その日、丸藤亮は自室で考え事をしていた。
後輩である黒木の指摘。鮫島師範が警戒する程の相手が、
七つの鍵を奪うのに七人しか用意しない。
台所事情が厳しいのか。だとすればそれ程警戒はしないだろう。
いずれにせよ、黒幕の狙いが読めない。そう考えていると窓が突然発光する!
「?!」
突然の事態に驚き、立ち上がった所で丸藤亮は光に包まれ…
気が付くと
「…熱い、ここは…?」
見知らぬ地に飛ばされ、辺りを見渡す丸藤亮は、ここが火山の火口と言う事に気が付く。透明な板があり、下から火山の熱気を感じる。
「…セブンスターズ、か?」
「いかにも。我が名はダークネス」
答えが聞こえた方向を見ると、そこには黒い仮面をつけた男が立っている。
「ここは何処だ?」
「ここはデュエルアカデミアの火口だ。ここで私とお前は七精門の鍵を賭けたデュエルを行う。闇のデュエルでな」
「闇のデュエル…やるしかない、か」
互いにディスクを起動する。
不思議と、丸藤亮は既視感を覚える。この背丈、立ち振る舞い…
デュエル!
カイザー ライフ4000
手5 場
ダークネス ライフ4000
手5 場
「私の先攻、ドロー!私はモンスターをセット。カードを伏せ、ターンエンドだ」
静かな立ち上がり。だが、それは嵐の前の静けさだろう。
カイザー ライフ4000
手5 場
ダークネス ライフ4000
手4 場 セットモンスター 伏せ1
「俺のターン、ドロー!相手の場にのみモンスターが存在する時、このモンスターは特殊召喚出来る!来いッ!サイバー・ドラゴン!」
「…サイバー・ドラゴン」
相手の反応が奇妙だったが、丸藤亮は更なる戦術を繰り出す。
「さらに、ユニオンモンスター、強化支援メカ・ヘビーウェポンを召喚!サイバー・ドラゴンに合体!これで攻守は500アップし、さらにカード効果による破壊を免れる!
バトルだ!セットモンスターを攻撃!エヴォリューション・バースト!」
サイバー・ドラゴンの攻撃がダークネスのセットモンスターを襲う!が
「破壊された仮面竜の効果発動。デッキから黒竜の雛を特殊召喚」
「?!そのモンスターは!俺はカードを二枚伏せ、ターンエンドだ」
攻撃力800の可愛らしいドラゴンの雛を恐れた訳では無い。その効果から呼び出されるモンスターがある。
攻撃力は上級レベル。幻の超レアカードとまで記されたモンスターカードが。
カイザー ライフ4000
手2 場 サイバー・ドラゴン 強化支援メカ 伏せ2
ダークネス ライフ4000
手4 場 黒竜の雛 伏せ1
「私のターン、ドロー!黒竜の雛を墓地に送り、このカードを特殊召喚!
現れろ!真紅眼の黒竜!」
「レッドアイズ…!」
赤い目を宿した黒竜が咆哮を上げ、サイバー・ドラゴンもそれに応じるかのように咆哮を上げる。互いに威嚇、牽制しているように見えるが、その咆哮には好敵手への想いが込められている。
「だが、攻撃力はサイバー・ドラゴンの方が上!」
「魔法カード、黒炎弾!真紅眼の黒竜の攻撃力分のダメージを与える!」
「?!このコンボは。まさか…いや。カウンター罠!ダメージポラリライザー!カード効果によるダメージを無効にし、互いに一枚ドローする!」
「躱したか。」
必殺の一撃を躱されたが、ダークネスの様子に影響はない。
「魔法カード、スタンピングクラッシュ!場にドラゴン族が存在する事により発動!強化支援メカを破壊し、500ポイントのダメージを与える!」
咆哮を上げながら突っ込んでくる真紅眼を、サイバー・ドラゴンは迎え撃つべくレーザーを放つが、紙一重で避けられ、その牙がサイバー・ドラゴンを横から襲う!
回避しきれなかったが、強化支援メカが盾となり破壊されてサイバー・ドラゴンの破壊は免れる!
砕け散った強化支援メカ。その破片の一部がカイザーを襲い、突然の衝撃に転倒し、うめく。
「?!ソリッドビジョンのはずなのに、何故ダメージが実体化している?!」
「言ったはずだ、闇のゲームだと。我々は互いに命を賭けてこの勝負に挑まねばならん。それが、私の闇のデュエル!
