東京喰種 そこそこ強い(自称)捜査官   作:ディルク

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第4話

『こちら白石一等、第1班配置完了』

 

捜査会議から1週間後ようやく作戦が実行にうつされた。白石は複数の捜査官を率いてジェイソンの屋敷の正面口で待機している。辺りは夜のためか非常に静かだ。

 

結局時間をかけたわりには作戦は単純と言っていいものになった。すなわち黒磐と白石でジェイソンを挟み撃ちにするのだ。

 

現在は黒磐達第2班が配置につくのを待っている。黒磐達が配置につき次第突入開始だ。

 

『うむ。配置完了』

 

通信機から黒磐の知らせが届く。

 

『確認しました。これより作戦を開始します。第1班、第2班突入してください』

 

通信機から中津の突入の合図が聞こえると白石率いる第1班が屋敷の中へと侵入する。サブマシンガンを装備した捜査官達を先頭にして、白石、柿沢、田中のクインケ持ちは彼等の後に続いた。

 

屋敷の中に入るが暗すぎて状況がよく分からない。捜査官達がライトで周りを索敵するがジェイソンの姿が見当たらない。

 

「全員気を付けろ。どうやらジェイソンは俺達を奇襲するつもりらしい」

 

白石の言葉に捜査官達の顔が恐怖に歪む。ジェイソンのレートはSレート、奇襲されればとてもではないがひとたまりもないだろう。

 

そんな捜査官達をよそに白石は感覚を研ぎ澄ませる。視覚、聴覚、嗅覚、ジェイソンをさがすために全神経を注ぐ。しかし、集中しても何も分からない。

 

音は自分達と少し離れた黒磐達のものしか聞こえない。気配もそれに同じくだ。匂いに関しても血の匂いが全然してこない。

 

(どういうことだ?ジェイソンはここにいないのか)

 

そんなはずはないと頭を振る。ジェイソンがこの屋敷に入ったのを確認したから作戦が決行させたのだ、肝心のジェイソンはこの屋敷にいるはずだ。そう思いながら屋敷の探索を進める。

 

「白石一等、ジェイソンはどこに行ったのでしょうか?」

 

「このフロアにいなければ地下とかじゃないか」

 

田中の疑問に白石が答える。これだけ探して見つからないのだから地下室などしか隠れ場所もないだろう。

 

(本当にどこにいったジェイソン。もしかして監視に気付いて……となると罠か!)

 

その可能性が頭に浮かんだ瞬間、後方から赫子が飛んできた。咄嗟にクインケを展開する。

 

「チェンジ!!」

 

[カタナシ]から白石の腕にチューブが伸びて血が充填され、形状を巨大な盾に変える。盾が展開されて白石達を覆った瞬間に赫子が殺到した。

 

(羽赫……ジェイソンじゃないのか?)

 

「各員よく聞け、もうすぐしたら盾を解除して反撃にうつる。俺の合図で攻撃開始だ」

 

「「「「了解!!」」」」

 

班員の返事を聞き、解除のタイミングをはかる。喰種達は攻撃が通らないことに慌てているのかずっと攻撃を続けている。もうすぐガス欠になるはずだ、そう思いずっと待ち続ける。

 

「くそッガス欠だ!」

 

「こっちもだ!」

 

(こいつら馬鹿か)

 

「今だッ!!」

 

[カタナシ]の形状を盾から刀へと変化させる。その瞬間捜査官達が喰種に攻撃を開始する。

 

「ごっぱ」

 

「げ」

 

サブマシンガンから放たれる銃弾に体を撃ち抜かれて喰種達が打ち倒されていく。

 

「田中!、柿沢!」

 

白石のハンドサインを読み取り田中は左側、柿沢は右側にいる喰種達へと襲いかかる。田中は扇の形をしたクインケ、[クジャク]で喰種を切り裂き、柿沢は手斧の形をした[ヒーター]で喰種の首を撥ね飛ばす。

