デブのSAO   作:みなたか

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2話

はい、槍使い、体重95kg、ブーターやってます、シゲです!!

 

 

第一層攻略から1年と半年ぐらいの月日が流れた。

攻略の方は順調で現在は60階層まで進んだ。

 

 

俺はブーターなんて呼ばれて攻略組のやつらからは避けられているがキリトや、あとはエギルっていう1層攻略時にいた黒人プレイヤーとかは気にせずPTを組んだりしてくれている。最近はキリトと組んでいることが多いから黒の剣士と呼ばれているキリトに対して俺は黒の家畜なんて呼ばれている。

…うん、分かってる、明らかに悪口だと分かっている。

しょうがないこの体だ、仕方ない。

ま、家畜とか言われる程度リアルで慣れているしへーきへーき。

 

 

そして俺は、この1年半何をしていたかというと、とあるギルドを成り行きで最前線に出れるまで手伝ったり、使い魔が死んだビーストテイマーの女の子を使い魔を生き返らせる手伝いをして次いでに犯罪者ギルドを牢獄送りにしたり、一番規模のデカい犯罪者ギルド、ラフィンコフィンの殲滅戦を手伝ったりとまあ色々していたわけです。

 

 

あ、あと変なスキルがいつの間にか追加されていた。

「無限槍」と呼ばれるスキルだ。

何時、どのような条件で出現したのか全く分からず、情報屋のアルゴに聞いたところ、情報屋ですら全く知らないらしく、どうやら攻略組最強2大ギルドとまで言われている血盟騎士団団長ヒースクリフの使っている神聖剣と同じエクストラスキルらしい。

無論、この件に関してアルゴには黙ってもらっている。

 

 

そして、今日、俺は現在45層まで降りていた。

理由はアルゴから買った情報にあった、美味しい飯が報酬のクエストをクリアするために45層まで降りていた。

攻略?知らんな、美味いご飯と聞いたら飛んでいくのがデブの定めだからね、仕方ないね。

 

 

「っと、あったな」

 

 

俺はクエストを受注する、NPCを見つけ、クエストを受注した直後だった。

 

 

「あ、いた!! おーい、シゲー!!」

 

 

呼ばれたので振り向くとそこにいたのはシゲが最前線まで出れるように手伝ったギルドの女性メンバーだった。

 

 

「ん? サチじゃん、おーすっ」

 

 

俺はこっちに向かってくるサチに手を振る。

 

 

「こんな中層で会うなんて珍しいな、しかも一人で、皆はどうしたんだ?」

 

 

「え!? え、えっと今日は久しぶりに休みにしようってケイタが」

 

 

何故か少し焦りながら話すサチに疑問を覚えるが、ま、関係のないことでしょう。

 

 

「ほーん、実は俺もオフでさ、サチはこの階層に何しにきたの? 俺は美味い飯が報酬のクエストを受けにきたんだが」

 

 

「そ、そう!! わ、私も実はそのクエストを受けに来たんだよー」

 

 

「お、そうか、だったらNPCの所まで案内するよ、なんなら一緒にクエストやるか?」

 

 

「え、いいの!?」

 

 

ぐいぐいとサチが顔を寄せてくる、ちょ、近いから、え、何、サチも実はかなりの食いしん坊?

 

 

「あ、ああ」

 

 

やった と小さくガッツポーズするサチ、君そんなにも美味しいご飯が食べたかったのね…もしかして月夜の黒猫団で食べる飯って不味いのか…?

 

 

……

 

私ことサチとシゲとの出会いは突然だった。

 

 

あれはこのゲームが始まって半年ぐらいの時、11階層でレベル上げをしていた私達ギルド、月夜の黒猫団。

 

あの時の私は闘うことが怖くて、いや今でも少し怖いが…

槍を使っていたんだけど、前衛が足りないとのことで、嫌々、仕方なく片手剣を使っていた。

 

 

数体のモンスターを前に盾を構えてへっぴり腰状態の私。

今思い出しただけでも恥ずかしい…。

 

 

そして、その数体のモンスタ-におびえていた時に

 

 

「良ければ、手伝いますよ」

 

 

そう、彼は声を掛けてくれ助けてくれた。

 

第一印象はかなりお腹の大きな人だなぁって思った。

けど、モンスターをかなりアクロバティックな槍さばきで倒したときは本当に驚いた。

同じ槍を使っていたけど同じような動きなんて絶対にできない。

 

 

そうして、助けられた私たちは彼、シゲにお礼を兼ねて晩御飯に招待した。

 

食事会は楽しかった、シゲは見た目と同じように大飯ぐらいで少し笑った、皆はもっと笑っていたけど。

 

色々と話をした、シゲのレベルの高さに驚いたりして、攻略組だと知ったときはもっと驚いた、テツオがどうして最前線じゃなくてこの階層にいるんだと聞いたら、美味い飯のクエストがあってな、それを達成するためにきた、と言い、私は思わず、攻略は大丈夫なんですか?と聞いたら、攻略?知らんな、美味い飯があればデブは飛んでいくんだよって、思わず笑った、そして驚いた、まるでこの世界(地獄)を楽しんでいるように見えたから。

