デュエルディスクの重量は漫画版GXでフリスビーにして遊べる物から、宝石をちりばめている事からピンからキリまであるのでしょうが、バトルシティ時代の流通品とかアカデミアディスクの重量はどれぐらいなのでしょうか?
図書館で樺山先生から出された詰めデュエルを解き終え、報酬のカードを受け取ったもこっちは、レッド生に挑まれた物のあっさりと蹴散らしていた。
「TM-1ランチャースパイダーでセットモンスターを攻撃」
「ば、番兵ゴーレムが!」
「もう一体のTM-1ランチャースパイダーでダイレクトアタック。」
「うわぁああああ?!ライフ0
「くっそぉ、負けたか…」
チックという少年を一瞥すると、もう興味が無くなったという態度でその場を立ち去る。
一部の生徒からは相手の強さによってデッキレベルを変えている事を批判された。
…相手によって有利と思われるデッキを使う三沢はいいのか?ただ「あれ、居たの?」とたまに言われている辺り、やや嫌われているのかもしれない。
天上院を倒したという事で、もこっちを慕う編入組の女子生徒が現れた。成瀬優。
もこっちと呼び、もこっちも彼女をゆうちゃんと呼ぶようになった。
デュエルが強い、というのが一種のステータスになるこの世界ではよくある話である。
そんな日々を送っていると、奇妙なうわさを聞く。
アカデミアに教育実習生が来ていて、採用条件の一つに「50連勝」というのがある。
ただ、倒した生徒からレアカードを巻き上げているという。奪われたカードはかなりの枚数にのぼり…
「…ネフティスの鳳凰神、パーフェクト機械王、ギルフォード・ザ・ライトニング、デビルドーザー、海竜ダイダロス、ヘルフレイムエンペラー、タイラントドラゴン…」
「どれもデュエルモンスターズではトップクラスのレアカードばかり…」
被害にあった生徒から寄せられた情報をもこっちとゆうちゃんは集めていた。
「そして、デュエル中になぜか魔法カードが使えなくなり…」
「さっさと進めろと圧力をかけられ、仕方なくターンエンドしていいようにやられる…と。」
「ラーイエローの小原君の気持ちが分かったよ…あの、周りから何をやっているんだ、早く進めろ的な視線はキツイ」
「彼の場合は経験を重ねて、緊張をほぐせるようになれば強くなると思うけれど…」
相談している所に、レッド生が近づく。
「なぁ、龍牙について何か知らないか?」
「遊城?」
「えっ?遊城、もしかして龍牙と戦うつもり?」
「当たり前だ!翔のカードを持っていきやがって。」
「勝てるの?魔法カードが使えない状況で」
「魔法カード無しで?どういう意味だ?龍牙は魔法カードを封じる戦術なのか?」
「マジック・キャンセラーやサイレントソードマンとは別の方法。おそらくはイカサマ」
「なっ?!」
「遊城、もし私が負けたらその時はお願い。」
「もこっち、勝算はあるの?」
「ある。イカサマの方法にも、検討はついている。何処から流出したのかは知らないけれど……」
随分と危険な橋を渡ったようね、ともこっちは呟く。
翌日。オベリスクブルーのデュエルフィールドに、教育実習生ともこっちは立っていた。
穏やかな紳士を思わせる風貌。眼鏡は細いフレームで、髪をバックにまとめあげている。
ただ、その眼はどことなく爬虫類を連想させる。人を見下しきった表情。
「君があのクロノス教諭を倒したという生徒の一人かね?」
「もう一人、遊城十代が居ます、龍牙教諭」
「龍牙教諭。いい響きだ。ふふ、だが残念な事にまだ教諭では無いのだよ」
「そうなのですか?」
「まぁ、もうすぐそう呼ばれるようになるがね、フフフ…」
デュエル!
