東京喰種 そこそこ強い(自称)捜査官   作:ディルク

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第9話

「お、やっと来たね白石上等、伊丙三等」

 

「遅くなってすみません知行博士」

 

「すみませーん」

 

白石とハイルは白石の新しいクインケを受けとるためにCCGラボに訪れていた。

 

「素晴らしい赫子だったよ!流石はSSレート、かなり凄いのが出来上がったよ!」

 

興奮したように知行が白石の方へと語りかけてくる。ハイルとの約束により[t-human]をハイルに譲渡したためファルコンの赫包を使ってクインケを作ってもらっていた。

 

「形状に特に注文が無かったからこっちで良さそうだと思った形にしておいたよ」

 

「構いませんよ」

 

白石としては性能が高ければそこまで形状に注文をつけようとは思っていなかった。

 

「ではお披露目しよう。これが君のクインケだ!」

 

白い布をどかすとそこにはただの剣が置いてあった。特に装飾などもないただの剣だ。

 

「ただの剣ですか。せっかく燃えたり爆発したりしてたのにもったいない」

 

「ただの剣な訳がないだろう!?見た目は普通でもこれは凄い性能を秘めているんだよ!」

 

「分かりました知行博士、だから落ち着いてください」

 

「コホン、では説明といこう。このクインケは近接モード、遠距離モードの2つがある。近接モードは見ての通りだよ。手元にあるスイッチを押せば刀身から炎が出てくるよ」

 

知行の説明を聞いて白石は思わずまじまじとクインケを見る。見た目は普通だが性能はかなりいいのかもしれない。

 

「そして遠距離モードについてだけど、ちょっとモードチェンジするよ」

 

知行がモードチェンジを行うと剣の先端が二つに別れた。

 

「この遠距離モードだけどかなり危険だから注意して使ってね。これはこの先端から凝縮した赫子を放つんだ。そしてここからが重要。赫子が射出された後赫子は炎を噴出して加速、着弾後広範囲を爆発に巻き込み辺りを炎が包み込む。それと爆発は手元のボタンでオフにもできるよ」

 

「へー、凄いですね白石先輩」

 

「そうだね」

 

「あれ、何か反応が薄いな。まあいい、とにかくこのクインケの性能は分かっただろ。もう調整も済ませてあるから持っていってもいいよ」

 

「ありがとうございます」

 

「うん、大切に使ってあげてね」

 

知行博士へとお礼を言い、白石とハイルはCCGラボを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死ねクソ白鳩!」

 

「お前がな」

 

ラボを出た後の2人だったが性能を試してみようということで近くの裏路地へと来ていた。見た目が若い2人だったせいかアタッシュケースを持っていてもすぐに喰種は釣れた。しかも7体。

 

「ハイル、なるべく中央へ寄せてくれ」

 

「分かりました」

 

ハイルが[t-human]をかすらせるようにして喰種達を攻撃していく。喰種達も2人の強さに気付いて逃げようとしているがハイルの攻撃で前には出られず、後ろは白石がいるため抜けることが出来ない。

 

「ハイル、退避!」

 

白石の声を聞いてハイルは喰種達と距離をとる。ハイルが離れたのを見ると白石は新しいクインケ[ガーンデーヴァ]を中央に集まった喰種達へと向ける。

 

「showtime」

 

白石の一言と同時に[ガーンデーヴァ]から赫子が射出された。炎の加速により凄まじい速度で喰種へと飛んでいき貫いた。

 

「ごッ!?」

 

「哲郎!?」

 

「野郎よくも!」

 

仲間を殺されて激昂した喰種達が白石へと襲いかかろうとする。しかし、白石が赫子を爆発させたためそれは叶わなかった。爆発で近くの喰種は即死し、その後の爆炎で残りの喰種も全員即死した。

 

その様子を見ていた白石は満足そうな様子だったが少し予想外の出来事が起こる。爆発の衝撃で辺りの建物の壁が破壊されていったのだ。

 

「やってしまった」

 

「すごい衝撃でしたしね」

 

後始末をどうしようかと悩んだが隠し通せるはずがないと諦めて処理班へと電話をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「馬鹿者がァァ!!」

 

怒りの声が総議長室に響き渡る。あの後処理班にお願いして隠蔽してもらおうとしたが被害が大きかったためすぐに総議長の耳に届いてしまった。

 

「お前には[カタナシ]と[ヴィズル]があるじゃろうが!何故路地裏で破壊力の高い羽赫を使った!?市民からの苦情が殺到しておるぞ!」

 

「新しいクインケでしたので強敵を相手にする前に雑魚で試しておきたかったんです」

 

「場所を考えんか!」

 

白石の言い訳に雷が落ちる。白石もさすがに今回は反省しているのか決まりが悪そうにしている。

 

「はい、すみません。新しいクインケが手に入ったので浮かれてました」

 

「うん?お前が反省するなんてどういう風の吹き回しだ?」

 

この一言に思わず白石の額がピクリと動いた。が、今回は反省しているのでなにも言わなかった。

 

「まあ反省しているのなら今回は不問としよう。次からは考えて行動せよ」

 

「yessir」

 

ようやく話が終わったと思わず肩の力が抜ける。首を回して骨を鳴らし、部屋から出ていこうとすると総議長から声がかかった。

 

