咲-Saki- loop-top  この檻の中で君を想う   作:入道雲

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 地の分が上手くいかない。自分は会話分が多くなってしまいがちなので頑張って増やしているんですけど読みにくいですかね?

 6/19に少し改定しました。


悪夢《現実 》の始まり

 須賀京太郎は夏休みを楽しんでいた。

熱く照らす日を避けるように避暑地帯である木の下で涼む。隣に居るのは本を読んでいる少女。

 少女はふと顔を上げ、京太郎に話しかける。

 

 「ねえ、京ちゃん。進学先は決めた?」

 

 京太郎は首を横にふり、決めてないと告げる。その言葉に少女は「そっか」と声を漏らす。

 

 「咲は決めたのかよ?」

 

 咲と呼ばれた少女は持って来た鞄の中から一冊のパンフレットを出し、京太郎に手渡す。

 パンフレットには清澄高校と書いてあった。その文字に既視感と薄ら寒いモノを感じた。

 

 ――なんで今あの夢を思いだすんだッ!!

 

 頭を振り、脳裏に過ぎった嫌な記憶を打ち消す。

 その様子を見ていた咲は京太郎を覗き込む。

 

 「京ちゃん?」

 

 深い瞳の色が京太郎を見つめる。咲は熱中症じゃないのかと聞いたが京太郎は否定する。

 話題を変え、本の話に変えと咲は目を輝かせて、話し込んだ。

 

 鞄にしまっていた一冊の本を京太郎に渡す。

 

 「前に教えた本だよ、この本の作者は私達と同じく長野県の作者なんだけど、この人の文章の書き方が綺麗なんだよねー」

 

 京太郎も本は一応読む方だが、文学少年を自称できるほど詳しくなく、そしてそこまで拘りがあるほうでは無いので、から返事をしてしまう。

 そんな京太郎の返事に咲は口を膨らませ、聴いてるのかと問いだだす。

 

 そんな咲が面白く思わず京太郎は笑ってしまった。

 

 「そういえば京ちゃん最近はあの手帳使ってないよね?」

 

 あの手帳と言われ、京太郎は何を指しているのか理解するのに数秒掛かったが、すぐに思い出した。

 

 「咲がプレゼントしてくれた奴だろ、確かに最近は使ってないな……」

 

 「えー、酷いなぁ……何か一言名言っぽいこと書けって言って書かせたくせに」

 

 咲が中学生の頃に京太郎の誕生日にプレゼントした手帳。革製で中身を入れ替えるタイプのものだった。

 本格的に使うようになったのは、高校生になってからだった。しかしこの時期の京太郎はほとんど使わずに机の引き出しに眠ったままだった。

 

 清澄高校で買い物や日程を確認するのに良く使っていた物だった。

 

 「あれ、ガサツな京ちゃんでも使える奴だから便利だよ」

 

 「おう、今度持ってくるな」

 

 頭を掴みガシガシしていると京太郎は咲に怒られた。

 既に木陰は大きく伸びていた夏のある日。

 

 

 

 

 

 

 夏休みも中盤になり咲と京太郎は同じ中学の友人を連れ、近くのプールに来ていた。

 プールの水は適度に冷たく、ほどほどの爽快感を皆に与えていた。水質調査の時間に入り、皆がプールサイドに上がった時、京太郎と咲は日陰で身体を休めていた。咲自身、運動は得意とは言えなく、泳ぐのに疲れていた。咲や同級生の下に京太郎が買ってきた、飲み物を差し出す。

 

 「一応言っとくけど、割カンな」

 

 節々に文句を言いつつも皆が代金と引き換えに飲み物を受け取る。

 

 「それにしても、もう少ししたら中学も卒業かー」

 

 同級生の誰かが口にした。

 その声は憂いを帯びているような響きを京太郎は感じていた。

 

 「だな、まぁこれが最後ってわけでもないし、そんなに深く考えなくてもいいだろ」

 

 どこか湿っぽくなってしまったのを感じ京太郎が軽口で流す。

 その言葉に賛同してか回りも笑い出し、京太郎を茶化す。

 

 「うわー、須賀ったなにキザっぽいこと言ってんだよ」

 

 首に絡みつく友人にため息をつきながら「うっせー」と京太郎は顔を紅くしながら返していると、プールの水質点検の終了の笛が鳴った。

その笛を合図に友人達が一斉にプールに飛び込む、監視員のお兄さんに注意される友人達を笑いながら眺めている二人だった。

 

 

 

 

 後一週間足らずで夏休みも終わろうとしていた。

 

 

 

 二人はここ数日、図書館で課題を大忙しで取り組んでいた。取り組んでいたと言っても、咲は自分が苦手な科目以外は既に終わらせていたが京太郎は何一つ手をつけていなかった。幸いな事に、中学三年生と言うことで課題は二年時よりは少なかった。

 

 京太郎は最初に得意科目の数学を早々に終え、苦手な教科である国語や社会に取り組んでいた。また、咲は数学を苦手として国語などは得意であった為、お互いの弱点を補いあっていた。

 

 図書館に居るのは以外にも少なく京太郎と咲の二人きりなので二人は少し大きめの声で何気ない会話を交えつつ、課題に取り組んでいた。

朝早くから、図書館に篭り二人で取り組んでいたため、夏休みが終わる四日前には課題は終わっていた。

 

