デュラリールドロップアウト!?   作:タキオンのモルモット

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ニュートンと林檎の樹のラビちゃん可愛かったぁ······


刀光赤影

 

 

 

前回より時は戻り、午後10時。

 

「お兄様は一体どこへ行ってしまったのでしょうか······」

 

蕪木銀夜は一日中池袋を練り歩いていた。

 

いつもなら有り得ないレベルで歩き回っているので途中何度か休憩を挟みつつ、義兄である歩を探し回っていた。

 

最初は斬り裂き魔を探し、義兄より先にぶっ倒そうかと思い、歩き回っていたのだが、よく考えたら義兄を探した方が早いんじゃね?という思考になり、義兄を探していたのだ。

 

そして、探して探して探して探して────

 

六時間が経過した。

 

「疲、れ······た······」

 

六時間も歩いて、何の成果も得られなかったので心が折れかけていた。

 

「はぁ······本当に何処へ行ってしまったのでしょう······」

 

いくら歩が強いからと言って、家族だ。あんなに狙われてるなら大人しくして欲しかった。

 

そんな感じで公園で黄昏ていると。

 

「······ん?お前は······」

 

「へ?」

 

義兄の友達と遭遇した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあやっぱり歩は斬り裂き魔と戦いに行った?」

 

「はい······多分······」

 

某ファミリーレストラン。

 

ガヴリールとサターニャという異色の組み合わせは疲れ果てている銀夜と共に夕食を摂っていた。

 

「はぁ······あいつめ······」

 

「やっぱり男ってチャンバラとか好きだからこうなるのかしら?」

 

「いや······あまり関係ないかと······」

 

「······まあ、私たちを巻き込まないようにっていう歩なりの気遣いでしょ」

 

「いや、まあそうなんだろうけど······サターニャが言うとなんかムカつくな······」

 

「何でよ!?」

 

 

 

「しかし······あいつホントに居なきゃいけないって時に居なくなるからタチ悪いな······」

 

「え?何かあるのですか······?」

 

「······まさか何も聞いてないのか?」

 

こくり、と銀夜が頷くとガヴリールとサターニャは頭を抱えた。なんなのだろうか一体。

 

「······今月に来光祭があるのは知ってるよな?」

 

「?はい。」

 

「うちのクラスは演劇をやる事になったのよ······」

 

「······それで?」

 

「······歩主役なんだよ」

 

「······ゑ?」

 

超間抜けた声が出た。

 

「嘘でしょう?愚かな一般人から言い掛かりを付けられて恐れられているお兄様が?」

 

「お前意外と容赦ないな······まあ、劇が劇だからな、クラス全員の他薦で決まった」

 

「······因みに何を?」

 

「······巌窟王よ、あれは序盤主人公酷い目に合うでしょ?つまりそういう事よ」

 

「まあ、あいつノリノリだったけどな······この前とあるソシャゲでイベントあったから······かなりテンション上がってたし······それに所詮本気で殴ったら痛いのはあいつじゃねえし······あまり意味が無いような気はする······あ、でも主人公を罵るシーンとか殆どの人間がノリノリだったがな。ホント人間ってのは······」

 

「主人公を貶める人間の役が男子に一番人気だったわね······あの時ほど人間を殺してやりたいと思ったことは無いわ」

 

「ちょっとお兄様のクラスの屑を殺してやりたいのですが······」

 

「いや······本気で劇をやってるんだって言われて逃れられるのがオチだ······」

 

「······で、その主役が行方不明なのよ······今日は凄かったわ、色んな意味で。」

 

「·····主役がいなくて全く進まない、しかも本番まで後1週間ちょっとなのに。でもなんか嬉しい。そんな感じだったな······特に男子。」

 

「待ってください、お兄様そんなに嫌われているのですか!?」

 

色々と衝撃な話を聞かされて銀夜は頭がオーバーヒートしそうだった。

 

「最初はただの恐怖って感じだったのに何でかしらね?」

 

「······さあ?」

 

「ま、それはそれとして心配なんだよ、単純に、な。」

 

────閑話休題《それはともかく》────

 