「待て、まだ話がある」

 

「まだあるんですか?」

 

扉の方へと向いていた体を常吉の方へと向ける。まだ説教があるのかと思ったが常吉の顔を見る限りそうではないらしい。

 

「白石、S1班、S2班、S3班は知っているな?」

 

「はい、何か捜査官のグループか何かじゃなかったですかね」

 

「まあそんなものだ」

 

「で、それが一体何だって言うんですか?」

 

「…今S0班を新たに創設することが計画されている」

 

そこまで言うと常吉は白石へと視線を向けてくる。言わなくても分かるなと問いかけるように。

 

「で、それが一体何だって言うんですか?」

 

しかし、そこまで察しも良くなく、頭も普通である白石は分かっていなかった。

 

「……察しの悪いやつめ。お前にはS0班の班長を任せたいと思っている」

 

「それ俺がしても良いんですかね?階級とか、俺上等ですよ」

 

「階級に関してはファルコン討伐の功績があるからすぐにでも准特等へと昇進させられる。そして儂はお前ならこれを無事こなすことができると思っておる。やってくれるか?」

 

「……分かりました」

 

そこまで話をして白石は大事なことを聞いていないことを思い出した。

 

「ところでこのS0班は何が目的なんですか?」

 

「喰種の捜査、討伐。そして儂からの依頼を遂行することだ」

 

「……まあ引き受けた以上はやりますよ」

 

「期待しておるぞ」

 

これで話は終わりだろうと思い扉の方へと向かおうとしたが聞いておきたいことを思い出して常吉の方へと体を向けた。

 

「有馬さんのところにいる部下を呼び戻してもいいですか?」

 

「構わん」

 

常吉の返答を聞いて白石は一安心した。白石にとってあの部下3人はCCGの中では一番信頼できる者たちであった。

 

聞きたいことを聞いた白石は今度こそ総議長室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「短かったですね」

 

「ああ、2時間で終わって良かったよ」

 

そんな会話をする白石とハイルはCCGの食堂で昼食をとっていた。ちなみに白石はカレー、ハイルは親子丼だ。

 

「何かS0班作れって言われたんだけど、ハイル入ってくれない?」

 

「私がですか?うーん、良いですよ」

 

「返答が早いな。本当に悩んだのか?」

 

「はい、でも白石先輩といると楽しいので」

 

「そうかい、ありがとさん」

 

嬉しいことを言われたため照れて赤くなった頬を隠そうとそっぽを向く。ハイルはそんな白石の様子を見て首をかしげている。

 

「この親子丼美味しいですよ。一口どうですか?」

 

「カレーとあわなそうだからいいよ」

 

「そう言わずに」

 

ハイルが手に持ったスプーンを白石の口へと押し込んだ。突然そんなことをされて驚いた白石はジト目でハイルの方を見た。

 

「美味しいしょや」

 

何か一言言ってやろうか思っていたがハイルの笑顔を見てそんな気も失せてしまった。

 

「確かに美味しいよ。ありがと」

 

「えへへ、どういたしまして」

 

(うん?よく考えたらこれって間接キス?)

 

そう考えたら頬の赤みがかなり増した。白石は少し、いやかなり恥ずかしかった。

 

(こいつ何も考えていないんだろうな)

 

美味しそうに食べているハイルを見てそう思わずにはいられなかった。

 

「同席してもよろしいかね」

 

2人で話ながら食べていると突然声をかけられた。2人組の捜査官でどちらも手にはカレーがある。

 

「ええ構いませんよ」

 

「ありがとう。では座ろうか亜門君」

 

「はい」

 

亜門と呼ばれた男がハイルの隣に、もう一人の痩せこけた男は白石の隣に座った。

 

「君達は捜査官補佐か何かかな?」

 

無言で食べていると痩せこけた男が白石へと話しかけてきた。

 

「いえ、特例で入った喰種捜査官ですよ」

 

「ほお!では君が白石上等か、噂はかねがね聞いているよ。私は真戸だ。よろしく」

 

「自分は亜門鋼太郎一等捜査官です!あの白石上等に会えて光栄です!」

 

突然の自己紹介に少し驚いたが真戸の名前で思い出した。

 

(たしかクインケ狂いの真戸だったっけ)

 

「ところで白石上等、君のクインケを見せてくれないか。こう見えて私はクインケには目がなくてね」

 

「今度捜査をご一緒にされる機会があればお見せしますよ」

 

真戸は白石の返答に満足そうな顔を見せた。そしてハイルのことを思い出したようだ。

 

「白石上等、彼女は?」

 

「伊丙入三等捜査官ですよ。彼女は庭出身です」

 

「なるほど、優秀なパートナーですな」

 

「ええ」

 

白石と真戸の2人が話している間、ハイルは親子丼を美味しそうに、亜門は真戸が持ってきた中辛のカレーを汗を滝のようにかきながら食べていた。

 

「おや、そろそろ我々は行かなくては。白石上等またお会いしましょう」

 

「ええ、真戸上等」

 

お互いに声を掛け合うと真戸は亜門を連れて食堂を後にした。

 

「変わった人でしたねー」

 

「そうだね」

 

真戸達がいなくなってしばらくして白石達も食堂を後にした。

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