場の真紅眼の黒竜を生贄に、現れろ!真紅眼の闇竜!」
真紅眼の黒竜に、闇がまとわりつく。咆哮を上げながら闇に飲まれていく真紅眼に、サイバー・ドラゴンが悲し気に咆哮を上げる。
ややあって、ドクン、ドクンという鼓動が響き…雄たけびを上げながら漆黒に染まった真紅眼が現れる。
「真紅眼の闇竜…真紅眼に似ているが…」
「コイツの攻撃力は、墓地のドラゴンの数×300ポイントアップする。墓地には仮面竜と黒竜の雛と真紅眼の三枚。よって900ポイントアップし、攻撃力は3300!
まだだ!永続魔法、一族の結束を発動!この効果により墓地に存在するモンスターと同じ種族の攻撃力が800ポイント上昇する。
ただし、墓地に存在するモンスターの種族が複数存在している場合はこの効果は適用されないがな。よって攻撃力は4100!」
「攻撃力、4100…」
「バトルだ!闇竜よ!サイバー・ドラゴンをスクラップにしろ!ダークネス・ギガ・フレイム!」
真紅眼の闇竜が咆哮を上げながら襲い掛かる。即座にリバースカードで対処しようとするが、先ほどの衝撃でまだ動けない。
「ぐっ?!」
迫りくるブレス。
サイバー・ドラゴンが尻尾を地面にたたきつけると、サイバー・ドラゴンの背後に伏せられたカードが発動する。
まるで、カードが己の意志で動かしたかのような不可思議な現象。
「罠発動、アタックリフレクターユニット。場のサイバー・ドラゴンを生贄に、デッキからサイバー・バリア・ドラゴンを特殊召喚」
「攻撃力800を攻撃表示?ふっ、焼き尽くせ!」
「サイバー・バリア・ドラゴンの効果発動!相手の攻撃を一度だけ無効にする!」
闇竜が放つブレスに対し、サイバー・バリア・ドラゴンは丸藤亮を守るかのように動き、バリアを大きく展開。衝撃をその体に受けきる!
「凌いだか。ならばメインフェイズ2だ。魔法カード、火竜の火炎弾を発動!お前に800ポイントのダメージを与える!」
バリアで守ろうとするサイバー・バリア・ドラゴンの動きを読み切った闇竜が、丸藤亮に火炎弾を浴びせる!
躱しきれず、直撃を受けて思わずうめき声を漏らす。その身を案じるように、サイバー・バリア・ドラゴンが視線を向ける。
「ターンエンド」
カイザー ライフ2700
手3 場 サイバー・バリア・ドラゴン
ダークネス ライフ4000
手0 場 真紅眼の闇竜 一族の結束 伏せ1
「俺のターン、ドロー!」
丸藤亮はドローカードを見つめ、思考を高速で巡らす。間違いない、この真紅眼の黒竜を主軸に置いた戦い方。
行方不明だと聞いていたが、生きていてくれた。ならば、後は救い出すだけだ。
「手札のサンダー・ドラゴンの効果発動!このカードを捨てて、デッキから二枚のサンダー・ドラゴンを手札に加える!さらに魔法カード、天使の施しを発動!
三枚ドローし、二枚を捨てる!」
手札は5枚。一気に畳みかける!
「プロトサイバー・ドラゴンを召喚!魔法カード、エヴォリューション・バーストを発動!場にサイバー・ドラゴンが存在する時、相手のカードを破壊する!
真紅眼の闇竜を破壊する!」
「それで我が真紅眼の闇竜を攻略できるとでも?カウンター罠!闇の幻影!場の闇属性モンスターを対象にしたカード効果を無効にして破壊する!」
プロトサイバードラゴンが放ったレーザーが直撃するが、直撃したのは幻影であり、闇竜は健在。
うなだれるプロトを、バリアドラゴンが励ます。
「魔法カード、パワーボンドを発動!場のプロトサイバードラゴンと、手札のサイバー・ドラゴン二体を融合!現れろ!サイバー・エンド・ドラゴン!」
「攻撃力、4000?!」
「パワーボンドにより、機械族の融合モンスターの攻撃力は倍になる!」
「攻撃力8000だとぉ!」
圧倒的な火力でもって咆哮を上げるサイバー・エンド・ドラゴンに、闇竜とダークネスが一歩後ずさる。
「怯えるな。今、救ってやる。我が友、吹雪」
「?!」
「エターナル・エヴォリューション・バースト!」
「うわぁあああああ?!」ライフ0
圧倒的な攻撃力の前に、ダークネスは敗れ去った。
同時刻。女子寮、もこっちの部屋にて
インカムをつけていたもこっちは、深く深呼吸をする。
サイコショッカーを通して、戦場を確認していたのだ。
「まずは一人、撃退したか…」
どうやら身柄を拘束出来たようだ。となれば黒幕の狙い、三幻魔の情報。いずれかを得られるかもしれない。
「見くびられたものだな、俺の戦術が融合だけだと思われているとは」
丸藤亮のセリフでもお気に入りのセリフです。
融合はあくまでも主軸。