暗殺教室〜殺す覚悟と殺さない誓い〜   作:龍星雨

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投稿に四日くらい間が開いてしまいました。
この四日で、鬼滅の刃の2次創作を適当に書いてたからです。投稿するつもりはまだ無いですが、ストックが10話くらい溜まって、それでも書けると思ったら投稿するかもしれません。

こっちは、まだまだやるつもりなので、これからもよろしくお願いします。


仕掛けの時間

 

 

 

沖縄県普久間島。

リゾートホテルがいくつも建ち並び、綺麗な砂浜に透き通った海辺、その他レジャー設備も整った国内でも有数な高級リゾート地だそうだ。

 

来る前にいろいろ写真を見たけど、どこもかしこも金のかけ方がえげつかない。一泊でいくら取られるのか、想像もしたくない。

 

こんな機会がなければ、人生で行くことは絶対に無かっただろう。

 

 

今いるのは、ホテルの目の前のビーチサイドにあるテラス。上を見上げると、雲がほとんどない青空だ。雲の白さも、空の澄み具合も、日輪も、東京とはまるで違う。

 

「すごいなぁ、沖縄」

 

椅子にもたれながら、呟いた。

暑さも、全然辛くない。

心地良くて、そのまま一眠りできそうなほど気持ちの良い暑さなのだ。こんな気候があったなんて知らなかった。沖縄に暮らす人の夏は最高だな、と頭の悪いことを考えて、フッと笑ってしまう。

 

 

「皆さまようこそ、普久間島リゾートホテルへ。サービスドリンクのトロピカルジュースでございます」

 

 

ギャルソンらしきスタッフがトレイの上に並んだジュースを木村くんの前に置いた。もちろん、コースターを先に敷いている。すぐに同じテーブルにいる三村くんにも差し出す。

 

そのスタッフの動きに目がいく。

一つ一つの動作がとても丁寧で、無駄がない。

そのスタッフはテキパキとジュースをE組のみんなと殺せんせーに配っていく。全員合わせて30人弱いるというのに、その人数をたった一人で配っていた。大変だろうなと思うけど、それでも全く苦ではなさそう。

 

あっという間に、私のとこまで来た。

 

 

「あ、私飲まないんで大丈夫です」

 

テーブルに置こうと手に持ったグラスが止まり、中に入ったジュースが慣性で揺れた。そのスタッフは、グラスを持ったまま、私を見る。

 

「よろしいのですか?」

 

「ええ。私、ジュースとか甘いもの飲めないので」

 

「……左様でございますか。失礼いたしました」

 

スタッフは一瞬驚いた表情をしたが、すぐに笑顔に戻る。この辺の切り替えもプロだなぁ、と感心する。そのスタッフは私のグラスを持ってトレイに戻す。

 

再び、他の人たちに配り始めた。

 

「四季さん、本当にいいの?」

 

「このジュース、とっても美味しいのに」

 

「うん。飲み物はね、甘いの無理なんだ。水か、お茶か、コーヒーしか飲めない」

 

「でも、ケーキとかお菓子とか、そういうのは大好きじゃん」

 

「食べ物と飲み物は違うんだよねぇ。炭酸も飲めないし。飲むと胸焼けするんだよ」

 

みんながストローでジュースを吸っている。表情見るに、とても美味しそう。飲めない私の身体が恨めしい。

 

「例のアレは夕飯の後にやるからさ。まずは、遊ぼうぜ、殺せんせー!」

 

「修学旅行ん時みたく班別行動でよっ!」

 

前原くんや岡島くんが提案する。

修学旅行の時も、私たちが班に分かれていたところに、時間別で殺せんせーが同伴して行動していた。

 

これも計画のうち。

殺せんせーの居場所をそれぞれの班のいるところに誘い出して、その間他の班が暗殺の準備を進める。殺せんせーに準備しているとこを見られないようにするためにも、すでに巡る地点は決めてある。空中、沖合、洞窟、どの地点も暗殺のスポットからはかなりの距離を取ったから、殺せんせーに勘づかれるリスクは抑えたつもり。

