ならば悪魔族の中で最低クラスの凶暴なカードは誰なのでしょうか?
翌日
鎮痛な表情の他のメンバーに対し、もこっちは怪訝な顔で問いかける。
「何があった?」
「?!黒木!お前、どこで何をしていた!」
「…もしや、セブンスターズの襲撃でもあったのか?」
「ああ、そうだ!そしてクロノス教諭は…クソッ!」
「俺がカミューラと戦う!そして、クロノス教諭を救い出す!」
「待て!クロノス教諭は、中等部の頃から恩義がある俺が!」
もこっちは隣にいる明日香に話しかける
「そうなのか?」
「正直、余り良い先生では無いと思って居たわ。気まぐれな所が」
「黒木、君はどうする?」
「あのどちらかに任せる。三沢、一族の結束だが、お前はどういう対策を講じる?」
「ふむ。下級モンスターが上級モンスタークラスの攻撃力になる厄介なカードだったな。破壊するのがいいが…
相手もそれぐらい想定内だろう。あれ程のカードを一枚しか居れていないとは思えないから…」
そう言ってカードを提示する
「封魔の呪印、か。なるほど。」
「君ならどうする?」
「確かに強力なカードだが、あれには大きな弱点がある。あれを使った時点で、『私のデッキにはこの種族のモンスターしか入っていません』
と相手に教えているような物だ。破壊対策、及び二枚目以降の存在を考えると…これも有りかもな」
「魂の解放、か」
「待って。相手の墓地にカードを置かないように戦うのはどうなの?」
典型的なビートダウン使いであるお前にそんなデュエルが出来るのか?と一瞬半眼になるもこっち。
「難しいな。おろかな埋葬、苦渋の選択。これらがある。」
「よっしゃー!俺の勝ちぃ!」
「くっそぉ!」
パーを出して浮かれている遊城と、グーでうなだれる万丈目
「…ジャンケンで決めたか。まぁ、何でもかんでもデュエル、というよりたまにはこういうのもありだな」
そう呟いたもこっちを、三沢と明日香は『何を言っているんだコイツ』という目で見る。
その夜、もこっちは女子寮から湖へ赴く。見送りの為だ。
「…ん?」
気が付くと、目の前に天上院がいる。
「智子も見送り?」
「……ああ」
歩き出すもこっちの前を先導するように天上院が歩き出す。
方角が違う。しばらく見当違いの方向を歩き…人気の無い場所まで誘導される。
「さて、どういうつもりだ?」
「どうって?」
「天上院は私を名前で呼ばない。正体を見せろ」
「…正体、か。さて、困ったな。私に正体は無い」
「…?」
正体が無い精霊?当惑するもこっちの前で、ソレは姿を変える。
泥のような不定形な物体になり、それは目の前でよじれ、ややあってもこっちの姿になる!
「……」
「どうした?黒木智子?」
「……どういうつもりだ?」
「お前を倒し、私がお前になる!」
そう言ってディスクを起動させる偽もこっち。
「偽物が私に勝てるとでも?」
「すぐにわかる。!」
デュエル!
もこっち ライフ4000
手5 場
偽もこっち ライフ4000
手5 場
「私の先攻、ドロー!私はモンスターをセット。そして永続魔法!機甲部隊の最前線を発動!カードを伏せてターンエンドだ!」
もこっち ライフ4000
手3 場 セットモンスター 機甲部隊の最前線 伏せ1
偽もこっち ライフ4000
手5 場
「私のターン、ドロー!強欲な壺を発動、カードを2枚ドロー!」
「…手札が七枚」
「儀式魔法、ゼラの儀式を発動!手札のリボルバードラゴンとブローバックドラゴンを生贄に、現れろ、ゼラ!」
「…そのデッキは…」
「古のルールを発動!手札の通常モンスターを特殊召喚する!現れろ!デビルゾア!
