Steins;Gate/輪廻転生のカオティック   作:ながとし

19 / 21
諜報のイミテーション

 バーベキューをした翌日。岡部倫太郎に協力してもらって円卓会議を開くことにした。

 もちろん紅莉栖本人は参加させない。劇場版の通りならば今頃コインランドリーにでもいるのだろう。

 昨日覚悟を決めてくれたはずなのにまだ岡部倫太郎は苦情を言っている。

 

「瀧原、本当にまゆりとダルに相談するのか? 正直気が進まないんだが」

 

「ここまで来てなに言ってるんですか、もう2人とも来てるじゃないですか、行きますよ」

 

 開発室から岡部倫太郎を引っ張り出す。

 注目を浴びたことでようやく観念したのか岡部倫太郎は話を始めた。

 

「これより、円卓会議を始める。来てもらったのは、ほかでもない紅莉栖に関係することだ」

 

「紅莉栖ちゃんに?」

 

「う、うむ。で……あの、その、えっとだな」

 

 早速怖気づいてしまったようだ。

 岡部倫太郎は恋愛関係の事はある条件下を除き、頼りなくなってしまうのは、知っていたから予想は出来ていたが、はぁ。

 

「岡部おじちゃんは紅莉栖おねーちゃんが好きなんだって」

 

 出来るだけ無邪気にと心の中で唱え岡部倫太郎の言葉にかぶせるように言った。

 

「なっ、瀧原、お前!」

 

「どうしても付き合いたいから会議を開いたんだって言ってた」

 

「それなんてエロゲ?」

 

「まゆしぃも紅莉栖ちゃんとオカリンはお似合いだと思っていたのです」

 

「てかさ、なんで僕らに相談したわけ? 選択肢ぐらい自分で考えるべき。攻略サイトは甘えだお」

 

 ぶっきらぼうに橋田至が言うが無理もない。

 橋田至からしたらリア充爆発しろとでも言いたいようなことだろうし、これでも優しい方だろう。

 

「そこを何とか頼むダルよ、この作戦には貴様の助力が必要不可欠なのだ」

 

「そうだよーダル君、恋を邪魔する人は馬に掘られて死ぬんだよー」

 

「アッー、それだけは勘弁だお」

 

 ……もしかしてまゆりは狙って言っているのか? 原作での”しょたいんざげーと”発言に続き今度はこれだ。

 子供となった俺からすると背筋に寒いものを感じざるを得ない。

 当の本人はかわいく頬を膨らませているのだが。

 

「で、僕は何をすればいいん?」

 

「それは、未来ガジェット11号機『バーローのアレ、その2』を作ってもらいたいのだ!」

 

「バーローっていうのは、体はこどものひとのことかなー?」

 

「意味分からん」

 

 変な抑揚をつけて橋田至はそう言った。

 

「説明しよう! バーローのアレ、その2とは、ある少年探偵が使用しているピンバッジ型無線機だッ」

 

「なっ、なんだってーって、あんなん作れるわけないだろ常考。もし作れたとしても性能はお察しで、すぐに電池切れになるのは目に見えてるお。それにタイーホされるお」

 

「タイーホ?」

 

「あれ、オカリン電波法知らないん? たしか、懲役一年とか罰金百万以下だったような……ほら」

 

 キーボードをたたく音の後、総務省の電波法に関するページを表示されたようだ。

 橋田至は呆れたような顔を見せて、ディスプレイの前から体をどけた。

 

「……そこを何とかできないか?」

 

「僕に法律を変えろと? んな無茶な。まぁ、そこらへんに転がってる携帯電話で回線契約してイヤホンに音声を届けるくらいならできると思うけど」

 

「流石、マイフェイバリットライトアーム、その線で頼む」

 

「てか、そもそも何に使うん? 牧瀬氏攻略には何の関連もないと思われ」

 

「フッ、ダルよそんなこともわからないのか」

 

 無駄に中二病を発動させて頭に手を当てる岡部倫太郎。

 

「このラボの長である俺が行くのだ、ラボメンたちのバックアップを常時受け、いかなる異常事態にも対応できるようにするために決まっているだろう」

 

「つまり、牧瀬氏とのデートが不安だから僕たちに助けて欲しいというわけですね、分かります」

 

「うるさい! 助手にどぎまぎするマッドサイエンティストがどこにいるというのだ!」

 

「オカリン、素直じゃないねー」

 

 こうして橋田至、椎名まゆり両名からの支援が受けられることとなったのだが、本当にこれでよかったのだろうか? そう今更ながら考えてしまう。

 

 椎名まゆりも少なからず岡部倫太郎に好意を持っているのだ。

 幼馴染で、イケメンで、優しくて、ずっと寄り添ってくれた岡部倫太郎の事が嫌いなはずがないのだ。

 

 万が一、岡部倫太郎の事が諦めきれなくて紅莉栖との間に入っていったらどうなるだろうか。それは正しく修羅場だ。少なくとも楽しい思い出とはならないだろう。

 それを防ぐ意味でもまゆりには会議に参加してもらったのだ。岡部倫太郎と紅莉栖をくっつける作戦に参加しておいて後から、やっぱり駄目だとは言いづらいだろうから。

 

 本当はこんなまどろっこしいことはせずに過去に行って『だーりんのばかぁ』を作ればいいのだが、他世界線にて作られた未来ガジェットを作ると世界線が変動してしまうのではという考えがその方法を否定したのだ。

 

 タイムリープでは世界線は変わらないと原作では言われていたが、岡部倫太郎の話では紅莉栖と鈴羽がタイムリープしたことで世界線が変動したと聞いたのも大きな要因だ。

 何か条件があるのかもしれないが、SG世界線に来た以上、変動する確率が高いことはできない。

 

 

『バーローのアレ、その2』の製作を頼んでから一日が経った。

 出来るだけ早くと頼んだおかげで、見た目はともかく実用出来るまでに完成したらしい。

 コードが見えていたり絶縁のためかビニールテープも見える。不安だが橋田至が作ったものだ。問題はないだろう。

 

「ほい、これを耳につけて、白衣のポケットに本体を入れれば誰も電話してるなんて気づかないお」

 

「おお! 素晴らしい出来じゃないかダルよ。未完成な感じが実にたまらんな」

 

「オカリン、そろそろ行かないと間に合わないんじゃないかなー」

 

「ああ、分かっている。では……頼んだ」

 

 紅莉栖と出かける約束は昨日の会議の後に取り付けていたらしい。

 それにしてもデートだっていうのに白衣で行くとか正直ひどいと思う。まさか、紅莉栖にはデートだっていうことを伝えずにただ出かけるだけだとか言ってないだろうな?

 そんなことを思いながら俺たちは『バーローのアレ、その2』から送られてくる音声を聞くために携帯電話のスピーカー機能をオンにした。

 




-追記-

誤字報告ありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。