「······で、お兄様は見つかったのでしょうか?」

 

「いいや······」

 

「代役立ててやってはいたけど暇でこっそり抜け出してかれこれ六時間······全く見つからなかったわ」

 

「······んー······手詰まりですね······」

 

「······歩くしかないでしょ?もう。」

 

「「ですよねー······」」

 

「······まあ、そうなるわよね······」

 

三人とも疲れ果てて半分諦めかけていた。

 

「本当に······どこへ行ったのでしょうか······」

 

「······取り敢えずヴィーネ達も探してるだろうから合流しよう」

 

「「異議なし」」

 

その後、ヴィネットとラフィエルと合流した彼女達は再び池袋の街を練り歩く事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────午後11時──────

 

「んー······死んだかな?」

 

「そういや歩。お前ケータイさっきからなってるけどいいのか?」

 

「んー······いいんじゃないっすかね?」

 

「お前なぁ······」

 

「ま、それはともかく······よお、園原。無事?」

 

「あ······え、えっと······」

 

どうやら混乱しているようだ。まあ、無理もない。

 

「あー······日本刀と言うにはちょっと短いが、素人がパニックの中見たんなら間違えてもおかしくねえかもな」

 

斬り裂き魔が持っていたのは刃渡り30cmはあるであろうでかい包丁だった。

 

それを取り上げようとして門田は斬り裂き魔に近づく。

 

その瞬間、男の眼が勢いよく開き、ゆっくりと立ち上がった。

 

「······!?」

 

「おいおい······嘘だろ······?」

 

先程、車で撥ねたせいで腕が変な方向にねじ曲がっているにも関わらず、その腕で包丁を構える。

 

「······あら、叶歩じゃない······会いたかったわ」

 

「うわぁ······」

 

刀が女性人格なせいでカマ男の誕生である。

 

「······はぁ······まあいいや、とっとと包丁下ろして回れ右して帰れよ。今なら許してやるからよ。」

 

「フフフフ······そうはいかないわよ?」

 

「その程度の包丁で俺が傷つけられると思ってるのか?······できても薄皮1枚剥がれる程度だぜ?」

 

「それでいいのよ、貴方と私が愛し合うのは、薄皮1枚で十分なのよ······!!」

 

「······あー······そういうこと?」

 

そう考えている間に男は居合の構えをとる。

 

そして、男は攻撃態勢に────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRR!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その嘶きが聞こえた瞬間、斬り裂き魔は突然現れたバイクに踏み潰された。

 

「く、首無しライダー······と、······静雄!?」

 

 

 

────三十分前、池袋の某公園────

 

「妖刀?」

 

『信じられないかもしれないけど······心を持った刀が人を乗っ取ってるっていうか······』

 

臨也から話を聞いた後、セルティは一度帰宅し、新羅に報告。その後マンションを飛び出して約束通り迎えに行ったのだが、静雄に協力を求めるからにはきちんと説明しておく必要があった。『妖刀』の二文字を出した瞬間、殴られるのではないかと内心ビクビクしていたのだが。

 

────いきなりこんな話をして信じる奴が────

 

「よし解った。行こうぜ」

 

────────!?

 

『······信じたのか?私だって、まだ完全には信じられないのに』

 

驚いてセルティが尋ねると、静雄は首を傾げながら言葉を紡ぐ。

 

「······その妖刀ってのは、首無しライダーが東急ハンズの壁をバイクで走るのよりも珍しいってのか?」

 

『······ゴメン、私が悪かった······』

 

別に非は無いのだが思わず謝ってしまうセルティ。

 

その時点で静雄は既にバイクの後部にまたがってセルティを待っていた。

 

「まあ、刀なら折りゃ殺せるだろ。死ななくても殺すけどな!!」

 

昼間、数少ない親友のセルティが首を切られた(首はないが)のを知り、今迄溜めに溜まった『殺意』が煮詰められているようだった。

 

そして、そのまま池袋を散策していた所、セルティが車の衝突音を感知して────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今に至る、と?」

 

『まあ、そんな感じだ。』

 

「静雄······あなたが、平和島静雄なのね?本当にあなたが······そうなのかしら?······会ってみたかったのよ、とってもとってもとってもとってもとってもとってもとってもとってもとってもとってもとっても······ね······ウフ」

 

外見は男だが、完全に女口調で愛を呟く斬り裂き魔。違和感しかない。

 

しかし、それよりも違和感を覚えたのは、車とバイク、それぞれに撥ねられているにも関わらず、一切のダメージを感じさせない、という点だ。

 

(まさか、歩君までとは言わないが、相当の耐久を持っているんじゃないか?)