 

なのだが。

 

「ヌルフフフ。賛成です。よく遊びよく殺す」

 

殺せんせーはサングラスーーヴィレバンとかドンキとかに置いてありそうな、パーティ用のふざけたデザインのやつーーを外した。

 

その目は、とても楽しそうで。

とても余裕そう。

 

 

「それでこそ、暗殺教室の夏休みです」

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

「上手いことやるもんだねー」

 

カルマくんが空を見上げながら呟いていた。

私も同じように見上げている。

 

殺せんせーは今、磯貝くんたちの一班とエアレジャーを楽しんでる。モーターパラグライダー、というやつらしい。自転車みたいなサドルに乗って、モーターエンジンで空を滑空するレジャーらしい。めちゃくちゃ楽しそうだけど、私は下を見たらビビってしまいそうなんで、辞めた。

 

「かなり距離取ってるからね。あれなら殺せんせーでもこっちまで見れないでしょ」

 

「それに暗殺も混ぜて他の班に意識を向けないようにしてる」

 

カルマくんや杉野くん、渚くんたち男子グループはダイビングスーツに着替えている。酸素ボンベやら足ヒレまでつけての完全装備。今から潜っていろいろやってもらうのだ。

 

 

「次はうちの班に来る番だよ!やることやって着替えないと!!」

 

「おーう」

 

「オッケー」

 

渚くんたちが潜り始めた。

 

「じゃ、私たちもやりますか」

 

私は横に置いといたカバンを持って、目の前にある小屋に入る。茅野ちゃん、神崎さん、奥田さんも続いて入った。

 

ここは、私たちが泊まるホテルの離れにある、水上パーティルーム。

 

夜の暗殺は、ここで決行する。

 

カバンを開けると、透明な細い糸が巻きついたリールが数本と金属部品と工具各種。

 

私たちの仕事は、この小屋から殺せんせーから逃げられないように網を張ること、そしてこの小屋を暗殺計画のために少し改造すること。後者は私たちの後で別の班も取りかかってくれるから、別にやり切る必要はない。

 

問題は前者。

実際の現場を見るのは、これは初めてだ。

一人で黙って、小屋の中をウロウロする。

壁を触り、窓枠や柵を触り、天井を見上げる。

全体を見回るのに、1分ほどかかった。

 

 

「……何とかいけそうだね」

 

「そっか、良かったぁ」

 

「じゃあ、私たちは外側から穴開けてくるからね」

 

そう言って、三人とも工具といくつか部品を持って一旦部屋を出た。お淑やかな神崎さんに引っ込み思案な奥田さん、そしてちっちゃい茅野ちゃんの三人組には似合わないけど、それでも軽々と持っていく。

 

三人の背中から勇ましさを感じるほどだった。

 

 

 

三人が出て行った後で、私は手袋をはめてリールから糸を解く。烏間先生からつい昨日渡された一品だ。実際に殺せんせーを相手に試したことはないけど、殺せんせーの身体を豆腐のように切り裂くことは間違いない。

 

私はその糸を天井に巻きつけ、壁にも張り巡らせる。といっても、不要に糸を敷き詰めると、殺せんせーは看破するだろうから、逃げ道になりそうな隙間がなくなればいい。ただ、殺せんせーは私の糸技術を知っているから、何か対策をしてるかもしれない。

 

 

「考え過ぎてもしょうがないか」

 

作業が終わったから手袋を外す。使い終わったリールを鞄にしまった。思ったより使用量が少なくて、一本まるまる余ってしまった。

これはラッキー。

使い道は絶対にあるから、とっておこう。

 

私は未使用のリールをパーカーのポケットに入れて、小屋の外に出る。

 

「こっちは終わったけどー。みんなー、どうー?」

 

呼びかけたら、神崎さんたちがみんな戻ってきた。

 

「穴も開けれたよー。部品も通るし、こっちも問題なさそう」

 

 