魔法カード、旧型発進を発動!蘇れ、リボルバードラゴン!」
場に並ぶのは、ゼラ、デビルゾア、リボルバードラゴン
「…展開は終わりのようだな?」
「お前のライフも終わりだ。リボルバードラゴンの効果発動!コイントス!裏、表…裏?!グッ、役立たずが!」
うなだれるリボルバードラゴン
「攻撃しないのか?」
「まぁいい。この火力で吹き飛ばしてやる!バトルだぁ!やれ!ゼラ!デビルズ・クロー!」
襲い掛かるゼラ。悪魔族でも凶暴な事で名をはせただけの事はある。
「セットしていたモンスターは…アステカの石像だ」
「ハッ!下級モンスターの再興守備力はビッグシールドガードナーの2600!この火力に太刀打ちできるはずが」
無言でリバースカードを発動させるもこっち。それを見た偽もこっちは、顔色を変える。
「モンスターBOXだとぉ?!」
「さて、コイントスの時間だ」
「や、やめろ!私が傷つけばお前も」
「それは無い。」
「…は?」
モンスターBOXの中から、アステカの石像がモグラ叩きのモグラの如く、素早く出入りする。
石像が素早く動くというシュールな光景に、ゼラは当惑した顔で隣のデビルゾアを見る。
デビルゾアも当惑し、隣のリボルバードラゴンを見る。
リボルバードラゴンは未だに落ち込んでいる。
「お前は私を始末する勢いで攻撃を仕掛けてきた。確かに回復は連動していたようだが…ダメージも連動するかどうか、怪しい物だな?」
「わ、ワタシがダメージを恐れているとでも!」
「ならばモンスターBOXとアステカの石像のコンボに、そこまで怯えた理由は何だ?」
「…がない」
「ん?」
「当たるはずが無い!確率は二分の一だぞ!」
「当たる確率も二分の一だな。御託はこれぐらいでいい、結果はすぐに出る。宣言は…裏」
宙を舞うコイン。
「出た目は…裏だ。よってゼラの攻撃力は0になり、アステカの石像の効果により反射ダメージは二倍になる。よって4000の反射ダメージだ」
モンスターBOXごと叩き壊せばいい、と判断したゼラが大きく右腕を振り上げた瞬間、アステカの石像が
中から飛び出して無防備なゼラの身体を突き飛ばす!
突き飛ばされたゼラは右腕を振り上げた体制のままふっ飛ばされ、後ろに立っていた偽もこっちを巻き込んで派手に転倒する。
ぎゃふん!という女を捨てたような悲鳴を上げ、偽もこっちのライフは尽きる。
倒れ伏す偽もこっちに近づくもこっち。
「…申し訳ありませ…神炎…リ…様ぁ…」
泥のように崩れ去り、消え去る。そこには一枚の罠カードが落ちている。
「…胸像のスワンプマン、か」
『こいつは…ウリアの狂信者だな』
「信者か…」
『ああ。何でもウリアは人間形態は幼女らしい』
まるで意味が分からず、口を開け、半眼になるもこっち。
彼女にしては珍しいギャグ顔を披露していたが、ややあって思考を巡らせる。
「…スワンプマンとは何だ?」
『スワンプマン、落雷によって死んだ男と、同じく落雷によって近くの沼の泥が化学反応を起こして生まれた「死んだ男と同一の構造を持つ存在」
を同一人物と言えるかどうか、という思考実験だな。それを「スワンプマン(沼男)」と呼ぶ。』
「……」
『スワンプマンは外見だけでなく脳まで死んだ男と同一のため、知識や記憶、その後の行動まで全て男と同じになる。』
「そこまで生き写しだろうと、精神的には別人だな。私は私の完璧なコピーが居れば私が死んでもいい、とは思わない」
直後、何かが崩れ落ちる轟音をもこっちは聞く。
「…向こうの勝敗は決したようだな」
そう言ってインカムをつけるもこっち。
直後にサイコショッカーの姿が消える。ややあってインカムから音声が届く。
『…遊城が勝利した』
「これで、こちらの持ち駒は5つ、療養中が1つ、敵は残り5つか…」
『自分を駒に数えるのか?』
「当然だ」
カミューラ城は崩れ落ちましたが、湖は汚染されなかったのでしょうか?