」
「いやいや!俺もわかってる訳じゃねえから!ただすこーしだけ妄想と言う名の予備知識が多かっただけで。それよりアインズさん待たせるのも悪いから早く行こうぜ、ねえアルファさん?」
「はい。そうして下さるとありがたいです。」
ユリに連れられて先の見えない無限に続くような廊下を歩いて行く。ちなみになぜユリ・アルファが案内役を勤めているかと言うとプレアデスの中から1人案内役をと、アインズに言われアインズ考案の『じゃんけん』なるもので決めたときに『拳』での『勝負』事において補正のかかるクラスを持っていたユリが実は有利だったため最後まで勝ち残っていたためである。
「すいません、アルファさんはアインズさんと言う人のお仲間さんなんですか?」
「お、オットー久しぶりにしゃべったな」
「ええ、僕は一般人ですからスバルさんみたいに一瞬で状況に対応出来る訳じゃないんですよ」
「おまえなあ、まるで人が一般人じゃないみたいに言いやがってベスト・オブ・一般人とは人呼んで俺のことだぞ?」
「はいはい。それでどうなんでしょうか?」
「仲間ではありません。配下のメイドの1人です。今のナザリックにはアインズ様の配下の者かシモベしかいません。」
「そうなんですかでは配下やシモベの方々は何人ほど?」
「そういったことを把握している者は他にいるのですが…万は下らないのではないでしょうか?」
「万!?万ですか!?スバルさん本当にそのアインズさんと言う方は仲間になってくれるんですか!?」
「んー?大丈夫だろ約束したしな」
「一気に大手の商会の会長とかに会う時の緊張感が、が、が」
そして廊下を歩いていると唐突に何もない空間で暗転する。まるで瞬きのように自然にすると無限に続くかとも思えた長い廊下に突き当たりが見えた。ここからでも分かるほど巨大な扉。その左右には悪魔と天使が彫られている。遠くからでも分かるあまりに精巧に作られたそれらは今にも動きだしそうであった。
扉の目の前まで辿り着くと、
「私の案内はここまでとなります。この先でアインズ様はお待ちです。」
礼儀正しく完璧にお辞儀をしてみせたユリ・アルファに促されるように扉へと近付くと
「大将ォ、この先本当ッに味方なんだっろうなァ。もし1人でも敵だったら、死ッぬぜェ俺ら。」
ここまで最後尾を歩いていたガーフィールがスバルの横まで来てそう言う。隠しきれない冷や汗を垂らして
その言葉を聞いて他のメンバーにも緊張感が張り詰める。しかし、その言葉を否定したのは不動を貫いていたメイドだった。ほんの、気付かれないようなほんの少しの笑みを浮かべて
「ご心配ありません。アインズ様がそのお名前にかけて歓迎せよとおっしゃりましたゆえ、危害が加わるようなことは一切ありはしません。」
力強く断言したユリ・アルファの言葉に幾分か安心したような雰囲気が漂い一行は扉へと向き合う
「それじゃ!あんまり待たせちゃ悪いからな!いこうか!」
そして1歩踏み出すと重厚で何人で押しても開かなそうな扉がひとりでに滑らかに開く。
━そして
パァン!!
「「ようこそ!ナザリックへ!」」
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「それで配下の者達は私自身が外に出ることを否定的なのだよ…」
「アインズさんも大変なんだな」
「ああ、だから何かあったら部下の者を送るからよろしく頼むよ」
※※※※
「ですので、ガーフィールさんは戦い方を鍛えているのは良いので、力の伝え方を鍛えてはいかが?」
「力の伝え方ッてもなァ…想像しにッくいしな。」
「力を波で考えるのおそらく身体能力的にはボク達プレアデスと大差ないわ。独学で考えてきた技を他の人から学んでみるのも大切よ?」
※※※※
「フム…氷ヲ使ッタ戦イ方ヲ目指シテイルノダナ。スマナイ、ソウナルトアマリ私カラ教エルコトハ少ナイカモシレナイナ。私ハ氷ハ単純ニシカ使ワナイ、冷気ニヨル攻撃ヲ中心ニシテイルノデナ」
「そう、残念ね。氷の武器で戦う戦法をスバルと考えたからそれをもっと強くできればなって思ったんだけど。」
「氷ノ武器デ戦ウノカ!ナラバ話ハ別ダ。コノナザリックデ私ハ武器ニヨル戦闘ハ得意ダト自負シテイル。武器ノ使イ方ナラバ助言モデキヨウ!」
「本当!すごーく助かっちゃう!」
※※※※
「可愛いメイドさんっすね!いまいくつっすか?」
「17よ。離しなさい私はロズワール様のところへ行かないと」
「いけずっす~!ラーちゃんお姉さんと良いことしないっすか?」
「私はロズワール様一筋よあきらめなさい」
※※※※
「貴方がスバル様の妃?」
「はあ!?何を言っているのかしら!べティはスバルとは契約はしてるけれど婚約なんてしないかしら!」
「あら、そうなの?貴方から1番信頼関係を感じたのだけれど。恋に歳も種族も関係ないわ!ああ!アインズ様!」
「見た目まともそうだったのに中身は残念かしら…」
扉を開けた瞬間のクラッカーによる歓迎から小一時間、それぞれが雑談に興じていた。自然とある程度の共通点があるもの同士が話ているように見えるアインズ組とスバル組それぞれが協力関係になることが今回をもって双方の共通認識となった。
そして最後にスバル達が屋敷に帰ることになったとき
「今日はありがとうアインズさん!まじで心強いよ!」
「はは!またいつでも来ると良いスバル君のお仲間さんもね。直通の転移門でも設置しようか」
「またあれ通るんですか?僕あれ苦手ですよ」
「んじゃオットーは帰り歩きな!ちなみにここエリオール大森林の中だぜ」
「待ってくださいよ!初耳!ってか置いてかないでくださいよ!?」
「お、なんか既視感あるなデジャヴ~」
「ふむ最後に提案なのだがそちらに私の部下を連絡員として住まわせるのはどうかな?」
「俺は大賛成だけど皆は?」
誰も否定の色は見せない
「私は必要なことだと思ーうよ。歓迎しようじゃーぁないの。」
「よしよし。何人くらいが良いだろうか?」
「人数は最初二人とかでどうだ?少なければ後から増やすとして、誰に頼むかだと、あんまり人形から離れてるのは外を歩くとき不便になっちゃうかもしれないし…」
「なるほどな目立たない方が良いかならアウラ、ユリお前達に命ずる」
「「は!」」
「不都合があれば追々になくれぐれも『仲良く』たのむぞ」
「「拝命承りました。」」
「それに付随してだなこれを渡そう」
「これは!リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン!よろしいのですか!?アインズ様!至高の方々しか嵌めることを許されていないものをわたしなんかが!」
━別にそういうわけじゃ無いんだけどなあ
「よい。これから任務としてナザリックを離れてもらうが緊急の用事が出来たときに不便であろう?ユリお前にも渡そう」
「ありがとうございます。アインズ様」
「よろしい。では行け」
「これからよろしくお願いします改めましてユリ・アルファと申します。」
「アウラ・ベラ・フィオーラです。よろしく!」
「よろしくな!」「よろしくね」「おうッ!」「よろしくお願いします」「よろしくお願いするわ」「よろしくかしら」
来たときと同じように転移門でロズワール邸へと帰る。ただし二人の新メンバーを連れて。エミリア陣営は一気に大きくなったと言えよう。まとめあげるのは至難の業かも知れない。