「あれー、オラさっきまで飯食ってたはずだったけんど。」
(それに飯食ってるときにはもう日も暮れて暗かったのにまた明るくなってるし。あの三人はどこ行っちまったんだ?)
そう思いながら悟空は三人の気を探し始める。
(そういやオラあの三人の名前知らねぇな。)
今になって思うその疑問も三人を見つければ解決する話だ。悟空はさらに三人の気を探す。もっと探す。ひたすら探す。
「あいつらの気、小さすぎてわかんねぇ!!」
思わず本音が漏れる。「気の大きさ=強さ」ではないのは悟空にもわかっているが少なくともあの三人に関してはそのイコール関係が成り立つことは悟空でなくてもわかることだ。
「しょうがねえなぁ」
そう言いながら悟空は舞空術ですぐ隣の建物の屋上まで飛んだ。
「へぇ〜、改めて見ると結構建物いっぱいあるんだな。」
さっきは会話をしていてあまり真面目にこの世界を見ていなかったが改めて見るとやはりそこは悟空の知る世界とは異なる、どこか中世を匂わす建物が並んでいる。
グゥ---
「腹減ったなぁ、さっき満腹まではいかねぇでも結構食ったはずなんだけどなぁ」
悟空からはすでになぜ元の場所にいたか、なぜこの短時間に太陽が昇ったか、などの疑問は完全に抜け落ちていた。
どうしたもんかと屋根伝いに歩いていると何か聞こえたような気がした。
「ちょっとどいてぇーーーーー!!」
「いぃーっ!?」
脳裏にかすかに残る疑問と空腹のせいによる緊張の緩みにより悟空は空から降ってくる『何か』を避けることができず見事顔面でキャッチする。
「おいちちちちち、おー、いちーっ!」
「あー、ごめんね。まさか屋根に人がいるなんて思ってなくてね。」
「でーじょーぶだ。オラの体はステンレスのように鍛えてんだ!」
悟空は「ステンレスってどんぐらいの硬さだ?」と疑問に思いつつムクリと立ち上がる
「そうかそうか。ステンレスってのはよく分かんねーが元気なちびっ子だな!」
その『何か』...もとい、金髪の少女はうんうんと頷きながら悟空の頭にポンと手を乗せる。やはりその状況に不満があるのか悟空は頭に置かれた手を払いのけ声を張り上げる。
「そうゆうおめぇこそちびっ子じゃねーか!!」
「ムカッ!何だとちびっ子!少なくともお前よりは大人だぞ!それにあたしは14だぞ!ほれ、年言ってみ!」
「そんなことゆーならオラはこう見えて50超えてんだぞ!それに今はこう見えてほんとは身長だって175あるんだかんな!!」
金髪の少女は50という数字に一瞬肩を強張らせたが175という数字を聞きやれやれと言ったジェスチャーをとる。
その態度にムッときた悟空は「じゃあちょっと待ってろ」と言い力を込める。
「ハァァァァァァァーーーー「あっ!いけね!あたし急いでるんだった。」ーーーッなにぃっ!?お、おい!」
金髪の少女は「じゃっ!」と言い右手を上げると瞬く間に見えなくなってしまった。
「何だったんだ、あいつ。それにしてもはえーなぁ。」
ようやく平静さを取り戻した悟空は年齢の証明のためとはいえ、超サイヤ人4になろうとした自分の大人気なさを反省するのであった。
ーーーーーーーー
日が暮れ始めあたりが暗闇に包まれ、あたりの街灯の光が目立ち始めた頃、悟空は屋根から降り食べ物を探し彷徨っていた。
「くそー、さすがに簡単に飯食えるとは思ってなかったけんど、なんて子供に優しくねぇ町だ。」
さっきまで50歳超えだと叫んでいた人物の言葉とは思えないセリフだ。
さすがの悟空も空腹には耐えられず道の隅に腰を下ろす。
グウゥォオォオオオ---グググォオウゥォォオ-----
あまりの音に近くにいた人は何事かとあたりをキョロキョロするがさすがに空腹時に出るそれとは思うことはなく大事をとりそそくさとその場を離れていく。