もこっち ライフ4000
手5 場
龍牙 ライフ4000
手5 場
「先攻は君に譲ろう」
「では、私の先攻、ドロー。魔法カード、強欲な壺を発…」
「ん?どうしたのかね?」
強欲な壺が正常に発動出来ない為、もこっちはディスクを簡単に操作した後、強欲な壺のカードを龍牙に見せる。
「龍牙教諭、これが見えますか?」
「ああ、強欲な壺だね。」
「効果はご存知ですか?」
「はぁ?デッキからカードを二枚ドローする、だろ?」
「ありがとうございます」
そう告げると、もこっちは強欲な壺を墓地に送り、デッキから二枚をドローする。
「ま、待て!今何をした!」
「強欲な壺を発動して二枚ドローしました」
「だが、ディスクが認識を」
「デバックモードで起動しています。デュエルディスクが不具合を起こした際の対処法として、対戦相手にカードを提示しそれを
相手が確認させる事でカードの処理を行う、という方法があります」
「な、ななな…」
いいや知らない、見た事が無いと喚きたてるのは龍牙のプライドが許さなかった。
本来はディスクがカードの情報を読み取り、海馬コーポレーションのメインコンピューターにアクセスし、そこで高速処理を行った後に再び転送されているが
デバックモードではカードデータを読み取ったまま効果を処理する。故に、僕の考えた最強のカード、でも使用は出来るのだ。
相手がそのカードの使用を許可してくれれば、ではあるが。
「では続けます。私は魔法カード、ワン・フォー・ワンを発動します。手札のモンスターを捨てて、デッキか手札からレベル1のモンスターを特殊召喚。よろしいですね?」
「ぬぅ…」
「手札の人造人間サイコ・ショッカーを墓地に捨て、デッキから黄泉ガエルを特殊召喚。私はモンスターをセットしてターンエンド」
もこっち ライフ4000
手4 場 黄泉ガエル セットモンスター
龍牙 ライフ4000
手5 場
「ぬぅ、私のターン、ドロー!私はジュラック・グアイバを召喚!」
炎を纏った非常に派手な恐竜が現れる。見た事のないモンスターが出てきたことで、わずかに目を開くもこっち。
図鑑に登場するような恐竜とは違うが、この鮮やかな色合いは見ていて楽しい。
性格はともかく、自身のカードに対して称賛を込められた眼差しを向けられる事は悪い気分では無かったようで、龍牙は饒舌に語る。
「フフフ、どうかね?インダストリアルイリュージョン社の最新のカードだ。獲物を探し、追い詰め、食らいつく。
狩りの一連の流れが緻密に組織された食物連鎖の頂点!その力を見るがいい!ここで手札のキラーザウルスを墓地に捨てて効果発動!」
龍牙が使ったのは、かつてもこっちが説明していたフィールド魔法を手札に加える下級モンスター。それが引っ張ってくるフィールド魔法は…
「デッキからフィールド魔法、ジュラシックワールドを手札に加え、発動!これにより、場の恐竜族・鳥獣族モンスターの攻撃力・守備力を300ポイントアップする!」
「…攻撃力2000」
「それだけでは無い!恐竜族・鳥獣族は相手の罠の対象とならず、効果も受けない!さらに自分のコントロールする攻撃表示の恐竜族・鳥獣族モンスターが
相手モンスターの攻撃対象になった時、そのモンスターを守備表示にする事ができるのだ!」
あまりにも多い効果から、【鳥獣族】にも組み込めると思考を巡らし、
何故恐竜族が対応しているのに爬虫類族が対応していないのだろう?と余計な事を考えるもこっち。
「バトル!グアイバで黄泉ガエルを攻撃!」
その選択をもこっちは訝しく思った。
「黄泉ガエルを倒しても、次の私のスタンバイフェイズに墓地から特殊召喚出来ますが?」
相手モンスターの数を減らすのは常道だが、復活するモンスターを倒してどうしようというのか。
「フフフ、グアイバが相手モンスターを戦闘で破壊し墓地に送れば、デッキから攻撃力1700以下のジュラックを特殊召喚出来る。現れろ、ジュラック・ヴェロー!
ただしこのターンは攻撃出来ないがね。私はカードを伏せて、ターンエンド」
デッキからの特殊召喚を確実に通す為だったのか?いや、何か狙いがある。
爬虫類を思わせる欲望に彩られた眼には、まだ何か隠されている事をもこっちは見抜いていた。
もこっち ライフ4000
手4 場 セットモンスター
龍牙 ライフ4000
手3 場 グアイバ ヴェロー ジュラシックワールド 伏せ1
「私のターン、ドロー!スタンバイフェイズに墓地の黄泉ガエルの効果発動、墓地から特殊召喚。」
「君がモンスターを特殊召喚した事で、罠発動!狩猟本能!これにより手札の恐竜族を特殊召喚!
