妖精の尻尾 -王の器-(一時凍結)   作:さまそくん

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妖精女王
【王vs女王】


 

 

 

 

 

 

 妖精の尻尾に来てから、そろそろ一週間が経つ。この世界では、【魔法】が一般的に使われている。インソムニア…俺達の世界では、そうでは無かった。王の血を引くものが、クリスタルの力を得て漸く使えるのが魔法。王の盾や、王の剣達は、それの擬似的な物を使う。

 

 この世界のそんな様子に、未だに戸惑っている。

 

 

 「君がノクティスか。私はエルザ。よろしく頼む。」

 

 

 その俺に話しかけてきたのは、緋色の髪が目立つ女だった。怖そうな見た目とは裏腹に、フレンドリーに話しかけてくるその様子に、俺は少し微笑んでしまう。

 

 

 「…あ、な、何か変だったか?」

 

 

 その微笑みに少し困惑し、あたふたし始める。可愛げのある奴だ、と俺は一人でに思う。

 誤解されたままでは少し困るので、しっかりと質問の答えを出す。

 

 

 「いや、変じゃなかったぞ。ただ、なかなかフレンドリーだったからな…。」

 

 

 「はは、言えてるな。そういえば、まだ妖精の尻尾には入ってなかったか?いい所だぞ、ここは。」

 

 

 いい所、という言葉に、苦虫を噛み潰した様な顔をする。俺は、ここがいい所なのは知ってる。皆いい奴だ。

 でも、過去の事…親父やルーナ、タルコットにイリス、コル将軍達や…そして、イグニス、グラディオ、プロンプト。彼らの事を考えてしまうと、足が竦む。今まで一緒にいた彼らを差し置いて、ここで楽しんでしまっていいのだろうか。彼らの代わりの様に、ここの人達を扱っていいのだろうか。俺には、そんな事出来ない。

 

 俺は思ったより長く考えていたのか、エルザが覗き込む様に心配してきた。

 

 

 「ん、大丈夫だ。ちと考え事しててな。」

 

 

 俺はエルザにそう言うと、エルザは一つ溜息をつき、安堵の表情を浮かべる。喜怒哀楽がハッキリと見える。感情が豊かなのだろうか?それとも、そう、印象がよく見えるだけか?

 そんな事を考えていると、エルザから頼み事が。

 

 

 「頼みがある。」

 

 

 「ん?」

 

 

 「手合わせ願う。」

 

 

 それ命令じゃね、と俺は思う。

 エルザの魔法らしきものが、空間を歪ませ、剣を出現させた。その剣は、俺がいつも愛用していたファントムソードに激似していた。

 ちらり、とエルザの目を見ると、真っ直ぐと鋭い眼光を俺に向け、その目からは紛れもない〝闘志〟と〝決意〟が感じられた。

逃げられない。これは真っ向から挑まれた戦いだ。

 

 

 「…」

 

 

 ならば、俺は。

 

 召喚できる分かったファントムソードの一部を召喚し、キィンと、震える刀身を聳え立たせる、一つの剣を握る。握った剣は、やはりどこか懐かしさを感じさせる。

 

 召喚した剣の様子をエルザがマジマジと見つめる。「私と似ているな…」と時折呟いている。

 

 無理もない。だが、俺のファントムソードがエルザの魔法に劣っているとは思わない。

 だが、それはエルザも同じだろう。自身の魔法が相手よりも劣っているとは思ってない筈だ。エルザは、決意に満ちた目を持つ戦士だ。

 

 俺は、民の命を背負うという事を、世界の為に命を燃やすという行為を知った理解者だ。

 

 俺の実力。この世界ではどこまで通じんだろーな。

 

 笑みがこぼれたのを合図に、エルザの構える剣と、俺の握る剣がぶつかり合い、火花を散らした。

 

 

 

 

 

 

 △▼△▼△

 

 

 

 

 

 

 金属と金属が強い力で擦れ合う音がマグノリアに響いた。桜の様に散り合う火花の先には、お互いの鋭い眼光が。

 

 そして、その煌めく目の下で釣り合う口角が開き、言葉を発する。

 

 

 「やるな…っ!」

 

 

 「そりゃどうも…っ!」

 

 

 お互いは笑みを浮かべる。満足そうに、如何にも楽しそうに。

 

 火花が止み、静寂が訪れる。そして、その静寂を断ち切る様に、お互いが後ろへステップする。

 

 

 「っオラァ!!」

 

 

 ステップした後、足がついた地を蹴り、風の様にエルザに飛んで行く。それと同時に、剣を縦に構える。

 無論、エルザはそれを冷静に対処する。フッと笑い、自身も飛び出した。

 