 

(田中も柿沢も意外とやるな)

 

自分も喰種を殺しながら、横目で2人を見ながらそう評価する。余所見をしている白石を狙った甲赫の刃をしゃがむことで回避し、そのまま[カタナシ]を横に振り抜く。

 

「ごはッ」

 

攻撃を受けた喰種は腹を切り裂かれ絶命する。そのまま次の喰種を殺しにかかる。鱗赫の赫子をスライディングで避け、喰種の足を通り際に切断し、起き上がる瞬間近くの喰種の首を切り飛ばす。

 

「ひっ、た、助けてくれ!!」

 

足を切断された喰種が命乞いをするがそれを無視して首を撥ねる。

 

(にしても数が多い。黒磐特等の方はどうなっているのか?)

 

もうすでに白石だけでも10人は殺した。他の班員もそこそこ殺したはずだ。なのにまだ15人はいる。こちらは既に3人が死んで、負傷者も出始めている。あまり時間をかけるのは得策ではない。

 

『黒磐特等応答を、……黒磐特等応答してください』

 

『中津二等、黒磐特等から連絡はあったか?』

 

『いえ、入っていません』

 

(連絡が出来ない状況なら急いだ方がいいな)

 

前方から襲ってきた喰種の首を撥ね飛ばし、さらに奥の方にいる喰種に向けて突進する。自分に迫ってきていると気付いた喰種が甲赫を前にして防御にはいるがそんなもので防げるわけもなくあっさり[カタナシ]に貫かれる。

 

(残りの数も少なくなってきた。ここは任せて大丈夫そうだな)

 

「田中ここの指揮はお前に任せる。俺は第2班の救援に向かう」

 

「了解しました!」

 

田中に指揮を任せて第2班のいる屋敷の反対側に向かう。近付くにつれて向こう側での戦闘音が聞こえてくる。

 

(やっぱり向こうも戦闘中だったか)

 

ようやく彼等の姿が見えてきた。どうやら白石の班より被害が甚大のようだ。負傷者が多く、彼等を守るために守勢を強いられている。そして黒磐だが五里と共に白スーツの大男、ジェイソンと戦闘中のようだ。

 

まずは雑魚共を片付けようと[カタナシ]の形状を巨大なハルバートに変化させる。そのまま捜査官に攻撃しようとしていた喰種を横凪ぎで真っ二つにする。

 

「し、白石一等!どうしてこちらに?」

 

「俺のところはだいぶ片付いたから救援に来たんだよ。それより早く雑魚共を片付けるぞ」

 

「了解!」

 

話が終わると白石は[カタナシ]を片手に持って喰種の集団に突撃する。[カタナシ]を片手に持って、スピードを生かして横凪ぎの一撃を放つ。それだけで3人の喰種が2つに別れた。さらに横凪ぎの勢いを利用して更に離れたところにいる喰種達に回転切りを放つ。またしても喰種達の胴体が2つに別れた。

 

「す、すげぇ」

 

「おい、一等の姿に見惚れてないで早くこいつらを始末するぞ」

 

「あの人がいれば勝てる、勝てるぞ!」

 

白石が次々と喰種を殺していく姿を見て捜査官達が勢いづき始め、守勢を強いられていた捜査官達は攻勢に転じる。

 

(もう大丈夫そうだな)

 

守りにはいっていた先程とは打って変わって攻め始めた捜査官達を見てそう判断する。近くにいた喰種を上段から叩き切り真っ二つにしてから黒磐の方へと向かう。

 

黒磐とジェイソンの様子を見るとどうやら黒磐が攻めあぐねているようだ。黒磐が距離を詰めようとしてもジェイソンは赫子で牽制して黒磐を近づけさせない。

 

(今のところジェイソンが俺に気付いた様子はない)

 

そう判断した白石は[カタナシ]の形状を刀に変える。そして全速力で駆け出した。

 

「五里二等、前に出るぞ!」

 