 

 

楽しい食事会も終わり、飲み物を片手に喋っていると月夜の黒猫団団長のケイタがシゲに良ければギルドに入らないかと提案した。

シゲは断った、皆もまあ攻略組なら仕方ないって感じだったけど断った理由は別にあったらしく聞いたところシゲは「ブーター」らしい、だから迷惑を掛けてしまうと。

確かにそのころ「ブーター」というのはもう凄かった、無論悪い方にだ。

皆は顔を合わせたがそれも一瞬、吹き出すように笑い、そんなこと気にしないと、噂より自分で見たものを信じると、シゲに声を掛ける。

これにはシゲも驚いた顔をした。

再度ケイタが勧誘するがシゲは断ったものの、入ることは出来ないが手伝うことは出来る、と言い、私たち月夜の黒猫団はシゲに手伝ってもらうようになった。

 

 

シゲが手伝ってくれるようになって1か月ぐらい経った時、私は一度逃げたことがある。

 

理由としては、まあ、怖かったから、だから逃げた。

 

街の誰も来ないような橋の下で隠れるように身を屈め、一人震えていた。

そしたらシゲが来てくれた。

 

 

「お、いたいた」

 

 

「…っ、シゲ?」

 

 

「ったく、こんなのところで、皆心配してるぞ」

 

 

そういい、シゲは近くに腰を下ろした。

 

 

「ねえ、シゲ」

 

 

「ん?」

 

 

「一緒に逃げよう?」

 

 

「は? 逃げるって」

 

 

「この街から、モンスターから、…黒猫団の皆から、ソードアート・オンライン(地獄)から」

 

 

「ファッ!? それはまさか心中というやつでは…」

 

 

「それもいいかも…」

 

 

「…駄目だこりゃ」

 

 

ふー、とシゲは溜息をつく

 

 

「ごめん、やっぱり嘘、死ぬ勇気があるなら安全な街になんか隠れてないよね」

 

 

「……」

 

 

「ねえ、なんでここから出られないの、ねぇ、なんでゲームなのに本当に死ななきゃいけないの」

 

 

「……」

 

 

「こんなことに何の意味があるの?」

 

 

「……意味なんてないだろうさ」

 

 

「……私、死ぬの怖い」

 

 

私は今まで貯めてきたものを吐き出すように言った。

 

 

「そりゃそうだ、死ぬのなんて誰でも怖いだろ、俺も超怖い」

 

 

あっけらかんと答えるシゲに私は一瞬怒りを覚えた。

 

 

「…嘘」

 

 

「嘘じゃない」

 

 

「嘘よ!! だってシゲはレベルも高くて攻略組じゃない!! そんな人が今更、死ぬのが怖いなんて嘘!!」

 

 

「…あのな、俺だって怖いものは怖いわ」

 

 

「だからそれは…」

 

 

「レベルが高くて攻略組だから嘘ってか? はっ、誰がそんなこと決めたんだよ、俺だってお前と同じただの学生だっての、デブだけど」

 

 

「だったらなんで攻略組なんかに…」

 

 

私の疑問にシゲは簡単に答えた

 

 

「簡単だ、生きたいからだよ」

 

 

「え?」

 

 

「死ぬのは怖い、けどさ、それ以上に俺は負けたくないんだ、この世界に」

 

 

「この世界…」

 

 

「死んだら負けたことになる、なら俺は生きて生きて生き抜いて、あの世界(現実)に帰る、そう決めたんだよ」

 

 

「…凄いね、シゲは、私じゃあ、そういう風になれない、私は…強くないもん」

 

 

再び俯いた私、そこにシゲの声が掛かる。

 

 

「はぁ… だったらさ、周りを頼れよ」

 

 

「…え?」

 

 

「誰だって一人じゃ強くなれない、俺だって誰かを頼るときもある。一人で貯めこむな、ケイタにテツオ、ササマルとダッカー、黒猫団の皆に言ったらいい、死ぬのが怖いって、そんで貯めたのをぶちまけたらいい、あいつらはちゃんと受け止めてくれる、なんたって俺がブーターだと言っても全く気にしていなかったからな」

 

 

「で、でも」

 

 

「大丈夫、周りを頼れ、そしたら絶対に君は死なない」

 

 

その言葉は私がその時一番欲しかった言葉だと思う。

 

 

「…本当?」

 

 

「ああ」

 

 

「本当に死ななくてすむの?」

 

 

「ああ、ちゃんと周りを頼ればな」

 

 

「シゲも…?」

 

 

「ん、俺? まあ頼りないデブだけど、それでもいいな、ら…」

 

 

私は死なないという言葉に安心したのか自然と涙がこぼれていた。

シゲは優しく撫でてくれた

 

 

「怖かったっ、怖かったっ、うぅ…」

 

 

「はいはい、大丈夫大丈夫」

 

 

その手の温もりは本当に暖かった。

 

……

 