 課題も終わり、二人は地元の夏祭りに出る事にしていた。咲は浴衣を着て、京太郎は甚平を着て待ち合わせ場所に居た。

親友の見慣れぬ浴衣姿だったが毎年の恒例なのでなんとも思わなかった。

 

 「何すっか?」

 

 「私、わたあめ食べたい」

 

 「いいねえ」

 

 わたあめやに向かい、わたあめをつまむ。

 咲が美味しそうに食べているのを京太郎はラムネを飲みながら眺めていた。不意に空から聞こえる炸裂音が響いた。

 二人は空に目をやった。

 

 「うわぁ、花火だ」

 

 「だな、毎年やってるから見慣れちまったぜ」

 

 「はぁ……京ちゃんは風情がないね」

 

 咲はため息吐きつつも、空に咲く花を見つめていた。

 

 「ねえ、京ちゃん。また来年も来ようね」

 

 「おう、来年と言わず、毎年来ような」

 

 「うん」

 

 空に咲く花は咲いては、消え、咲いては消えを繰り返す。

 すでにセミは鳴かず、鈴虫が鳴いていた。夏は終わりに近づいていた。

 

 

 

 

 夏休みは終わり、季節が移ろい往く。

 気温が下がり、人々は秋の兆しを感じていく中、京太郎と咲は学校帰りの道のりを歩いていた。

 

 途中でコンビに寄り、お菓子と飲み物をかごに投げ入れ購入して、二人は目的地である京太郎の家に向かった。

理由は京太郎の家で勉強するためだった。明日は学校が休みで咲は苦手な理系科目を、京太郎は苦手な文系科目を補修するためだった。

 

 「おじゃまします」

 

 玄関を開け、咲は小さく頭を下げた。綺麗に靴を整え京太郎の部屋に向かう。

京太郎は先に部屋に上がっていてくれといいリビングに向かう。咲を数分待たせて私服に着替えた京太郎は自室にもどった。

 

 適度な休憩を挟みつつ、交代でお互いを教えあう。

 

 「だから、京ちゃん。そこは作者の感想を述べている場所だから……ココは違うの。解った? 清澄の過去問はそういう引っ掛けが幾つかあるから気をつけてね」

 

 「なるほど」

 

 カリカリと紙の上をシャーペンが走る音だけが響く。

一時間程度で交代をする。

 

 「だからな咲、そこは関数を使うように見えるけど実はこうやると……な、解けただろ」

 

 「そ、そうやるんだ」

 

 「まあ、ココは応用だから迷うけど、ココさえ抑えれば結構いけると思うぜ」

 

 数度繰り返して、二人は疲れてしまい、長めの休憩を取る事にした。

これが二人の日課だった。

 

 

 

 そして冬が訪れる。

 

 二人はコンビニに立ち寄り、暖を取っていた。雪がちらほらと降り始めているのを雑誌を立ち読みしながら二人は眺めていた。

 流石に店員の目が気になり、幾つ温かそうなモノを買い、近くの公園のベンチに掛けながら何処を見るでもなく眺めていた。

 

 「ほい、咲。はちみつれもん。熱いから気をつけろよ」

 

 「ありがとう、京ちゃん。京ちゃんはコーヒー?」

 

 「おう」

 

 プルタブをあける音とペットボトルの蓋を開ける音。

京太郎と咲は、葉をすべて落とした木を見ると流石に冬を感じずにはいられなかった。どこか寂しさを覚える。

 

 「もう少しで……卒業だね……」

 

 「……だな。ま、その前に入試だけどな。お前落ちんなよ~」

 

 「もうっ!!茶化さないでよ折角真面目な空気だったのにもう」

 

 「お前には真面目な空気は似合わねえよ。そういうのは、なんつーの、男気のある俺とか……」

 

 「ふふっ、変な京ちゃん。でもさ一緒の高校に入れるといいね」

 

 「……ああ」

 

 

 

 そして、中学を卒業した、二人は目当ての高校、清澄高校に入学した。

 

 

 須賀京太郎は清澄の生徒になり、日々を過ごしていた。

そして、麻雀部に入部すことになる。

 

 親友と平和な日々をすごしていく中、やはり夢の内容が頭の中について回った。

やがて薄ら寒い夢は現実味を帯びていった。

 

 会った事も無い人物が出てくる。京太郎が気づいた時には、既に手遅れだった。

宮永咲が事故に巻き込まれ、死亡した。

 

 

 

 

 

 

 みーん、みーん、みんみん。みーん、みーん、みんみん。みーん、みーん、みんみん。みーん、みーん、みんみん。

みーん、みーん、みんみん。みーん、みーん、みんみん。みーん、みーん、みんみん。みーん、みーん、みんみん。

 

 じりじりとした日差しが身体に当たる。皮膚を焼かれているような感覚が身体を襲い、目を覚ます。

 少しは我慢しようと試みたが、ついには汗が心地悪くなり身体を起こす。

 

 周り見渡す、壁に掛かっているのは清澄の制服ではなく、俺が使っていた中学の制服だった。

 

 「戻ってきたのか?」

 

 カレンダーを確認する。そこには俺のいた時よりも一年以上さかのぼっていた。

 

 ――これで、これで咲を救える!! やってやる、絶対に助けるからな咲!!

 

 「やってやる、やってやるぞおおおおお!!」

 

 決意を言葉にして胸に刻み込む。

 

 ――待っていてくれ咲!!

 

 一回目は無謀にも気づこうとしなかった。今度こそ万全の体制を整えてやる。今回で終わりにするからな。

 




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