悟空は地面に突っ伏し「あぁ、オラここで死んじまうんだろうか?」などと思い、そういえばこの時間は昨日...と呼べるか不明だがたらふくご飯を食べていた時間だ。悟空はこの状況でようやくあの不可解な現象のことを疑問に思ったが時すでに遅し、悟空にはもう思考を働かせる体力すら残っていなかったのだ。
「僕、大丈夫?」
悟空の瞼が今にも閉じそうになったときどこからか声が聞こえる。優しい声、とても優しい声が聞こえた。
「お腹空いてるの?これ、貰い物のリンガだけどよかったら...」
悟空はその少女が言葉を言い終える前にリンゴのような果物に飛びつく。あっという間にかなりの数あった果物をペロリと食べ終え、その少女、銀色の長い髪に紫紺の瞳の少女なら方を向く。
「いやー、助かったぞ。おめぇが飯食わせてくれなかったらオラ今頃おっちんでt...」
突然訪れる痛み。そう、数時間前にもあった突然の頭痛。
「ちょっと、大丈夫!?」
「でーじょーぶだ。それよりも飯食わせてくれて...」
悟空は痛みに耐えられず目を閉じ
「...サンキューな」
再び目を開けお礼を言い終えるとそこは元の場所、暗かったはずの空が明るくなっていた。
ーーーーーーーー
さすがの悟空もこれには疑問を隠すことができずすぐさま舞空術で建物の屋上に飛び上がる。
「これはさすがにどうなってんだ?う〜んでもなぁ〜。」
ああだこうだ考えていると毎度のことながら訪れる虫。
グゥ----
腹の虫である。さすがの悟空も「このままだとさっきの二の舞だなぁ。」と思い何かないか道着をゴソゴソと探し始める。
すると道着の中にある二つのポッチを見つける。もちろん◯首でも乳◯でもない。帯から二つのポッチを取り出し、さらにその奥に道着が重なり気づかなかった三つ目のポッチを取り出す。
そう、みなさんお馴染み...
「仙豆じゃねぇか!神龍がオマケでつけてくれたのかもしんねぇな!!今はそんなことどうでもいいや!」
そう言いながら悟空は一粒の仙豆を食べた。仙豆は一粒で10日は飲まず食わずでもよくなる素晴らしい豆だがしかし流石の仙豆もサイヤ人の底なし腹を10日も満たすことはできないが、今の悟空にとってこれほどありがたいものはない。
残りの仙豆を大切に保管すると悟空はこの短期間に起こった二つの疑問について再び頭を働かせる。
普段から修行ばかりであまり考えることをしない悟空にとってこの状況は苦痛としか言いようがない。しかし考えなければどうしようもないことも事実であった。
「そういやこの時間はあっちで金髪のちびっ子にあったな。」
また会えるとは思っていなかったが考えてもしょうがないので昨日と同じルートを歩くことにした。
歩きながらこの状況について考えてはいたがいつしか頭の中は食べ物のことでいっぱいになっていた。いけない、と思い普段使わぬ頭を再び働かせ始める。
「ん?この気は...。」
「ちょっとどいてぇーーーーー!!」
「やっぱそうだ!この気はあのちびっ子の気だ!」
ヒョイっと金髪の少女のゴ◯ゴ◯のスタンプを躱す。
「おー、あぶなっ!僕、大丈夫か?」
そんな少女の問いに悟空は全く興味を示さずにテンションだけが上がる。
話が通じないと分かると少女はすぐにその場を立ち去ろうとした。しかしそれはできなかった。右手にかかるとてつもない力。少女からすると全く知らない少年に少年とは思えない力でニコニコしながら掴まれるその状況に困惑の色を隠せない。
「まぁまぁ、そう焦んなよ。また会ったんだしちょっと話そうぜ?」
セリフだけ聞くと完全に女をたぶらかす男のセリフ。しかし何度も言うが今は子供、である。
「はぁ!?何言ってんだ!あたしはお前と会ったことなんてねーよ!初対面だろ!」
その言葉に悟空はパッと手を離す。
「何言ってんだ、おめぇは昨日オラの顔面に蹴りいれたじゃねぇか。 」
「あたしは昨日この街には来てねーよ!」
悟空は困惑した。その間に金髪の少女は走り去って言ったが悟空は止めることはなかった。
