大変ありがとうございます。
ごめんなさい、今回も少ないっす・・・・。
「――――さって、行くとするかネェ」
ノイズ溢れる岩国基地。
見下ろしていたそいつは、鉄塔の上から飛び降りる。
◆ ◆ ◆
オッラ!そこのけそこのけわたしがとぉーるッ!!
なんてテンションで。
逃げ回る米兵とすれ違いながら、ノイズを殴ったり蹴ったり。
「こっちだ!早く!」
まだ軍人やら職員やらがいる状態なので、クリスちゃんは避難誘導メインで動いている。
喋ってるのはもろ日本語なんだけど、みなさんそこそこ日本で暮らしているお陰か。
割と通じているのは幸いだった。
ノイズの標的が、暴れる私に集中しがちなのもプラスされていると信じたい。
「わっしょーい!」
ちょっと大き目の奴を引っつかんで、叩きつけ。
衝撃で浮き上がった個体を、クリスちゃんが狙撃していく。
ん、避難は終わったみたいね。
それじゃ、気持ちリミッターを一個解除して・・・・。
「さあ、クソ共」
――――思い出す。
日陰にいた頃を、一歩
「泣け、喚け、そして死ね」
低く構えて、突っ込んでいく。
・・・・そこ!『冥王乙』とか言わないの!
先頭にいた個体を殴り、その後ろにいた個体を殴り。
わたしが移動するたびにノイズを次々吹き飛ばしていく。
ほら!あんまり文句言うならこうしちゃうぞ!?オッラァアアン!?
なんて。
どこに届くか分からないツッコミをしながら、いつも通りノイズを葬り去っていく。
――――そう。
『
イレギュラーは起こるだろうと思っていた。
思っていただけで、ただ呑気に構えていた。
ノイズの勢いが収まってくる、その数が少なくなってくる。
そろそろ終わるかなと、思ったときだった。
「あああああああああッ!!!」
施設の一角。
炎に巻かれながら表れたのは、白衣を着たひょろいイケメン。
ようするに、ウェル博士だった。
・・・・・うん!?
「あああああああ痛い痛い痛いいいいいいいい!」
「お、おい!どうした!?」
白衣や銀髪が、黒や赤に汚れていて。
ついでにメガネもなくしたウェル博士は、ひたすら痛みに悶えている。
そのあんまりな様子に、クリスちゃんがノイズを片付けながら駆け寄っていた。
・・・・いや、何があった!?
思っても見なかったイレギュラーに動揺するけど、ほっとく道理も無い。
ひとまず怪我人にカテゴライズして、クリスちゃんの援護をしようと。
わたしも傍に、駆けつけて。
「――――」
――――全身が、総毛立つ。
気温を感じないから、秋の涼しさなんて関係ない。
これはそんなものよりもっと重大で、危険な・・・・!
「バカッ!後ろッ!!」
振り向き様に払えば、手ごたえ。
見上げる。
手甲が何かと迫り合っている。
これは、武器。
重たい、多分斧。
「――――へェ?いーい反応するじゃねェか?」
聞こえる、ガラの悪い声。
集中しすぎて白んでいた
目の前の、敵を捉えた。
鍛えられた、随分とガタイのいい体形。
上半身は無骨なジャケット以外何も着てなくて、見えるシックスパックが眩しい。
腰にはソロモンの杖、多分博士からパクったんだろう。
けれど何より目を引くのが、真っ赤なメッシュが入った派手な髪。
その手に握っているのは、巨大な斧剣。
無骨で分厚い刃が、わたしの手甲と迫り合っていた。
・・・・・・いや。
マジで誰よ!?
