借り物の黒で本物の白を目指す 作:折遠
短いですが、どうぞ!
「パーフェクト……」
「パズル…?」
「完璧な謎って、何だよそれ…」
見た目は余りにも貧弱そうではある。
しかし【彼】の放つ、鋭く刺さる様な威圧感が【彼】の事を軽視する事を決して許さない。
「パーフェクトパズルは、ゲームエリアのあらゆる物質を自在に操るパズルゲームだ。例えば…」
宝物を自慢する調子で語る【彼】は、そう言うと、手でパネルをスライドするように動かす。すると周囲を漂っていた"エナジーアイテム"が独りでに【彼】の指示に従う様に動き始める。
まずはこれだ、と【彼】が呟いた瞬間、一つの"エナジーアイテム"にパズルピースの様なエフェクトが踊る。
その"エナジーアイテム"がくるくると回転しながらアーマーに触れる。
《高速化!》
そして【彼】は力を抜くように腕や足を振った直後………
金属同士がぶつかり合う音に反射的に振り向くと、其処に居た筈の1人の隊員の姿が無かった。その代わりに居たのは、拳を振り切った【彼】。
この時点で漸く、格の違いに
『コイツは
これが、AST隊員の【彼】……仮面ライダーパラドクスの評価である。
やられたままでは済まさないと攻撃したものは躱され、逃げようとした者は容赦無くぶっ飛ばす。
そして【彼】自身は"エナジーアイテム"の《挑発》を使う等をしてハンデを負った中でAST隊員達を圧倒していった。
「オイオイ、これで終わりかよ」
怒気の篭った声音で呟いた【彼】。
其処に急激に接近し、ただ機械的に近接ブレードを振るう存在がいた。
「これ以上、邪魔はさせない」
「おっと、真打の登場か?
いいぜ、
それを見て楽しげな調子を取り戻した【彼】は、ホルダーから"ガシャットギアデュアル"を取り出して、ダイアルを先程とは逆の方に180度回転させた。
《KNOCK OUT FIGHTER!》
《The strongest fist!Round1Rock & Fire!》
パーフェクトパズルの時とは真逆と言ってもいい程に違う待機音。自然と力が入るような
同じ様にスイッチを押し、"ガシャットギアデュアル"をホルダーに戻すと同時、
《DUAL UP!》
《Explosion Hit!
KNOCK OUT FIGHTER!》
赤いパネルを通り抜けた【彼】は、まだ違う姿になっていた。
両肩にあった"マテリアルショルダー"は、特殊燃焼装置"マテリアバーナー"による炎を纏う拳"マテリアライズスマッシャー"に。
"セレクテッドモニター"には、パーフェクトパズルとは違い、燃え盛る炎が描かれている。
顔は先程まで後ろにあった、鉢巻をつけた赤い髪の武闘家をイメージした顔。
「また姿が変わった…?」
「"ノックアウトファイター"は、相手をKOするまで叩きのめす格闘対戦ゲーム。
【彼】の戦い方が変わった。"パーフェクトパズル"では、"エナジーアイテム"を用いた強化で圧倒してきた。"ノックアウトファイター"では、拳と炎による苛烈な攻撃をメインに据えて戦っている。
又しても姿が変わったという動揺が生まれたと同時に、今までのリズムを崩されたASTは先程よりも早く倒されていく。
「くっ………速い…!」
「オイオイ、折角本気を出そうと思ったのに…」
それは、援軍らしき白髪の少女にも当てはまった様だ。回避と受け流しに専念し過ぎて、攻撃が全く行えていない。
そんな彼女を見た【彼】は、一気にやる気を無くしてしまった。
そもそも、【彼】が戦闘を始めた理由はフードの少女を助ける為である。その少女は戦闘中に何処かに行ってしまったようなので、戦う理由が既に存在しない。それでも戦いを辞めなかったのは、相手にやる気があったからであろう。
しかし、誰一人として【彼】に食らいつく事も出来ずに敗北していったことで【彼】の興味は完全になくなった。
ホルダーから"ガシャットギアデュアル"を引き抜き、ダイアルを元の位置に戻してスイッチを押す。その動作で変身は解除され、【彼】は元の姿に戻った。
「あーあ、この程度か。期待しただけ、損だったかもな」
身構えているASTを前にして、謎のエフェクトとともに【彼】は消えた。
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空間震警報の発令により、無人となったあるビルの上。そんな光景を見ていた青年がいた。
その服装は【彼】と全く同じ。違うところといえば、髪型と顔つき位のものだろう。
「まさか、こんな
何かを確かめる様に、ココロを込めて呟く。その瞳に映るのは、純粋な
「今度はオレが___
___オマエを救う」
「其れがオマエの望みなんだろ、
最後の言葉は、口には出さなかった。
そんな青年は拳を握り、名前らしきものを呟き_____
_____【彼】のようにパズルピースのエフェクトと共に消えた。
最近執筆時間を取れていないので、少しおかしいところなどあるかもしれません…
こちらは今後もこのようなペースで進めていきます
御意見等ありましたらお気軽にコメントしてください。
では次回も、期待せずお待ちください!