あのあと、私はシゲと一緒に黒猫団のところに戻り、皆に貯めていたものをそのまま言いい、やはりシゲの言った通り、皆は受け入れてくれた。むしろ、「すまなかった」「お前の気持ちに気付いてやれなくて」なんて謝られた。

そして、私は片手剣から元の槍使いに戻った。

 

 

そして、1か月ほど時が過ぎる、その1か月は今までと変わらずシゲに手伝ってもらいながらレベリングをして、装備を集めて、あ、確かこのころからだったか、いつの間にかシゲを視線で追いかけている時が多くなったけど、それは置いといて。

また一つ、事件が起きた。

 

 

ギルド発足以降、少しずつ貯めてきたコルが20万を達成し、ついに念願のギルドホームを買うことになった。

リーダーのケイタがホームを買いに行っている間、私たちはいつもより少し上の階層でお金を稼ぐことになった。シゲはいなかったけど、今の私たちのレベルなら大丈夫だろうと、その慢心が悲劇を生むことになった。

 

 

27層の迷宮の隠しエリアの中にあった宝箱を開けた時、けたたましいサイレン音と扉の閉まる音、同時に大量のモンスターが出てきた。

転移結晶を使おうとしたが無効化エリアだったらしく転移することが出来ず、大量のモンスターの攻撃にさらされ全員HPが半分以下、ダッカーとササマルはレッドに突入していた。

 

 

私は発狂しそうだった。

こんな所であっけなく死ぬのか、と。

 

「やだよ、死にたくないよ…」

 

体が震える

 

「助けてよ…、シゲぇ…」

 

 

その時、爆音が響いた。

 

モンスターと私たちの視線が一斉に爆音の発信源である扉の所に向かう。

 

そこにいたのは

 

 

「ふぃー、扉が破壊可能オブジェクトで助かったわぁー、アルゴさまさまだな」

 

 

シゲだった。

 

 

「サチにテツオ、ササマルとダッカー、お前ら全員生きてるな!! なら一つに固まってポーション飲んで回復してろ!!」

 

 

呆然としていた皆だったが、シゲの言葉で我に返り急いでシゲの言う通りの行動した。

 

 

「取りあえず、ピーピー、うるせえッ!!」

 

 

そういうとシゲは槍を棒高跳びのように使い、モンスターを飛び越え、宝箱を破壊した。

すると今まで鳴っていたけたたましいサイレント音が消え、無限に沸いていたモンスターも沸かなくなった。

そこからは圧巻の一言だった、私たち4人があんなにも苦戦していた大量のモンスターをまるで千切っては投げ、千切っては投げみたいな感じで一瞬で倒してしまった。

 

 

「ふぅ、よっし、終わり、全員生きてるなー?」

 

 

最後のモンスターを倒し終わったシゲは私たちに向き直った。

その瞬間私は脇目も振らずに飛び出し、シゲに抱き付いた。

 

 

「ファッ!?」

 

 

「生きてるっ、私っ、生きてるっ、生きてるよぉ…」

 

 

「え、えーと」

 

 

そのままシゲは私の背中に手を回し優しく撫でてくれた。

そして、この時から私はある気持ちに気付いた、シゲの隣にいたい、シゲと一緒に生きたい、と。

まさかゲームの中で恋をするとは思わなかった。

 

 

なお、この後、団員全員から滅茶苦茶いじられた。

 

……

 

っと、長かった回想も終了。

この後もシゲに手伝ってもらい、私たち、月夜の黒猫団は最前線入りを果たすことができた、私としてはシゲの隣にいきたい、その一心で頑張った。

なのに、だ、あの唐変木デブ、自分はデブだからなんだの言って自分への好意というものに全く持って疎い。正直、ふざけるな、と。

なので、私は攻めて攻めて攻める作戦に変更した。

 

 

ちなみに今日は黒猫団の皆と迷宮区でレベリングをする予定かつ、あわよくば、おそらく迷宮区に潜っているシゲとパーティーを組むことだったんだけど、いつもシゲとパーティーを組んでいるキリトに遭遇、シゲが居なかったので聞いたら

 

 

「ああ、あいつは今日はオフだぞ」

 

 

一瞬で私の計画が崩れた。

 

 

「なんでも美味い飯が報酬のクエストが見つかったからそっちに行くって」

 

 

「ねぇ…ケイタ」

 

 

「どうしたんだ、サチ、…ヒェッ!!」

 

 

どうしたのよ、そんなにも驚かなくたっていいじゃない

 

 

「私、用事を思い出したから今日はオフにするね」

 

 

「え、いや「いいよね?」ハイ」

 

 

私はメニューのフレンドリストを見て、シゲがどこの階層にいるか確認し、メニューを閉じる。

 

後ろではキリトがうなだれているケイタの肩に手を置いて首を振っていた。

時折、リーダーって一体…、なんて言葉が聞こえるけど無視、私しーらない。

 

ふふふ、待っててね、シゲ、今行くから。

 

……

 

「…っ、なんだ… 今凄い寒気がしたんだが…」

 

シゲがサチと出会うまでもう少し。

 




サチは依存型ヤンデレだと思います。
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