 

と、セルティが考えている間に、名前を問われた静雄はそのまま静かに言葉を返す。

 

「わかった、殺す。」

「嬉しいわ······とうとう会えたのね、私の愛する人達」

「嬉しいか、じゃあ殺す」

 

((······話、かみ合ってねえよ))

 

「愛してるわ、平和島────静雄、────叶歩」

 

そう言って居合の構えを取りながら徐々に躙り寄る。

 

「────俺は、真剣白刃取りなんざできねえ」

 

そして、静雄はこめかみに血管を浮かべ、()()()()()言葉を紡ぐ。

 

セルティと歩に至っては、その笑顔を見た瞬間、目的が『斬り裂き魔をぶちのめす』から『どうやって人死が出ないようにするか』に変化していた。

 

バイクで踏み潰しても、車に撥ねられても平然と立ちあがるタフネスは評価できる。だが、それを差し引いても斬り裂き魔が静雄に勝てるビジョンを、二人は浮かべることが出来なかった。

 

「そんな俺に包丁を振り回すってこたあ······殺されても文句は言えねえよなあ······」

 

そして、静雄は横に止めてあったバンに手を伸ばす。

 

斬り裂き魔は静雄が何をしようとしているのかわからなかったが、歪んだ自信に満ちた目つきで口を開いた。

 

「何をしても無駄よ。私の剣が避けられるとでも思ってるの?さっき叶歩にも言っておいたのだけど────薄皮1枚。かすり傷。貴方達と私が愛し合うのに、ほんの1ミリのかすり傷でもOKなのよ?」

 

「そうか!よくわからないけど、きっと切っ先に毒でも塗ってあるっすよ!一滴でドラゴンもお陀仏ってぐらい凄い毒を!」

 

「もしくはあれね。傷口さえ作ればそこに寄生虫とか花の種を植え付けてジワジワとオダブツってわけね!」

 

遊馬崎と狩沢がマニアの発想丸出しの事を告げるが、反応するものは誰もいない。

 

ただ、斬り裂き魔だけが意味ありげな笑いを浮かべ、歩は納得したような表情を浮かべた。

 

どうやら、当たらずとも遠からず、といったところのようだ。

 

つまり、ある程度の傷を覚悟しての『肉を切らせて骨を絶つ』方式は使えないということになる。

 

静雄が一番得意な戦法が封じられたと解り、セルティの心が僅かに揺らぐ。

 

しかし、それは杞憂に終わることになった。

 

「門田ぁ······ドア」

「?ドア?」

 

()()()()()()()

 

門田が返事をする前に、静雄はバンの後部側面にある開きかけのドアに手をかけ────

 

 

ベリッ!!

 

 

まるでチケットの半券をもぎ取るように、ドアを()()()()()()

 

 

 

 

 

────────────『は?』────────────

 

この場に居た、全ての存在の感想が揃った。

 

門田や遊馬崎達も。

セルティも。

杏里も。

歩も。

 

────そして、斬り裂き魔すらも。

 

片手で、文字通り『腕力』だけで車のドアを引き剥がしたのだ。

 

そして引き剥がしたドアを掴み、自分の身体を守るように前に持ってくる。

 

これで、斬り裂き魔の刃は届かない。

 

「あ······」

 

「俺は理不尽に生きてるからな······素手で闘うほどお人好しじゃあ······ねえっ!!!!!!!」

 

そして、静雄はドアを構えたまま斬り裂き魔に突っ込む。

 

斬り裂き魔は避けようとするが、あまりにも遅すぎた。

 

なす術なく、斬り裂き魔に静雄の体当たりが直撃する。

 

(······っ!?車よりも······重いっ!!!?)

