「リヴェータ。これからどうするんだ?」
問うのは細身の褐色の男ジミー。リヴェータは、睨み付けながら答える。
「あんたはいつになったら様を付けるのよ!……そうね。あの街の内情を知りたいわ。誰かまた内部に忍び込んでほしいのだけれど」
「なら、わしが行こうかの」
獣の耳を生やした亜人であるゲルデハイラが答える。リヴェータは少しだけ迷ったが、それを許した。
「あそこは手練れが多い。下手に兵を投入するより少数精鋭で行った方がいいと思うぞ」
「そうね。任せたわ」
ゲルデハイラが一人離れていく。リヴェータは、全員を改めて指揮する。
「まずはあのいけ好かない男に言われた通り同じ異界からきた奴をこっちに引き入れる。向こうも異界の人間を集めている可能性がある。急ぐわよ!」
ハーツ・オブ・クイーンが動く。しかし、何もない草原を走り続けても、人の姿すら見えない。
「何よあの男!本当に同じ異界と来ている人間がいるの!?いいように雑用されてんじゃないでしょうね!」
「リヴェータ……様、奴はいると断言していない」
「知ってるわよそんなこと!腹立つわね!」
苛立ちを隠さず馬でリヴェータとハーツ・オブ・クイーン。しかし、何処からか爆発音が聞こえてくる。その音に、リヴェータは気を引き締めた
「誰かがいるわ!行くわよ!」
走り出すハーツ・オブ・クイーン。そこでは、巨大な獣を従える男と黒い羽を生やした男が戦っていた。
「負けるな!アウデアムス!」
「チッ。やるな……!」
獣の爪を男はぎりぎりでかわす。反撃に振るう剣は、獣の右足をかすめる。
このままじゃまずいな、と思ったリヴェータは。遠くから信号弾を二人の中心目がけて撃った。突然の乱入者に、二人は固まる。
「悪いけどそこまでよ。なんで戦ってたのかは知らないけど。とりあえず武器を下ろしなさい」
「お前たちこそなんだ?急に割り込んできて」
「もしかしてこの世界の警察かなんかか!?やばい。俺たちはえーと……遊んでた?」
「遊んでたあ?何言ってんのよ」
「それはですねー」
羽を生やした男の後ろから、天使のような外見の女の子が出てくる。女の子は、棒読みで説明を始めた。
「うちの魔王様ったらひどいんですよ。この人の犬を見るなり急に戦いたいって。いやー野蛮な魔王様は怖いですねえ」
「ルシエラ。嘘をつくな」
魔王と呼ばれた男が止める。よく見ると、二人が戦ってた奥の方から次々と人や羽を生やした者が出てきた。
「説明すると長くなる。とりあえず全員集めないか?お前たちの話も聞きたい。ここがどこで、お前たちは何者なのか」
「アルさん。何かを聞くときは自分から名乗った方がいいですよ」
「……アルドベリク。アルドベリク・ゴドーだ」
「リヴェータ・イレよ。魔王様」
少しむっとするアルドベリク。それを見て、ルシエラと呼ばれた少女と後ろの羽を生やした者が何人か笑っていた。