鬼道衆最強、のんびり鬼道長さん   作:もちふじ

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急にハッ、と思いついて書き出した小説です。正直な話、続くかどうかも分かりません。
それでもいいよ、という方はどうぞ見てやってください。
作者は漫画を持っていませんので、色々設定などに間違いや矛盾があるかもしれません。そんなときは、こっそりと教えて頂けると幸いです。
それでは。


鬼道長の彼

──鬼道衆大鬼道長、『九 花厳(いちじく かざり)

歴代最強とまで言われる鬼道の使い手であり、死神ながら斬魄刀を所有していない異端児。

 

曰く、鬼道のみで卍解時の隊長格と渡り合える程の実力者。

曰く、彼の歩いた道には屍しか残らない。

・・・・・・これは流石に冗談だろう。冗談だと思う。冗談だよね?

 

ともかく、本日づけで噂の鬼道長の部下、鬼道衆に配属される身としては、そんな冗談みたいな噂すら恐ろしく感じた。

緊張でガッチガチになりながら部屋に入ったところ、どうやら彼は散歩に出ているらしく。借りてきた猫よろしく、ビクビクと震えながら。入れてもらった緑茶を啜り、しっかり舌を火傷して。

もうどうにでもなれと、これから先輩になるだろう女性隊員に話しかけた。

 

 

以下はそんなモブ子が手に入れた、九 花厳という青年の情報である。

 

「──鬼道長について教えて欲しい?」

 

優しげな女性隊員は悩む。

 

「うーん、なんか妖精みたいな人かなあ。・・・あっ、いやいやこれは馬鹿にしてたり、ふざけて言ってる訳じゃないんだよ。なんか常に三センチくらい浮いてる感じっていうか・・・浮世離れしてるっていうのかな」

 

大柄な男性隊員は言う。

 

「優しい人だよ。まあ、ちょっと変わってるところはあるけど・・・。鬼道の教え方も上手だし、俺が鬼道衆に居れるのもほとんどあの人のお蔭だしね」

 

目つきの悪い古参の隊員は語る。

 

「べっつに、そんなにビビんなくたって化け物じゃあるまいし。ふつーの人よ。ふつーの近所のお兄さんって感じ。和菓子と散歩と、あと昼寝が好きね。・・・ああそれから、『鬼道長』じゃなくて名前で呼んであげるといいわ。その方が喜ぶから」

 

 

 

「実際、私もここに来る時までは結構怖い人かと思ってたんだけどね」

「会ってみれば、ただの間抜けな人だよなぁ」

「この前なんて寝惚けて歩いて、すっ転んでたわよ。ほんと困っちゃう」

 

 

そんなふうに茶菓子を摘みつつ、話し合っている時。モブ子が、もしや彼はそこまで怖い人ではないのかもしれないと思った時。

ガチャリと扉が開いた。

 

「何でしょう、みんなでぼくの悪口大会でもやってるんで?」

 

黒い着物姿の青年が部屋に入ってきた。

色白な肌に藍色の髪。金色の双眸は眠たげな半眼で、だらしなく肩に掛けられた藍染の羽織。

・・・なんだろう、本当に近所のお兄さんという感じだ。

まさか、これが鬼道長ではあるまい。あまりにものんびりしすぎだ。強者特有のオーラというものがまるでない。

 

「あ、花厳さん。おかえりなさい」

「そこに置いてあるおはぎ、美味しかったから食べてどうぞ。お茶入れます?」

「花厳さん、アタシの髪ゴム知らない?昨日からないのよねえ」

 

鬼道長の名前は『花厳』だった気がするが、人違いだろう。きっとそうだ。いくらなんでもこれはない。

青年は餡子のおはぎをもそもそと頬張りながら、視線をモブ子へと向けた。

 

「そんで、そちらさんは?」

「ほら、新しくここに来るっていう新入りさんですよ」

「あー。そんな話もあったような、なかったような」

 

彼はうんうん、と適当に頷いてお茶を啜った。「あっつ」と自分と同じように舌を火傷させて皆から心配されている。モブ子も同じことをやらかしたとはいえ、客観的に見るとかなり間抜けだ。これはいよいよ人違いであろう。

一息ついてから、青年はのんびりと緩慢な動きで手を差し出し、へにゃりと笑う。

 

「ぼかぁ、九 花厳(いちじく かざり)ってぇいいますわ。一応は鬼道長って役職についてるんで・・・ま、仲良くしてくださいや」

 

反射的に彼の手を握って、握手する。

 

 

──どうやら、このフワフワしたのが噂の当代鬼道長らしい。

 

・・・・・・嘘だろ、世も末だなおい。

 

 

 




モブ子は名前通りモブキャラなので、続くとしても出てきません。多分。
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