長らく!!!(死に装束)
お待たせ!!!(短刀)
致しましたアァッッッッ!!!!!(切腹)
短いですが、何とか書き上げました。(辞世の句)
「キョウちゃん!?」
「すぐにお姉ちゃん達も来る!絶対に守るから!!」
クロから降りて身構える香子の目の前で。
シュバルツがゆらりと立ち上がる。
ギラギラと殺意に満ちた目を向けられて、半歩退いてしまう香子。
「このクソガキ!!下の下の下のカスな分際で!!」
その隙を見逃さず、猛然と飛び掛かってくるシュバルツ。
人間の何倍も敏捷で、何倍も鋭い攻撃を前に。
「――――
香子は努めて冷静に。
手を、犬の形に組んで。
「――――
刹那。
香子の両脇から、黒いものがぼこぼこと。
まるで汚染された湧き水の様に盛り上がってくる。
「ハアッ!?」
驚きたたらを踏むシュバルツの前で、同じ人狼に変形し終えると。
無防備な鼻っ柱へ、二つの拳が同時に叩き込まれた。
「ぶげぇっ!?」
回避が間に合わず、直撃を受けて吹っ飛んでいくシュバルツ。
「ほぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!」
「ほぁおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!」
二体の真っ黒な人狼は、同時に遠吠えを上げると。
シュバルツへ飛び掛かっていく。
「こな、クソッ!!」
二体同時の攻撃。
まるでシンクロナイズドスイミングの様なぴったり具合。
ある種の気味悪さすら感じる滑らかな動きに、シュバルツはすっかり翻弄されていた。
「っち・・・・!」
シュバルツの劣勢を目の当たりにした役人は、舌を打って物陰に身を潜めようとする。
目ざとくそれを見つけた香子は、そのまま逃げられるのではと判断。
今度は片手で角付きの蛇を形作って。
「
足元の影が、竜巻の様に湧きあがる。
みるみる内に細く長く成型されたそれは、気が付けばとぐろを巻いた大蛇の姿になっていた。
「逃がさないで!」
「シャアーッ!!」
一声鳴いた角付き大蛇は、攻防の横をすり抜けると。
あっという間に役人へ襲い掛かって、一瞬でぐるぐる巻きにしてしまった。
「ッガアアアアアアア!!!!」
「
苛立ちに絶叫するシュバルツへ、これ見よがしに三度手を組む。
ぶわりと広がった陰から飛び出してきたのは、巨大な鳥だ。
「畳みかけろ!!」
「キイイイイイイイッ!!!」
暴風を巻き起こしながら飛翔した鳥は、シュバルツの頭上を陣取ると。
空を覆わんばかりに広げた大翼から、無数の雷を容赦なく落としまくった。
攻防を見守っていた弓美からは、時折味方である黒い人狼にも当たっているのが見えたが。
ダメージを受けるシュバルツと違い、むしろパワーアップしているように感じた。
「が、ぐ・・・・こぉの・・・・!」
それでも、人間だったころから鉄火場に身を置いていただけあって。
段々と猛攻に対応するようになってきたシュバルツ。
人狼達の顔を引っ掴むと、一体は地面に全力で叩きつけ。
もう一体は万力で握り砕く。
「ギャッ!」
「ギャイン!」
短い悲鳴を上げながら、液体の様に解けて撤退していく人狼。
「グオオオオオオッ!!!」
「ギュウッ!?」
空中を陣取っていた鳥にも、咆哮の音圧を当てて体勢を崩させ。
高度が下がってしまったところに飛びつくと、首を引き裂いた。
「そんな・・・・!」
「よ、よくやった!」
あまりにもあっさりとひっくり返された戦況に。
香子が愕然とする一方で、役人は引きつりながらも笑顔を見せる。
「さあ!こっちも速く何とかしてくれ!」
「ああ?めんどくせぇ・・・・」
鬼の首を取ったように勝ち誇る役人へ、言葉通り面倒くさそうにゆったり歩いていくシュバルツ。
(あいてはまだこっちを舐めてる、いける・・・・!)
対する香子は指をゾウの形に組んで、再び動物を召喚しようと試みた。
「アン・・・・?」
その、目の前。
シュバルツが不自然に立ち止まった。
誰かの話に耳を傾けているような、そんな雰囲気だ。
嫌な予感を覚える香子だったが。
今やっている召喚が、時間がかかるものであることもあり。
構築を止めることはしなかった。
「――――オウ、りょーかい」
そして、すぐに後悔することになる。
「オラッ!!」
腕が振るわれる。
大蛇諸共に、役人が引き裂かれた。
「――――へ」
「っきゃあああああああ!!」
事態を呑み込めず、呆ける香子の後ろで。
弓美の悲鳴が上がる。
「――――ぁあ」
段々と理解が追いついた香子が、顔を青ざめさせる中。
シュバルツの目が、彼女を射貫く。
「キョウちゃん!!!」
未来の絶叫で我に返るも、時すでに遅く。
暴力的な薙ぎ払いが、叩き込まれた。
「うわああああああああああああああああッ!!!」
木の葉の様に吹っ飛んで、横に立っていたビルに突っ込んでしまう香子。
いくつもの机の上を何度もバウンドして、床に転がる。
ガラスで体中をひっかいたせいで、全身が痛みに苛まれる。
・・・・痛い。
痛い、痛い、痛い!!
頭を掻き毟って、しっちゃかめっちゃかに喚き散らしたい衝動を。
「・・・・ッ」
唇を噛み締めることで制して、懲りずに手で形を作る。
「――――ハッハァッ!!!!」
間髪入れずに、シュバルツが飛び込んできた。
彼は
「う"う"・・・・!」
「さっきはよくもやってくれたな!!クソガキ!!」
自重で首に負担がかかり、さらなる痛みに苦しむ香子を。
愉快そうに嗤ったシュバルツ。
「悪ぃが、クライアントはお前に用はないんだと!!」
その鋭い爪が並んだ手を、見せつける様にかっぴらいて。
「いらねぇゴミは、片付けるに限るよナァッ!?」
「うぁ・・・・!!」
――――悲鳴すら、上がらなかった。
「――――ぁぁ」
外にいた未来達が見たのは。
無惨に転がる、香子の。
「っきゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
◆ ◆ ◆
――――息が、出来ているか。
分からなかった。
そこかしこに塗ったくられた、赤。
いてほしい人達の気配は、どこにもない。
「ごめんなさい、響さん・・・・私達が来た時には、もうッ・・・・!」
調ちゃんが、何かを言っているか。
よく、分からない。
「――――」
――――遺体の回収袋に。
詰め込まれて、いるのは。
複数のパーツに、別れているのは。
「――――なんで」
――――神様。
どうして。
香子の新スキル
『
『
飛行や機動力など、クロの一部をそちらに割いて(例えば人狼なら、クロ2匹分×2で4匹分人手が少なくなる)、一点特化した形態に変化させる。
弓美の部屋にあった漫画から着想を得た。
ぶっちゃけて言うと、呪術〇戦のアレである。