茅野ちゃんの説明を聞いている時に、海面が揺れて水飛沫が立った。見ると、真っ黒のダイビングスーツを来た三人が海面に浮かび上がって来た。タイミングよく、渚くんたちも戻って来たようだ。

 

三人とも桟橋に登って、酸素ボンベやゴーグルを外す。

 

「首尾はどう?」

 

「計画通りいったよ」

 

「想像以上に大変だったわ」

 

「でも誤差無しのはずだよー」

 

三人の話を聞きながら、女子グループが三人の酸素ボンベなどの装備を外していく。つけてる本人じゃ外せないものもあるから共同作業だ。

 

 

茅野ちゃんは渚くんの、神崎さんは杉野くんの、奥田さんはカルマくんの、という風に分かれていた。

 

私はそれをすぐ近くで見ている。

 

ふむ。

期せずして、というのか。

それとも、これが運命なのか。

組分け方が神がかっている。

 

 

これは良い画だな、と思ってポケットからスマホをポケットを取り出す。このスマホは渚くんのだ。潜る前に預かっていたのだ。杉野くんとカルマくんのスマホも私が持っている。

 

気づかれないように、スマホを構えて写真を撮った。

 

パシャり、と音が鳴った時、六人ともすぐにこちらを向く。

 

カメラ目線をもらったので、もう一回撮影。

 

無警戒バージョンと目線バージョンの2枚だ。シチュエーションといい、これはかなり貴重な写真だろう。

 

 

「ちょっ、四季さん!それ、ぼくのスマホ!?」

 

「うん。渚くんの奴が一番画質良さそうだったから、借りちゃった」

 

「パスワードは!?なんで開けれるの!?」

 

「パスワードなんて、渚くんスマホいじる時いつも無警戒じゃん。覚えちゃったよ」

 

「ぼくのプライバシーはどうなるのさっ!?」

 

「まあまあ。これから気をつけてけばいいさ」

 

渚くんが、うぅと涙目になっていた。

あら可愛い。

 

「撮った写真みんなにも送っとくね」

 

「ぼくのスマホなのに、スラスラ使いこなしてるよ……」

 

「えっ?写真!?撮ったの!?」

 

「みんな無警戒だったから、良い顔してたよ」

 

「恥ずいよ!四季さんお願い!消して!!」

 

 

「消すなんてもったいない。旅の思い出だよ。後から思い返すのに良い写真だと自負してるんだから」

 

渚くんに茅野ちゃん、奥田さんに杉野くんは恥ずかしがっていた。奥田さんは、はわわ、といった感じで、杉野くんはちょっと青ざめてる。

 

各々のリアクションが面白い。

 

神崎さんとカルマくんは平常っぽい。

この二人はあんまりボロを出さないから、中々新鮮な一枚が撮れない。島の間で撮れればいいけど。

 

 

「でも、四季さんが写ってないわ」

 

そう言ったのは神崎さんだ。

彼女は、少し不満そうに見えた。

 

「私はいいよ。写真嫌いだからさ」

 

 

これはでまかせだった。

本音を言えばどうでもいい。自分が写ることに抵抗も無いし、写りたいという欲もない。そもそもプライベートで写真を撮ることはほぼないし、仮に撮ってもその写真を見ることはない。

 

良い思い出なら、全部覚えてるからだ。

 

 

この答えでは、神崎さんの不満感は払拭できなかったようで、口を尖らせていた。

 

 

 

この5分後に殺せんせーが、私たち4班のとこにやって来る。殺せんせーには秘密にしないといけないから、写真の話題ができない。けど、何かあったのは勘付いたようで、おやおやぁ、と勘ぐっていた。

 

 

 

仮に。

もしも。

 

今回の暗殺が失敗して、

殺せんせーが生き延びたら、

この写真を送ってあげよう。

 

そう思ったら、フッと笑みが漏れた。

 

 

 

 

 

 

 

今回の番外編の不満点について。

  • 単純に面白くない
  • 本編ストーリーの進行を止めないでほしい。
  • 今回は5話と長過ぎ、2話くらいで充分。
  • 内容が閑話のようなストーリーが良い。
  • その他

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