 

その事実に気付いた時には既に遅く、そのままわずかに上を向いた盾に乗り上げた身体は勢いよく力の奔流によって運ばれ────

 

「······ご愁傷様、斬り裂き魔。ほんの少しだけアンタに同情するよ。」

 

斬り裂き魔は抵抗する暇もなく道の塀と盾の間に挟み潰された。盾越しに静雄の本気の拳のおまけ付きで。

 

 

 

 

「────これ、ドアの修理費はどこに請求すればいいんだ?」

 

渡草の悲痛な声でようやく我に返りはじめた。

 

「さて······これからこいつどうするよ?」

 

静雄はそう言いながら、塀に押し付けていたドアをゆっくりと引き剥がした。

 

その裏から、身体が半分にめり込んだ男の姿が見え、そのまま地面に崩れ落ちた。

 

「······死んでないよな······あれ······」

 

『死んでない······と信じたいな。とりあえずこいつが妖刀に操られただけなのか、それとも単なる斬り裂き魔なのかを判断しなきゃいけないから······武器を奪って目覚めるまでどっかに縛り上げないと』

 

「あ、多分操られてるだけだぜこいつ。」

 

『────え?』

 

「いや、この人前に池袋最強を道行く人に尋ねてた三流ルポライターだよ」

 

そう歩に指摘され顔を覗いてみる。なるほど、確かにあのオッサンだ。

 

その瞬間、男の目がカッと開き、赤く澱んだ眼球が顕になる。

 

「は!?まだ立つの!?」

 

まさか静雄の一撃(?)をくらって立ち上がるとは思っていなかったのか、歩が驚いた声を上げる。セルティも喋ることが出来たならほとんど同じ言葉を出していただろう。

 

「······甘く見てたわ······で、デタラメな奴ってのは聞いてたけど······!!······ならせめて!!()()()()()()()()!()!()

 

そう言って立ち上がり、斬り裂き魔は杏里の方へ突貫した。

 

「······え?」

 

まさかこちらに来るとは思っていなかったのか、呆然と立ち尽くす杏里。

 

そのまま斬り裂き魔の凶刃が杏里の胸に────

 

 

 

スパァン!!

 

 

届くよりも速く、歩の持っていた棒状の何かが入った袋の一撃により包丁が叩き落とされた。

 

「ガッ!?」

 

その瞬間を逃さずにセルティが影で男を拘束する。

 

そしてそのまま背中に乗り────

 

ボグッ

 

肩を外した。今度こそ、意識を失ったのかそのまま起き上がることは無かった。

 

「······なんかよ、完全にはすっきりしないんだよななんでだ?」

 

セルティが妖刀を回収している最中、突如静雄が呟く。

 

「······ああ!くそ!すっきりしねえ!!······ちょっと新宿行って臨也の奴をぶっとばしてくる。」

 

「あ、じゃあ俺も行きますわ。さっき門田さんにコンビニに寄ってもらった時に買った新発売の『タルタルソースコーヒー』がくそ不味かったんでおしつ······ゲフンゲフン実にエキセントリックな味だったから差し入れに行こうかと。」

 

そして、二人の男が池袋の街へ消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────オマケ、叶歩の皆の評価 男子生徒編────

 

男子生徒A「俺さぁ······天真さんが好きだったんですよ······こんな俺にも天使の様な笑顔で話しかけてきてくれて······でもあいつが関わってから······ああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

男子生徒B「あいつこの前······白羽さんに胸を乗っけてもらってたんですよ······頭に······何であいつばかり······クソがあああああああ!!」

 

男子生徒C「胡桃沢さんに膝枕されてたあいつは死ねばいいと思います。ハイ。」

 

男子生徒D「ヴィネットさんと手を繋いで池袋の街を歩いているのを見かけた時に······こう、殺意が湧きました······」

 

 

 





疲れた(白目)

ちなみに最後の方に書いてあったオマケのほうのエピソードは番外編としていつか書きます。多分。
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