「白石一等!?」

 

五里の後ろからジェイソン目掛けて凄まじいスピードで突進する。ある程度近づくとジェイソンが白石に気付いた。黒磐に向けていた4本の赫子のうち1本を白石へと向かわせる。

 

白石は自分に迫ってきた赫子を斜め前に出ることでかわし、[カタナシ]を斜め上に切り上げ赫子を切断しスピードを落とさずジェイソンへと迫る。

 

「へえ、やるねえ」

 

赫子を切断されたジェイソンは軽い驚きを見せ、黒磐の方に向けていた赫子をもう1本白石へと襲いかからせる。また半ば切断された赫子を挟み込むように白石を攻撃させる。

 

ジェイソンは白石に赫子が挟み込むように迫るのを見てニヤリと笑みを浮かべる。あれではもうかわしようもない、と。ところが直ぐにその笑みも凍りつく。白石は逃げ場がないと知ると左手で[カタナシ]を振るって赫子を切断し、右手で赫子を受け止める。

 

(ちっ、流れに乗って胴体切断してやろうとしたのに止められちまった)

 

ジェイソンを驚愕させた本人はその場に止められたことを残念がっていた。しかし、と笑みを浮かべる。

 

(奴の意識はこちらへと向きました。ここは譲りましょう、黒磐特等)

 

白石に注意が向いている隙に黒磐がジェイソンへと迫っていた。本来であれば戦っている敵から目を離すなんて致命的なことをジェイソンがするはずがないが、生身の体で赫子を止めるという行為を目の前にして完全に意識をそちらに向けてしまっていた。

 

「なっ!?」

 

「ふんっ!」

 

黒磐の[黒磐special]がジェイソンの胴体へと叩き込まれる。血を撒き散らしながらジェイソンが後方へと吹き飛ぶ。

 

(浅いか)

 

[黒磐special]を叩き込んだ時の感触からそう判断する。ジェイソンは攻撃を受ける瞬間に後ろに自分で跳んでダメージを減らしていたのだ。

 

「がっ、ごほっ、くそっ!!てめーらぶっ殺す!!」

 

血を吐き出しながら殺意の言葉を口にする。目が血走り殺意を撒き散らしている。

 

「チェンジ」

 

[カタナシ]の形状が刀からハルバートに変わる。次の一撃で仕留めるためにジェイソンが攻撃を仕掛けてくる瞬間を狙う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(くそっ!、くそっ!、くそっ!、くそっ!、落ち着け!落ち着け!あの人間と思えない化け物と特等を相手じゃ分が悪い)

 

未だにジェイソンの頭の中には怒りが渦巻いているが幾分か冷静さが戻ってきた。今のジェイソンの状態から戦っても勝ち目がないと悟り逃げ道を探る。

 

(何か、何かないのか?……うん?)

 

自分が吹き飛ばされた場所、森林を見回す。その時名案が閃いた。思わずにやけが止まらない。尻餅をついた体勢から膝に力を入れて立ち上がる。

 

正面にいる黒磐と白石に向けてニコリと笑いかける。そして赫子を使って周りの木を引き抜く。それを見て白石と黒磐は防御のためにクインケを構える。

 

「そうじゃないんだよ、そうじゃ」

 

にやけながら引き抜いた木を白石達に思いっきり投げる。白石が黒磐の前に出て[カタナシ]を巨大な盾に変える。白石達の視界が完全に遮断された瞬間彼等の後方、戦闘中の捜査官達へと木を投げる。何本も投げ続ける。

 

ジェイソンの狙いに気付いた白石が[カタナシ]を後方の捜査官達を覆う巨大なドームへと姿を変えさせる。完全にジェイソンから意識が外れたその瞬間ジェイソンは赫子をバネのようにして凄まじいスピードで逃走を開始した。

 

(いつか絶対にこの借りは返す!絶対になぁ)

 

その胸に白石達に対する憎しみを抱きながら。

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