借り物の黒で本物の白を目指す   作:折遠

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誕生日に滑り込み投稿…!

短いですが、どうぞ!


力技で解くパズルもある

「パーフェクト……」

 

「パズル…?」

 

「完璧な謎って、何だよそれ…」

 

 

見た目は余りにも貧弱そうではある。

しかし【彼】の放つ、鋭く刺さる様な威圧感が【彼】の事を軽視する事を決して許さない。

 

 

「パーフェクトパズルは、ゲームエリアのあらゆる物質を自在に操るパズルゲームだ。例えば…」

 

 

宝物を自慢する調子で語る【彼】は、そう言うと、手でパネルをスライドするように動かす。すると周囲を漂っていた"エナジーアイテム"が独りでに【彼】の指示に従う様に動き始める。

まずはこれだ、と【彼】が呟いた瞬間、一つの"エナジーアイテム"にパズルピースの様なエフェクトが踊る。

その"エナジーアイテム"がくるくると回転しながらアーマーに触れる。

 

 

《高速化!》

 

 

そして【彼】は力を抜くように腕や足を振った直後………

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

金属同士がぶつかり合う音に反射的に振り向くと、其処に居た筈の1人の隊員の姿が無かった。その代わりに居たのは、拳を振り切った【彼】。

随意領域(テリトリー)を展開しているとはいえ、認識できるような速度ではない。下手をすれば銃弾よりも遥かに速いであろう。

 

この時点で漸く、格の違いに()()()()()()()()()()が現れた。

 

『コイツは()()()()()()()()()

 

これが、AST隊員の【彼】……仮面ライダーパラドクスの評価である。

 

やられたままでは済まさないと攻撃したものは躱され、逃げようとした者は容赦無くぶっ飛ばす。

そして【彼】自身は"エナジーアイテム"の《挑発》を使う等をしてハンデを負った中でAST隊員達を圧倒していった。

 

 

 

「オイオイ、これで終わりかよ」

 

 

 

怒気の篭った声音で呟いた【彼】。

其処に急激に接近し、ただ機械的に近接ブレードを振るう存在がいた。

 

 

「これ以上、邪魔はさせない」

 

 

「おっと、真打の登場か?

いいぜ、()()()()!」

 

 

AST(奴等)の援軍らしい白髪が割り込んできた。

それを見て楽しげな調子を取り戻した【彼】は、ホルダーから"ガシャットギアデュアル"を取り出して、ダイアルを先程とは逆の方に180度回転させた。

 

 

 

 

 

《KNOCK OUT FIGHTER!》

 

 

 

《The strongest fist!Round1Rock & Fire!》

 

 

 

 

 

パーフェクトパズルの時とは真逆と言ってもいい程に違う待機音。自然と力が入るような()()音声(こえ)

同じ様にスイッチを押し、"ガシャットギアデュアル"をホルダーに戻すと同時、静かに叫んだ(心から嗤った)

 

 

 

 

「大変身」

 

 

 

 

《DUAL UP!》

 

 

《Explosion Hit!

 

KNOCK OUT FIGHTER!》

 

 

 

赤いパネルを通り抜けた【彼】は、まだ違う姿になっていた。

両肩にあった"マテリアルショルダー"は、特殊燃焼装置"マテリアバーナー"による炎を纏う拳"マテリアライズスマッシャー"に。

"セレクテッドモニター"には、パーフェクトパズルとは違い、燃え盛る炎が描かれている。

顔は先程まで後ろにあった、鉢巻をつけた赤い髪の武闘家をイメージした顔。

 

 

 

「また姿が変わった…?」

 

 

 

 

「"ノックアウトファイター"は、相手をKOするまで叩きのめす格闘対戦ゲーム。

 

 

 

 

 

 

 

第2ラウンドの開始だ」

 

 

 

【彼】の戦い方が変わった。"パーフェクトパズル"では、"エナジーアイテム"を用いた強化で圧倒してきた。"ノックアウトファイター"では、拳と炎による苛烈な攻撃をメインに据えて戦っている。

又しても姿が変わったという動揺が生まれたと同時に、今までのリズムを崩されたASTは先程よりも早く倒されていく。

 

 

 

「くっ………速い…!」

「オイオイ、折角本気を出そうと思ったのに…」

 

 

 

それは、援軍らしき白髪の少女にも当てはまった様だ。回避と受け流しに専念し過ぎて、攻撃が全く行えていない。

そんな彼女を見た【彼】は、一気にやる気を無くしてしまった。

 

そもそも、【彼】が戦闘を始めた理由はフードの少女を助ける為である。その少女は戦闘中に何処かに行ってしまったようなので、戦う理由が既に存在しない。それでも戦いを辞めなかったのは、相手にやる気があったからであろう。

しかし、誰一人として【彼】に食らいつく事も出来ずに敗北していったことで【彼】の興味は完全になくなった。

 

ホルダーから"ガシャットギアデュアル"を引き抜き、ダイアルを元の位置に戻してスイッチを押す。その動作で変身は解除され、【彼】は元の姿に戻った。

 

 

 

「あーあ、この程度か。期待しただけ、損だったかもな」

 

 

 

身構えているASTを前にして、謎のエフェクトとともに【彼】は消えた。

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

空間震警報の発令により、無人となったあるビルの上。そんな光景を見ていた青年がいた。

その服装は【彼】と全く同じ。違うところといえば、髪型と顔つき位のものだろう。

 

 

「まさか、こんな世界(ところ)に居るとはな」

 

 

何かを確かめる様に、ココロを込めて呟く。その瞳に映るのは、純粋な()()()()()()

 

 

「今度はオレが___

 

 

___オマエを救う」

 

()()()()()()()青年を正そうとするものは、この場…正しく言うなれば()()()()()()居ない。

 

「其れがオマエの望みなんだろ、()()()()、………………」

 

最後の言葉は、口には出さなかった。

そんな青年は拳を握り、名前らしきものを呟き_____

 

 

 

 

 

 

_____【彼】のようにパズルピースのエフェクトと共に消えた。




最近執筆時間を取れていないので、少しおかしいところなどあるかもしれません…

こちらは今後もこのようなペースで進めていきます

御意見等ありましたらお気軽にコメントしてください。
では次回も、期待せずお待ちください!

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