 そして、2度目の剣のぶつかり合い。今度は火花は散らなかった。が、お互いの頬に、一つだけ切り傷がつき、そこから血がブシュ、と飛び出す。そして、その血はそのまま頬を流れ、お互いの唇を舐める様に下ってゆく。

 

 

 「いい重みだ。ノクティス…お前は剣技を習っていたのか?」

 

 

 エルザは、鋭い眼光を崩さずに微笑みながら、俺に問う。

 …エルザもエルザだ。グラディオ程ではないが、本当に女性なのか疑う程に力が強く、その剣には速さが宿る。振るわれた剣尖に歪み、迷いはなく、ただただ目の前にいる敵を斬るためだけにあるのだろうと確信する。

 

 …いい剣技だ。

 

 そして、俺は質問に答える。

 

 

 「へへ、俺に教えてくれる兄貴分がいてな。そいつから教わった。エルザ、アンタは独学なのか?」

 

 

 質問の答えと同時に、俺も問う。兄貴分は、無論グラディオであり、それ以上でもそれ以下でもない。

 エルザは、まさにその通りだ、という表情を浮かべながら、俺に言った。

 

 

 「ああ、独学だ。でも、私の剣に、私に迷いはないぞ。」

 

 

 「へっ。そりゃお互い様だ。俺もねーよ。」

 

 

 「だろうな。お前の剣からは硬い決意が感じられる。」

 

 

 「それもお互い様だ。誰かを守る為に振るってきた剣だ…誰かに折られる程弱くねーぜ!」

 

 

 「言葉を借りる。お互い様だっ!!」

 

 

 お互いにお互いを褒め合う。そして、振るう剣にはお互いの決意が宿る。そして、その決意を振るい合う二人には、笑顔が浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 △▼△▼△

 

 

 

 

 

 

 「フッ!!」

 

 

 エルザが鈍色に光る剣尖を振るう。空を斬る音と共に現れる、刀身。

 ノクティスはしっかりとそれに反応し、剣を斜めに構え、それを受け流す。

 ノクティスが一撃を受け流すのを読んでいたのか、すぐさま剣を逆手に持ち、ノクティスに一撃を見舞う。

 

 

 「ッ!?」

 

 

 これに、ノクティスは反応しきれない。咄嗟に、刀身を垂直に傾け、平面の部分と、エルザの振るった剣の先が火花を散らしながらぶつかり合う。

 

 だが、二人共それでは終わらない。今度は俺の番だと言わんばかりに、ノクティスがファントムソードの一部を再展開し、〝修羅王の刃〟を構える。

 修羅王の刃は、ノクティスが二番目に手に入れたファントムソードだ。強大な一撃の代わりに、速さを捨てる事になる。

 

 そして、その修羅王の刃を、ぶっきらぼうに、横に振るう。勢いが乗った一撃は、刃の重みと加算され、素早いものになる。ノクティスはこれを読んでいた。

 

 エルザは、その刃を躱し、しゃがんだ。そして、ノクティスはそのしゃがんだ時に出来た隙を見逃さなかった。

 

 修羅王の刃をしまい、〝覇王の大剣〟を構える。そして、それを思い切りエルザのしゃがむ地面へ叩き込む。

 

 

 「何っ!?」

 

 

 エルザは隙を付かれた、と確信した。そして、ノクティスには、隙を見逃さない鋭い観察力があると本能的に察する。

 そうも考えてるうちに、振るわれた大剣はエルザの目と鼻の先に迫る。

 体を無理矢理横に転がし、間一髪で避けた。

 

 大剣は、地面という地面を穿ち、大きな砂煙を上げた。そして、その砂煙に紛れて、咄嗟に、ノクティスは【シフト(瞬間移動)】した。

 

 無論、エルザはそれを確認する事が出来なかった。だが、出来なかったからと言って、すぐさまやられてしまう様な程、エルザは弱くない。

 

 

 「ハァッ!!」

 

 

 エルザの元に剣を投げ、【シフト(瞬間移動)】しようとする。

 それは叶わず、エルザは投げられた剣を咄嗟に掴み、横の壁に、投げ飛ばして突き刺した。【シフト(瞬間移動)】というのは、投げた剣の所に移動する。つまり、剣が刺さっている横の壁に移動してしまう。

 

 

 「やっばぁっ!!」

 

 

 本能的に、これから何が起こるのかを察し、もう移動し始めた体を戻そうとする。だが、上手くいかずに、移動してしまう。

 

 エルザは、それを分かっていたかのように、刺さっている剣の場所へ、自身の剣を振るう。

 

