ポケットモンスターモルガナイト   作:ゆまや

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VSネンドール 再開と再来

「侵入者が逃げ出したぞ!追いかけろ!」

 

いつもは静かな山道に大人の男の足音と、少女が駆ける足音が響き渡る。

少女は何かを抱えて走っている。男たちの足音がドン、ドン、と近くなっていく。

 

「大丈夫。絶対まもってみせるからね!」

 

少女は抱えたポケモンに向かってにこっと笑いかける。

 

「いたぞ!捕まえろ!」

 

有象無象の視線が少女に集まる。露出した岩肌でさえ、少女を見つめているようだ。

 

「絶対に!守るから!」

 

少女は全力で駆けだす。月に照らされる影がどんどん自分に近づくのを感じる。

それでも少女はあきらめない。肩まで伸びた髪がふわりふわりと揺れる。

男の存在を背中で感じてもなお、少女はあきらめない。

 

「絶対に!!!!!」

 

少女の背中に手が触れた瞬間、少女はふわりと浮遊する。

空中を舞うように空を飛ぶ。

 

「え?」

 

先ほど踏みしめていた岩肌の感覚が足裏にない。走っていないのに髪が同じようにふわりと揺れている。

 

「空を飛んで逃げるぞ!狙撃しろ!」

 

男たちはモンスターボールを握りしめている。強行手段に出るようだ

 

「これが・・・あなたの力?」

 

そのポケモンはにこっと少女に笑いかける。ふふっ、と少女も笑う。

 

「絶対に逃げ切ろう!メロエッタ!全力で”サイコキネシス”!!!」

 

腕に抱えられるメロエッタは笑顔で答える。勢いよく空中を少女が飛ぶ。

空の彼方に少女が消え、男たちも諦めた様子で山を下りる。

 

再び山に、雪が降る。

すべての足跡を隠すように。

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

「先日、イッシュ地方にて発生したフレア団による事件を解決した・・・」

 

テレビからの音が木製の壁に反射し、独特の反響を奏でている。

注がれたコーヒーの香りが室内に充満し、朝という時間を限りなく演出している。

 

「寒ぃな・・・」

 

ぼさぼさの黒髪男がコーヒーを机に置く。おもむろに電気ストーブのスイッチを入れる。

 

「続いてのニュースです。」

 

コトブキテレビの顔とも呼べるアナウンサーが間髪挟まずにニュースを読み上げる。

それをコーヒーをすすりながらぼーっと眺めるのがこの男の日課である。

 

「おとといの夜、テンガン山付近の研究所から何者かが盗みを働いた事件が発生しました。なお、研究所付近でライブ活動を行っていたアイドルが行方不明になる、という事件も同時に発生しています。事件現場の距離上、なんらかの関係性があるか、警察が現在調査中です。」

 

コーヒーをことっ、と机の上に置く。世間は物騒だ。平和になっただの争いはないだのを謡ってはいるが、内面、穏やかではないのが現状である。

 

「さて、と。」

 

コートを羽織り、重い扉を開ける。室内に銀色の光が漏れ出す。

ごうっという音と共に冷たい風が男を貫く。

 

「さっむ。」

 

温かい部屋を名残惜しそうに外へ出る。

 

「さて、一仕事するか。」

 

小屋の横にある階段を一つ一つ登っていく。

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

エイチ湖のほとり。

男は水辺に立っていた。

 

「ブルンゲル。”なみのり”だ。たのんだよ。」

 

おもむろに投げたボールからブルンゲルが出てくる。男はブルンゲルに乗って真ん中の岩を目指す。

 

ギンガ団が湖の守り神を攫い、世界の征服を試みた事件があった。

その事件以降、三つの湖には監視・管理として「番人」が設けられるようになった。

この男はエイチ湖の番人なのである。

エイチ湖には”ユクシー”というポケモンが祀られている。

この男はユクシーを守ること、を任務としている。

 

「よおユクシー。元気かー?」

 

岩の中、小さな洞窟のようになっているそこは下に階段が伸びている。男はそこをゆっくり、ゆっくりと下っていく。

 

「きょううううん!」

 

頭に響くような声が洞窟内を木霊する。

洞窟の地下は水浸しになっている。ぢゃぷっ、という音を立てて男は歩いていく。

 

「きょうう!」

 

男の目の前に突然、ユクシーが現れる。

 

「元気そうだな。」

 

ユクシーに「ついてこい」と背中を向ける。ユクシーはふわりとその背中についていく。

階段を上り、二人は外へと繰り出す。

 

「どうだユクシー。狭いとこいても仕方ないしたまには外に出るのもいいだろ。」

 

ユクシーははしゃいだようにとびまわる。特性”ふゆう”によりユクシーは宙を浮くことができる。

が、なにかに気が付いたユクシーはすぐ後ろの草むらへと飛んでいく。

 

「お?どうしたユクシー。」

 

番人は守り神の心の声を聴くことができる。この男はユクシーの心が読めるのだ。

 

「きょううん!」

 

ユクシーが草むらを指す。草むらにはなにかがある。

 

「何があるんだ・・・?」

 

男が近づく。そこには少女が横たわっていた。ポケモンを抱え、目をくるくると回して。

 

「あ?誰だこんなところに・・・」

 

ユクシーが少女の体を起こす。すると、少女ははっと目覚める。

 

「ええっと、、、ここは、、、?」

 

その顔、その声に男は聞き覚えがあった。

 

「おい、お前もしかして。」

 

少女はその男に見覚え、聞き覚え、そして誰であるかの記憶があった。

 

「メルル。こんなところでなにしてるんだ。」

 

「ユマせんぱい!!!おひさしぶりです!!」

 

