チョイワルビッキーと一途な393   作:数多 命

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先日の番外編への様々な反応、ありがとうございます。
FGOベテランな知人にビッキーのステータスを見せたところ、「ゲーム的にははずれ鯖(笑)」なんていいつつ、スキル効果についての訂正やアドバイスをもらえたので、そちらに修正しておきました。
続きを楽しみにしていただいているところ、誠に恐縮なのですが。
残念ながら予定は未定となっておりますので、ご了承ください。


スパートかけにいきます

「これはどういうことだ!?何を考えている!?」

「どうも何も、言ったとおりですよ」

 

激昂する相手を、鼻で笑ってやる。

カ=ディンギル、統一言語、バラルの呪詛。

あの女狐が求めていたもの。

これら三つを我が国が掌握すれば、うるさいテロリストや融通の利かない非協力的な国家を黙らせることが出来るというのに。

 

「力任せの支配など!反発どころではすまないぞ!!」

「しかし現状はどうです?潰しても尽きぬテロリスト、我々と友好的であるというだけで他国を攻撃する愚か者!世界は『悪』に溢れすぎている!」

 

なればこそ、世界の先導たる我々が行動を起こすべきだ。

『正義』の権化たる我々が、引導を渡すべきだ。

いい加減分からせるべきなのだ。

世界を脅かす悪人どもに、正しき人々の怒りと力を・・・・!

 

「この時代、もはや対話では解決できないことが多すぎる。ならば、禍根の元を直接叩く・・・・!」

「ま、待て!考え直せッ!!」

 

通信を切る。

彼も今に分かるだろう。

我々が手に入れた力の、すばらしさを・・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

翼さんと『後片付け』を終わらせた後。

実は出かけていたらしい弦十郎さんと合流した。

何でも了子(フィーネ)さんのところにいっていたとか何とかで。

向こうも案の定襲撃されていたらしい。

現場に残っていただろう資料やらデータやらがごっそり無くなっていたとかで。

もうしばらく気を抜けない状況が続くだろうとのことだった。

肝心の了子さんは?と聞いてみると、弦十郎さんは残念そうに顔を伏せて横に振った。

マジっすか。

 

 

――――と、なったのが一週間前の話。

 

 

昨日はクリスちゃんの目が覚めたとかなんとかで、ちょっとした騒ぎになっていた。

二課の息がかかった病院で、ものすごく暴れたみたい。

おっかしいなぁ、意識失うくらいには大怪我だったはずなんだけどなぁ。

なお、弦十郎さんの説得で、ひとまず大人しくなりはしたみたい。

多分、皆が大好きな『大人だからこそ夢を見る』が炸裂したんじゃないの?

わたしは相変わらず缶詰だったんで、詳細は知らんけど。

で、今。

スカイタワーにノイズの群れが出現。

でーっかい飛行型が三体、小型をボロボロ吐き出しながらゆっくり旋回していた。

・・・・んー。

もうフィーネさんがいない以上、ソロモンの杖を操っているのは全く別の誰かになる。

全く別の誰かってことは、この先も原作どおりとは限らないわけで・・・・。

とかなんとか悩んだ程度でどうにかなるわけでもなし、いつも通りぶちのめしゃいい話でしょうけどね。

殴っていいのは殴られる覚悟があるヤツだけなんだッ!

というわけで、現在絶賛移動中であります。

何気にヘリコプター乗るの初めてなんだよね、不謹慎だけどちょっとわくわく。

不測の事態に備えて、リディアンもそれっぽい理由をつけて休校にしているから、何も知らない生徒さん達が巻き込まれる心配もナシ。

何よりOTONAが守りを固めているからね、安心して前線で暴れられるってもんですよ。

あとは・・・・あ、そうそう。

 

「あんだよ」

「いや、何も?」

 

今回はクリスちゃんも参戦してまーす。

・・・・いや、寝てろよ。

何でそんな殺る気満々オーラで同乗してんのさ。

なんなの?勇気百倍ならぬ銃器百倍なの?

 

「・・・・悪ぃけど、呑気に寝てるつもりは無ぇ」

 

考えてることが顔に出てたのか、頬杖ついたクリスちゃんは不機嫌なまま外を見る。

 

「今度はフィーネすら奪われたんだ、泣き寝入りなんて出来っかよ」

「・・・・頼むから、ほどほどにしてくれよ?」

 

歯を噛み締める音が、かすかに聞こえた。

これはアレか。

フィーネさんまで理不尽に奪われた所為で、ジェノサイドスイッチがオンしちゃった感じか。

弦十郎さんのお陰で敵意は無くなっても、野良っぽさと言うか、荒々しさは抜けきらないのね。

対比でサキモリッシュな翼さんがいっちゃんマシに見えてくるから不思議。

 

「もちろん立花もだからな」

 

うぇーい、わたしもマークされてーら。

翼さんのジト目から逃げようと目を逸らすと、目的地が近くなってきたらしい。

んー、飛行型が三体で、こっちもちょうど三人だから・・・・。

 

「まずは空の大型を叩く、二人とも抜かるな」

「っは!おめーらこそヘマすんなよ!」

 

二人とも同じ考えだったらしい。

翼さんが操縦士さんに頼んで、ちょうど三体の真ん中らへんに来る様移動してもらう。

 

「んじゃ、一番槍はいただきますね」

 

『ガングニールなだけに』なんてアホなこと考えながら聖詠を唱えれば、準備万端。

開いたハッチからの強風に煽られながら、大空へ体を躍らせる。

両手足を広げてダイビング。

タイミングを見計らって、刺突刃を出して、

 

「―――Scum(クズが)ッ!!」

 

ずどん、と手ごたえ。

ちらっと振り向けば、胸に大穴を明けて落ちる大型の姿が。

他所に視線を移してみると、炎に飲まれていたり、三枚におろされていたりしている。

やだもう、ほどほどにしろとかいいつつ自分もヤル気満々じゃないですか翼さん。

そんな仲間達が頼もしくって、嬉しくて。

着地で地面を揺らして、浮き上がったところにストレート一発。

 

C'mon! babes(おいで、腰抜け)!!」

 

右腕の刃と、左腕の『手』をちらつかせながら、笑ってやる。




このビッキー、だいぶあくどくなって・・・・あれ、今更か(

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