現れろ、ジュラック・ティラヌス!どうだ!こいつは攻撃力2500の上級モンスターだ!さらにジュラシックワールドで攻撃力は2800」
確実に、堅実に相手を追い詰める。黄泉ガエルを狙ったのは確実さを取り、この展開の為だった。
獲物を探し、追い詰め、食らいつく。狩りの一連の流れが緻密に組織された食物連鎖の頂点…なるほど、実に彼らしい。
アカデミア生徒という獲物を追い詰め、レアカードを食らい尽くす。だが。そのような暴虐は長くは続かない。炎は全てを燃やし、新たな物を作り出す。
だが、その後に残るのは灰のみだ。
「相手が手札からモンスターを特殊召喚した時、このモンスターを特殊召喚出来ます、サイバー・ダイナソーを特殊召喚」
「な、何ぃ?!」
派手な恐竜に対し、メタリックな恐竜が現れ、互いに威嚇する。とはいえ…
「ふ、フン!所詮はまがい物!攻撃力がティラヌスに及ばん!」
「私は黄泉ガエルを生贄に、ブローバックドラゴンをアドバンス召喚。」
「むっ?!」
「効果発動、コイントスを3回行います。対象はジュラック・ティラヌス。コイントス。一回目、裏。二回目、表、三回目…裏」
「は、ハハハ!所詮運に縋った所でこの程度だ!」
ギャンブル失敗。だがもこっちはためらわず、次なる一手を打つ。
「セットモンスターを反転召喚。融合呪印生物「闇」。効果発動、ブローバックドラゴンとこのカードを生贄に、デッキからガトリングドラゴンを融合召喚」
「なっ?!融合無しで融合召喚だとぉ!」
「コイントス。一回目、表、二回目、裏、三回目、表」
「ぐっ?!あ、ありえん!」
ガトリングドラゴンの一斉掃射が、狩人を気取っていた恐竜族をまとめてハンティングする。
魔法を封じられたアカデミアの生徒を狩って来た彼らだったが、今回、狩られるのは彼らの方だった。
「バトル、二体でダイレクトアタック!」
「うわぁああああ?!」ライフ0
勝負は決した。
「私の勝ちですね、龍牙教育実習生」
「…このデュエルは無効だ!」
外野がざわめく
「運が良かっただけだ!こんなものはデュエルとは呼べん!」
その醜態をじっと見つめるもこっち。
ただ、待っていた。この男が醜態を、恥をさらしまくるのを。
「何とか言ったらどうだ!ええ?」
「そもそも、デバックモードでのデュエルはカウントされませんよ?」
「…は?」
「ですから、龍牙教育実習生。先ほどのデュエルはそもそもノーカウントです」
「は、ハハハ…なんだ、驚かせおって」
ただ、そのような態度を生徒にとる姿が認められる訳が無い。
人生のツケというやつは、最も自分にとって苦しい時に必ず回ってくるもの。
「シニョール龍牙。少し話があるノーネ」
「く、クロノス教諭?」
「先ほど、貴方は負けたノーネ」
「なっ?!あれはノーカウントと向こうも」
「貴方は教師になるというのに、生徒に対し指導したり、健闘を称える事もしなかったノーネ。
そんな人を栄光あるデュエルアカデミアの教員に迎え入れる訳には行かないノーネ。
何よりもカードを強奪した疑いもあるノーネ。カモン!倫理委員会!」
「は、離せっ!くっそぉおおおお!」
睨まれたら退学間違いなし、という倫理委員会のメンバーはきびきびと動いて龍牙を拘束して連行していった。
そして生徒からレアカードを強奪していた事と、イカサマをしていたことがばれてアカデミアからたたき出された。
カードを返却され、ラウンジにてもこっち達は集まっていた。
「でも驚いた、デバックモードがあるなんて」
「まぁ、普通は使わないから知らないのも無理はない。それで、カードは戻って来たの?ゆうちゃん」
「うん。マスターオブOZ、ちゃんと帰って来たよ。ありがとう」
「あー?!ま、魔法カードが発動しない!」
「ええー?!」
「もこっち、あれは!」
「ディスクをフリスビーみたいに投げて遊んでいたら壊れると思う。小型のノートパソコンが買える程の精密機械だし」
そう言うと、もこっちはディスクの手入れをする。学校の備品であるが、いずれは自分専用のディスクを手に入れてカスタマイズしたいものだ。
デュエルディスクの改造パーツはかなりの数が出回っており、プロや金があるデュエリスト達はこぞって買い求めている。
基本的に黒を基調としたデュエルディスクにしたいなぁ、と思いつつ、もこっちはディスクをしまう。
後ろでディスクが壊れた、直してと大徳寺先生に遊城が泣きついて居た。
魔法カードだけ発動出来なくさせる指輪と、それに耐えられるデュエルディスクってあの世界だと裏ルートで出回って居そうな品ですよね。