「…遊城達が退学?」
「うん、なんでも廃寮に入ったんだって。天上院さんと、前田さん、遊城、丸藤が」
「ふぅん…」
ゆうちゃんと話していたもこっちは興味無さげに返す。親友では無い、あくまでも知り合い程度。
「天上院さんは巻き込まれただけで、遊城と丸藤だけ制裁タッグデュエルだって」
「前田さんは?」
「何か許されたらしいよ?」
「訳が分からない…」
そうやって話していると、ドタドタドタとオシリスレッドの生徒がやってくる
「成瀬!お願いだ!力を貸してくれ!」
「え、ええっ?!」
「隼人君を連れ戻しにお父さんがやって来たんス!ビッグコアラを使っているし、隼人君にアドバイスをしてあげてよぉ!」
混乱しているゆうちゃんを守るようにもこっちは前に出る。
「落ち着いて。順番に話して」
事情を聴き終えたもこっちは冷たく告げる。
「遊城。この件からは手を引くべきよ」
「なっ?!なんでだよ!」
「前田さんの父親は前田さんの将来を真剣に考え、学費を出している。次の進級試験まで待って、それで結果が出なかったらどうなるの?
その間の時間と学費が無駄になる」
「う、ううっ…」
「遊城。学費を出しているのは前田さんの父親よ。他人が口を出す事では無いわ。貴方が代わりに学費を払うならともかく」
「もこっち!」
ゆうちゃんをじっと見つめるもこっち。
「手伝うの?」
「だって、放っておけないじゃない!」
「…なら、これで決めよう」
そう言って、もこっちはディスクを起動する。
「デュエルで?!」
「私が勝ったら、ゆうちゃんも私もこの件には関わらない。ゆうちゃんが勝ったらこの件に私も協力する」
「…いいよ!」
デュエル!
もこっち ライフ4000
手5 場
ゆうちゃん ライフ4000
手5 場
「いくよ、私のターン、ドロー!魔法カード、召喚師のスキルを発動!デッキからレベル5以上の通常モンスターを手札に。ビッグコアラを手札に加える!」
「あっ?!び、ビッグコアラなんだな!」
「さらに魔法カード、古のルールを発動!手札のレベル5以上の通常モンスターを特殊召喚!ビッグコアラを特殊召喚!」
「すげぇ、いきなり攻撃力2700のモンスターかよ…」
「埋葬呪文の宝札を発動!墓地の魔法カードを二枚除外する事で、三枚ドロー出来る。私は召喚師のスキルと古のルールを除外して、三枚ドロー!」
最上級モンスターを召喚したのに手札は6枚。これが通常モンスター軸のデッキと埋葬呪文の宝札の底力である。
「魔法カード、融合を発動!手札のビッグコアラとデスカンガルーを融合!マスターオブOZを融合召喚!カードを二枚伏せて、ターンエンド!」
もこっち ライフ4000
手5 場
ゆうちゃん ライフ4000
手1 場 マスターオブOZ ビッグコアラ 伏せ2
「私のターン、ドロー!手札の沼地の魔神王を墓地に送り、デッキから融合を手札に加える。」
「へぇ~、融合賢者と同じ効果のモンスターか」
「私は融合を発動、手札のリボルバードラゴンとブローバックドラゴンを融合。ガトリングドラゴンを融合召喚」
「ガトリングドラゴン…でも、三回とも表ならもこっちのガトリングドラゴンも破壊されるよ!」
「コイントスを行う、一回目…表。二回目…裏。三回目…表。よってマスターオブOZとビッグコアラを破壊」
「まさか二回だけなんて。でも!私の場の獣族が効果で破壊された事で、森の番人グリーンバブーンの効果発動!ライフを1000払って手札から特殊召喚!」ライフ4000から3000
場をがら空きにされたが、即座に戦線を立て直す。凶悪な大型兵器に対し、森の番人が唸り声を上げながら立ちはだかる。
「…速攻魔法、融合解除。ガトリングドラゴンの融合を解除して、リボルバードラゴンとブローバックドラゴンを再起動」
「?!」
「リボルバードラゴンの効果発動、コイントス…裏。二回目…裏」
「よし!」
「三回目…」
「ええっ?!」
どうして外れが確定したのにコイントスを行うのか?分からい面々を放置し、もこっちはブローバックドラゴンの効果を起動させる。
「表。次はブローバックドラゴンの効果発動。コイントス…表。二回目…表。三回目…裏」
「そんな?!」
ブローバックドラゴンの射撃により撃ち抜かれたグリーンバブーンは破壊される。
モンスターは全滅。だがゆうちゃんの目にはまだ闘志が残っている。それを確認すると、手札の一枚に手を掛ける。
「…私はブローバックドラゴンを生贄に、人造人間サイコ・ショッカーを召喚」
「?!そ、そんな?!」
サイコ・ショッカーにより罠は使えない。この時点で勝敗は決してしまった。
「バトル。ブローバックドラゴンとサイコ・ショッカーでダイレクトアタック」
「きゃあああああああ!」ライフ0
デュエルが終了し、ディスクを片付けるもこっち。
「…約束通り、ゆうちゃんも私も協力はしない」
「もこっち。」
「今のデュエルを見て何か得る物が一つでもあった?」
「ああ、あったんだな!」
「いくら友達が居ても、最後に戦うのは自分一人。行こう、ゆうちゃん」
オシリスレッド組を置いてその場を立ち去ったもこっちは、角を曲がった所で大柄な男性と遭遇する。
この特徴的な顔つきは…前田さんの父親か?
「…どうも」
「おばん、何者でごわすか?」
「…デュエルアカデミア、オベリスクブルー所属の一年生。黒木智子。」
「わ、私もオベリスクブルー所属の一年生、成瀬優!」
「そうか…話は聞かせて貰ったでごわす」
「貴方が前田さんの父親?」
「いかにも。オシリスレッドと言うだけでも嘆かわしいのに、挙句の果てに廃寮に入って…。だが、隼人は良い友を得た」
「…アカデミア卒業後、プロとしてやっていける生徒はほんの一握り。貴方の選択は間違って居ないと思います。前田さん。それでは失礼します」
一礼し、その場を去っていく。
翌日、隼人は学校を辞めていった。デュエリストの道に見切りをつけ、デッキを成瀬に託していった。
「ゆうちゃん、ビッグコアラが6枚に増えちゃった」
「もう一つビッグコアラ軸のビートダウンを組んだら?」
「強欲な壺も天使の施しもサイクロンも死者蘇生も聖なるバリアもリビングデッドの呼び声も一枚しかないよぅ」
「……」
必須カードが軒並み入っていないデッキが出来上がりそうだったためか、ゆうちゃんはマスターオブOZを融合デッキに追加していた。
ふと、ある可能性に思い至る。
「…もしかして前田さんは必須カードが軒並み入っていないデッキでプロになろうとしていた…?」
いや、そんな馬鹿な話がある訳無い。そう思ってもこっちは明日の予習に励むのであった。
前田熊蔵さん視点での遊戯王GX
・息子がアカデミアに入学するも、最下層のオシリスレッド
・留年する
・デュエリストの道を諦めるといってオーストラリア旅行の代金を出すが、結局諦めない
・校則違反として廃寮に入り込む
連れ戻すのは至極当然な気がします。
GX本編で隼人が制裁デュエルの対象外だった理由は、保護者に連絡を入れたら激怒して実家に連れ戻すと言われたからでは無いでしょうか?