「拾ったら帰るつもりだったけど、面白ェ・・・・!」
弾かれて、相手が後退する。
ぶつけられる、敵意。
拭くれ上がった闘気が、大気をびりびり震わせた。
「ちょいと付き合ってくれや、ネェちゃん!!」
轟、と。
目の前。
振り上げた刃が、ぎらついて。
「――――ッ!!」
刃面を殴り飛ばして、回避。
がら空きになった胴体へ、蹴りを突き刺す。
「ッラァ!!!」
見た目どおりの、重い一閃。
しゃがんで前転で避けて、足払い。
体勢を崩したところへ、アッパーを見舞った。
相手は上手く仰け反って避けると、片手を離して殴ってくる。
拳は楽に避けられたけど、直後のヤクザキックは受けてしまった。
柄での打撃から逃げつつ、距離を取る。
「そーぅらまだまだぁッ!!」
地面を巻き込みながら、ぶんぶん振り回せば。
斬撃が飛ばされてきた。
避けたり防いだりしながら、何とかやり過ごす。
ってか、何だアレ!?
シンフォギアにしちゃぁ、色々突っ込みどころ満載だし!?
「ハハハッ!いーぜいーぜ!楽しませてくれ!」
「ッ一人でヤってろ!」
もちろんやられっぱなしじゃいられない。
刺突刃を展開して、こっちも斬撃を飛ばす。
威力は劣るけど、その分手数を稼げる・・・・!
相手を観察すれば、思ったとおり小さな傷が出来始めていた。
全身に満遍なく刻まれる痛みは、確かに奴を鈍らせる。
「あたしを忘れんなァッ!!」
「うっお!?」
これを隙と見たのか。
攻防に入り損ねていたクリスちゃんから、グレネードの援護射撃。
直撃コースでぶち込まれた火炎に、相手が包まれる。
「やったと思うか?」
「それフラグ」
隣に立ったクリスちゃんと、炎を睨んでいれば。
「――――ぶっはぁ!!熱っちィなァ!!オイィ!!」
案の定、ピンピンした様子で出てくる敵。
焦げてるんで、無傷ってわけじゃないみたいだけど。
ダメージらしいダメージは、与えきれてなかった。
「何?お前?」
「熱っちー熱っちー・・・・あ?俺?」
服の所々で燻る火を叩いていた奴は、こっちに目を向ける。
・・・・改めて対面して、感じたのは。
『人間じゃない』という直感だった。
「俺ァよ?・・・・あ?」
相手が何かを言いかけた時、不自然な形で口が止まった。
そのまま明後日の方を睨むように見た彼は、少し沈黙した後。
「・・・・ッチ、わぁーったよ。悪かったって」
何だかつまらなさそうに舌打ちして、誰かに了承を答えていた。
・・・・誰かと通信してた?
ってことは、仲間がいる?
「おい!」
斧剣を肩に担いだ相手は、あくどい笑みを向けてくる。
「悪ィが今日はここまでだ。また後でナァ?シンフォギアさんよ」
「ッそう簡単に帰れると思ってんのか?」
「帰るんだナァ、これが」
ボウガンを突きつけたクリスちゃんが、声にドスを利かせながら問いかける。
対するそいつは小さく鼻を鳴らすと、ソロモンの杖を起動させた。
奴の背後の空間が歪む。
やがて見えてくるサイケなカラーリング。
・・・・初めて生で見た。
アレが、バビロニアの宝物庫・・・・!
「心配すんな」
こっちの動揺なんてお構いナシに、数歩下がりながら奴は言う。
「そのうち嫌でも会うさ」
いたずらを仕掛けるように、何やら意味深なことを言うと。
そのまま、体を傾けて。
「ちょっ!?待―――!!」
止める間もなく。
宝物庫の中へ、身を躍らせた。
連れ戻そうにも、駆けつけた頃には歪みが消えていて。
もう、どうしようもなくなっていた。
「何、アレ・・・・」
虚しく空を切った手を見つめて、呆然と呟くしか出来なかった。
・・・・・ホントに何が起こってんの?
◆ ◆ ◆
『――――彼との連絡がつきません。情報に寄ればイワクニが襲撃されたとのこと』
「・・・・『例の連中』である可能性が高い、ということね」
『ええ、幸い起動の準備は整っていますが・・・・』
「大丈夫よマム、やるべきことは分かっている」
『頼みましたよ』
「このままやとマリアさん達の難易度がDMD、どうすっべ」
考えた結果こうなりました。
ビッキーは生き残れるか・・・・!(