(最初はチンピラの三人、次に金髪のちびっ子と銀髪のねーちゃん。そして必ず会ったであろう今あった金髪のちびっ子。でも金髪のちびっ子はオラのことを覚えてなかった。)
悟空は一つの答えを導き出した。いや正確にはこれはまだ確定ではない。この考えを確実にするにはチンピラの三人か銀髪の少女に会わなければならない。
悟空はとりあえず次の行動が決まったので屋根から降り人探しを開始するのだった。
ーーーーーーーー
「そういや銀髪のねーちゃんはリンゴ持ってたな。リンゴ売ってる店探してみっか。」
悟空は近くのおじさんにこの辺りにリンゴを売ってる店はないか尋ねる。おじさんは初め「リンゴ?」と首を傾げていたが子供の滑舌だなぁとか失礼なことを言い「リンガならこの通りをまっすぐ行ったら左手に見えるぞ。あともう一軒あるがこの辺り...って言えるほど近くじゃねーな」と教えてくれた。
悟空はおじさんに礼を言いリンゴもといリンガの店に向かうこと数分確かに見つけた...がもちろんそう簡単に見つかるなら苦労はない。
「なんだ、坊主。なんか欲しいのか?」
店の店主が聞いてくる。
「いや、オラ人を探しててよ。それにオラ金は持ってねぇんだ。」
「そうか、そりゃ大変だな。探し人はどんやつだ?」
「銀髪の長いねーちゃん。おっちゃん知ってっか?」
「いや、すまねえが知らねえな。見つかるといいな。」
「あんがと、おっちゃん。あ、そういやぁそのねーちゃんリンゴ...じゃなくてリンガ持ってたんだよ。もしかしたらこの店も来るかもしんねぇからちょっと待っててもいーか?」
「あぁ、かまわねーよ。そこの裏に階段あるからこれ持って待ってな。」
そう言いながら店の店主はリンガを二つ投げてくれた。
「いいんか?オラ金ねーぞ?」
「気にすんな。今日は店の前で急にぶっ倒れる奴がいてな、そいつにもリンガプレゼントしてんだわ。一個や二個別に大したことはねーよ。」
悟空は店主の言葉に甘えリンガを受け取りお礼を言い、裏の階段に向かう。そしてそのリンガを食べ、やはりこのリンガは銀髪の少女がくれたあのリンガと同じ味がすると確信し、ここで待つことを決めた。
待つと行っても顔を知っているのは自分だけ。しっかり起きて確認しなければと意気込んでいたが今思えばここ最近ろくに睡眠をとっていないと気づくや否や瞬く間に夢の中へ出発進行であった。
ーーーーーーーー
「...ず、.......ぼ...ず」
誰かが呼んでいるような気がする。
「なんだぁ、チチ〜、メシかぁ〜?」
「何言ってんだ坊主!人待ってるのに寝るってどう言うことだ!」
「ハハッ、わりーわりー。最近寝てなくてな。で、どうしたんだ?飯か?」
悟空は頭をぽりぽり掻きながら満面の笑みを浮かべる。
「アホ、お前の探し人らしき人が来たから呼びに来たんだよ。そしたらお前寝てんじゃねーか!」
「だからわりーって。で、その人は?」
「わたしに何かようなの?見た感じまだ幼いようだけど、どうしたの?」
聞き覚えのある優しい声、その声の方へ向くと確かにいた。そして間髪入れず問う。
「おめぇ、オラのこと知ってっか?」
その問いにまず反応したのは店主の方だ。
「なんだ坊主。このねーちゃんと知り合いだったんじゃねーのか?」
そして
「いいえ、申し訳ないけれどわたしはあなたのことを知らないわ。わたしのことを探していたようだけどごめんなさい。」
申し訳なさそうな顔をする少女とは裏腹に悟空は一つの確信をえた。ない頭をフルに回転させ点と点が繋がる。
ーー時間が戻っているーー
それが悟空の頭で考えつく最高の答えであった。
フェルトとエミリアが登場しました。こんな喋り方だったろうかと疑問に思いつつもこれで良いかと納得してしまう自分が憎い!!
あと普通に話が進むと確実に大好きな超サイヤ人4が出て来る展開がないと判断し無理やり話に組み込もうと考えた結果があれです。後悔はしてない!!
それではここまで読んでいただきありがとうございました。