 

 「────!」

 

 

 ノクティスは、剣を喰らう。

 

 

 「おわぁっ!?」

 

 

 吹き飛ばされるノクティス。だが、宙を舞っている最中でも、エルザは攻撃してくるであろうと思う。

 

 咄嗟に、エルザのいる場所とは全く別の所へ、剣を投げて【シフト(瞬間移動)】する。

 

 

 「…やるな…ノクティスッ!!」

 

 

 「はは、アンタもな…エルザァッ!!」

 

 

 お互いがお互いの名前を呼ぶと同時に、お互いが前へ飛び出し、お互いがお互いの剣をぶつけ合う。

 

 

 「ッ!!」

 

 

 「くっ!!」

 

 

 力では、ノクティスの方が上か。ノクティスがエルザを弾き飛ばした。弾き飛ばされた影響で、エルザに大きな隙が出来る。

 

 

 ────その隙を、ノクティスは見逃さない。

 

 

 ノクティスはすぐさまファントムソードを切り替え、〝賢王の剣〟を召喚する。そして、その召喚した剣をエルザに投げる。

 その際、エルザからギリギリの死角の所で、真下にエンジンブレードを投げる。陽動作戦だ。

 エルザに投げた賢王の剣、それに【シフト(瞬間移動)】すると見せかけ、真下のエンジンブレードに【シフト(瞬間移動)】する。そして、下から奇襲するというのがノクティスの作戦だ。

 

 そして、作戦は上手くいく。

 エルザは賢王の剣を弾き飛ばした。そして、あたかも弾き飛ばされた方の剣に【シフト(瞬間移動)】したかのように見せるノクティス。

 エルザはそれに気づかず、賢王の剣の方へ、二弾ジャンプする。

 

 

 「っはぁ!!」

 

 

 ノクティスが出現する時間を予測して、エルザは剣を振るった。が、剣は文字通り空を舞った。

 

 

 「何っ!?何処だ────」

 

 

 「…終わりぃっ!!」

 

 

 気付いたときにはもう遅い。ノクティスはエンジンブレードを構えて、エルザの懐に潜っていた。そして、エンジンブレードが振るわれる。

 

 

 

 

 

 

 

 が、エンジンブレードが文字通り砕け散った。

 

 

 「…!?」

 

 

 唖然とするノクティス。

 ふと、エルザの方へ目を向ける。

 

 ────そこには、鎧の形状が変化し、剣の形も不特定多数に、計り知れない魔力を蓄えた、一人の妖精女王がいた。

 

 

 「まだまだこれからだぞ、ノクティス…。」

 

 

 ニヤリ、と笑いながらそう言い放ったエルザ。

 それを目の当たりにしたノクティスは、はっはっは、と高笑いする。

 対して、エルザはふふふ、と浅い笑みを浮かべている。

 

 ノクティスが、首を鳴らしながら言った。

 

 

 「…俺もこの程度だと思うか?」

 

 

 と。

 

 

 妖精女王とルシスの王。

 王同士の戦いは、まだまだ終わりそうにない。否、これからが始まりなのかもしれない。これが一つの出来事だとしたら、これはまだ序章なのだろう。

 そして、釣り上がった口角の中、二人が口を開く。

 

 「「さあ、まだまだ勝負はこれからだ!!!」」

 

 

 

 




戦闘シーンって難しいんすね
文中に出てきた単語を少し。



シフト
主人公ノクティスが使う、バトルシステムの一つです。剣を投げ、投げた剣の位置に瞬間移動します。ゲームでは、無論、MPを消費します。

俺はストーリーでの移動で、魔道ブースト剤?を使って消費MPを0にして、常にシフトしながら移動してました。早いですよ。



賢王の剣
障壁を建て、都を護った王の証。
剣を投げつけシフトする初撃は、極めて強力。

形状は片手剣。

FINAL FANTASY XVでは、物語の中で一番最初に手に入れる、第一本目のファントムソードになります。賢王の墓所で、必然的に手に入ります。この作品では、シフト用に…悪く言えば囮ように使われてます。



修羅王の刃
領土を広げ、民を豊かにした武勲多き王の証。
その一撃は遅く重たいが、威力は絶大。

武器の形状は斧。

FINAL FANTASY XVでは、chapter2の、キカトリーク塹壕跡、奥の王の墓所で手に入ります。ストーリー上では、賢王の剣の後に手に入るので、ノクティスが手に入れた二本目のファントムソードになりまね。
この作品では、体重と遠心力を使って、速さをあげています。モンハンの大剣3タメの後の横に振るうあれみたいな感じだと思ってください。

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