メルル、と呼ばれた少女の腕からメロエッタが顔を出す。

 

「メロ!!よかった~!!元気そう~!!!」

 

メロエッタをメルルは思いっきり撫でまわす。

 

「で、メルル。こんなとこでなにしてる?」

 

「久しぶりにあったのに冷たいですね先輩!スクール以来ですね!」

 

にしし、とメルルは笑う。

 

「あ、こんなことしてる場合じゃなかった!ユマせんぱい!お願いします!私をちょっとの間かくまって

ください!」

 

「匿うってどういうことだ?一体何が」

 

ユマの言葉をさえぎるように、メルルはしゃべる。

 

「私、ちょっと追われてるんです!どうしてもこの子を守りたくて!だから!!」

 

 

刹那、外の草むらから黒いナニカが猛スピードでメルルにめがけ突っ込んでくる。

 

「ブルンゲル!”ねっとう”!!!!」

 

泳がせておいたブルンゲルが黒いナニカに目がけ熱湯をぶつける。白い湯気が廻り一帯を包むように広がっていく。

 

 

 

「ガ、ガガ、ガガ」

 

 

 

黒いナニカは高速回転して霧を払いのける。

 

「あいつは・・・」

 

黒光りした体。宙に浮いており、白い紋様と赤い目玉。それがいくつもついてる。

 

「ネンドールだ。このあたりに生息していることがおかしいレベル。しかもただならぬ殺気を感じる。」

 

ユマはボールに手を掛ける。

 

「ユマせんぱい!あいつただのポケモンじゃない!」

 

メルルがユマに向かって叫ぶ。

 

 

 

 

「助けてください!!!!!」

 

 

 

 

「ああわかった。行くぞバンギラス。」

 

ハイパーボールから繰り出されたユマのバンギラスはドンッ、と地面に降り立つ。

 

「ガガガッガ、ガガガ!!!」

 

敵意をむき出しにしたネンドールがバンギラスめがけて回転突進を放つ。

 

「”ドリルライナー”か。バンギラス!!”りゅうのまい”!!!」

 

周りの雪を巻き込む大きな龍の力がバンギラスを包みこむ。激しい風圧と重圧が”ドリルライナー”を弱めていく。が、速度は収まらない。そのままバンギラスへと突っ込んでくる。

 

バンギラスにネンドールの”ドリルライナー”が届く一歩手前。

 

 

 

「行くぞバンギラス。進化を超えろ!メガシンカああああ!!!!!!!!」

 

 

 

ユマのネックレスとバンギラスの”バンギラスナイト”が反応する。バンギラスが白い光に包まれ、そして。

 

大きな風圧と衝撃波がネンドールを弾き飛ばした。

 

白い煙が晴れ、すべての視線がそこにあつまる。

 

 

 

「待たせたな。ここからが本番だ。」

 

 

 

大きな咆哮と共に、メガシンカしたバンギラスが現れる。

それとともに、周りの土が舞い始める。

 

「ユクシー。メルルたちを守ってやってくれ」

 

きょうううん!とユクシーは"ふしぎなまもり”でメルルたちを”すなあらし”から守る。

 

「ガガガッガガガッガガガ!!!!」

さらに敵意をむき出しにしたネンドールが再度突進してくる。

青白い、光をまとって。

 

「”しねんのずつき”か。行くぞバンギラス。」

 

バンギラスとユマは互いに目を合わせる。そして、拳に力を籠める。

 

 

「バンギラス!!”れいとうパンチ”!!!!!」

 

 

”しねんのずつき”と”れいとうパンチ”がぶつかり合う。

激しい衝撃とともに、ネンドールがはじき返され、意識を失った。

 

 

――――凛と、ユマとバンギラスは微動だにしていない。

 

 

 

「つ、つよい!!」

 

”しんぴのまもり”の中で見ていたメルルが拍手をする。それに合わせてメロエッタも拍手をする。

 

「きょうううんん!!!!」

 

ユクシーも楽しそうに拍手をしている。

 

「ったく、一体あいつはなんだったんだ。」

 

「せんぱい!とりあえずどこかに行きましょう!また誰かに襲われるかもですし!」

 

ユクシーも、それがいい、とうなずく。

 

「そうだな。よし、小屋に戻るぞ。メルル、ついてこい。」

 

メルルを起こし、ユクシーに振り返る。

 

「――――お前はどうする?」

 

守り神を湖の外に出すのは本来ご法度である。

 

「きょう。」

 

ユクシーはなにもいわずユマについていく。

 

ユマとメルル。幼き頃、ともに育った二人は再開し、そして巻き込まれていく。

 

 

――――深淵へと。

 

 

 

 

 

――――深淵は、動き出した希望を、見つめ返している。

 

 

 

 




キャラクター説明

Name:メルル
Gender:女
Age:19
Height:152
Weight:おとめのひみつ
Job:ひみつ
▼Pokemon▼
メロ:メロエッタ
???
???

おてんばハイテンション娘。茶髪セミロング。幼少期ユマと共にスクールへ通っていた。
メロエッタと共に「ナニカ」から逃亡中。逃亡途中(空中浮遊)で墜落、エイチ湖へ落ちた。

実態は不明である。


Name:ユマ
Gender:男
Age:20
Height:177
Weight:65-70
Job:エイチ湖の番人

▼Pokemon▼
メガバンギラス
???
???
???
???
ブルンゲル

エイチ湖を守る番人。ユクシーと対話できる。
黒髪でわりとぼさぼさ。首にメガストーン入りのネックレスをしている。
メルルとは幼いころの知り合い。エイチ湖で再開する。
この出来事が今後、彼の人生を大きく変える。


がんばっていきます。
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