ある日の昼下がり。任務を終えた訓練兵たちは食堂に集まり、憩いのひと時を満喫していた。
「よし、これを食ったら一刻も早く奴らを駆逐してやるために頑張るぜ」
多くの者が張り詰めていた神経を緩めてる中、エレン・イェーガー一人がいきり立っていた。その隣で今期一の実力を持つミカサ・アッカーマンが「エレン、食事中は静かに」、と焼け石に水をかけていた。
「そういえばエレン、お前なんで"駆逐"とか言ってんだよ」
不意にエレンの前に座っていた、訓練兵団長であるジャン・キルシュタインが口を開いた。ジャンが言うとおり、エレンは食事中はもちろん任務中や訓練中、就寝中と入浴中さらには五里霧中に陥ったときと、事あるごとに"駆逐"と叫んでいる。そのうち挨拶代わりに「駆逐」と言うようになってしまうのではないかともっぱらの噂だ。
「何言ってるんだ、巨人を駆逐してやるために決まってんだろ。ジャンは駆逐したくないのかよ」
呆れたようにエレンは言うが、本当に呆れていたのはジャンの方だった。
「エレン……お前意味知ってて言ってんのか?」
その問いにエレンは「駆逐はくちくだろ?」と即答した。そのままスープを飲み続けているエレンを見て、ジャンは水を一杯飲み込む。そして一緒に吸ってしまった空気を一気にはいた。
「あのなぁ、"駆逐"の意味は"追い出す"って意味だ。あんなすごい形相で『追い出す、一匹残らず追い出してやる!』……とか叫ばれても、何か
兵団食堂の人気メニューであるポテトのポタージュを最後の一滴まで飲み干そうと、エレンは皿を口にあてがって流し込んでいた。しかしスープは
「何だよ、やっぱり知らなかったのか!」
ジャンの捲くし立てで、やっとエレンが戻ってきた。そして腹に違和感を覚えるや否や「うわぁ! 俺の服が」とうろたえながら、口元よりも先に服を拭いている。しかし、とき
「くっそぉ……そんな意味だったのかよ。言葉の響きで使ってたぜ」
悔しそうに拭き続けるエレンから出たこの言葉を引き金に、ジャンの腹筋が爆発した。そして笑いの爆風が吹き荒れる……瞬間にジャンの喉仏にナイフの切っ先が向けられ「食事中は静かに」というミカサの言葉で、ジャンは一気に沈静化した。
「エレン、本当に知らなかったのかい? 僕はてっきりストレートに"殺す"って言うんじゃなくて"この世から駆逐"見たいな意味合いかと……」
今まで静かに傍観していたアルミンが食事が終わったと同時に、訓練よりも張り詰めた空気に入り込んできた。
「言葉の響きって……」
「な、な、何だよ急に入ってくんなよ!」
むなしくも叫ぶエレン、呆れるアルミン、ナイフを戻すミカサ、石化したジャン――
今日も訓練兵は元気です。
かなり遊んで書きましたw