ラブライブ!〜onlydesire truth〜   作:ハイネ1021

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悪魔の想い

「ん、うぅ……、ここは…!?」

 

見慣れない場所だ。俺は確か、UTXと交戦していてそこからの記憶がない。しかし薄暗い広々とした空間からコクピットの中ではないことは把握できる。どうやら戦闘中に気を失い何者かにここまで連れてこられたらしい。

 

一人で状況を整理していると、空間一帯にパッと照明が点灯した。そしてひとりの女性が俺の目の前に立っていた。

 

「あら目が覚めたかしら。」

 

「誰だアンタは。」

 

「わたしはUTXの綺羅ツバサ。

雪穂の回収する時近くにいたからついでにあなたの機体共々回収させてもらったわ。」

 

「UTX…なるほどな。

つまりここは敵地のど真ん中ってことかよ。

んで俺をどうする気なんです?」

 

「あら、別にどうもしないわ。」

 

「なんだよそれ。

ここは尋問とかするのが普通だろ?」

 

「あら、そんなものには興味はないわ。

ただ純粋にあなたとお話がしたいと思っただけよ。」

 

「ふん!誰が好きこのんで敵となんかと口を開くかよ!」

 

「ふふっ。つれないわね。

ここで会ったのもなにかの縁よ。

高崎翔の入れ替わり君♪」

 

「誰が高崎の入れ替わりだ!

それにあんたとの縁なんてゴメンだね!」

 

「あら、代替え品の間違いだったかしら。

彼のレプリカにすら勝てなかったのに。」

 

段々と思い出してきた。俺は黒騎士と名乗るパイロットにボロクソにやられたのだ。

 

「レプリカ…ってまさか黒騎士がそうだって言うのか?!」

 

「ええ。

私も最近になって知ったの。

おかげですっかり彼らの策にはまってしまったわ。」

 

「というか何なんだよあいつは!お前らの味方なんじゃないのかよ?!」

 

「あなたのその瞳……、私好みね。」

 

「は…はぁ?!

アンタ人の話聞いてt…」

 

「可哀想な子ね。あなたは才能も信念も持ち合わせているのに、それを十分に引き出せていない。」

 

ツバサはレンの話を遮り話した。

 

「この先女神に仕えていても、あなたは惨めで可哀想なままね。」

 

この人の眼差しは冷たい。

けど俺の心中を鷲掴みし、そのまま引き寄せていくようなオーラを感じる。

今までに感じたない、そこに魅せられていく。

 

「何が言いたいんだよ…アンタ。」

 

目の前の女性に圧倒されながらも、口を開いてでた言葉がそれだった。

 

「ねぇ。女神がダメなら、悪魔に魂売ってみる気はない?」

 

「…あんたが悪魔だっていうのかよ。」

 

「 まぁあなた視点で言うならそうね。私は王様くらいがいいと思っているのだけれど。」

 

「……。」

レンは黙り込む。

 

「強くなりたい、すべて守れるくらいに。」

 

「…!?」

 

「図星ね?」

 

「…ああ、そうさ。もうこんな馬鹿げた戦争を終わらせてやる。俺の力で」

 

「終わらせて、その先はどうするの?」

 

「それは……。」

 

「よくいるのよねー。家族が昔戦争で不幸に遭ったからそんな世の中には二度としたくないーっての。」

 

「悪いかよ…。」

 

「良くはないわね。過去に囚われてて、だから惨めで可哀想っていうのよ。」

 

「あんたなんかに同情されるほど惨めじゃない」

 

「亡くなった家族が戻ってくるわけでもないのに、よくやるわね。」

 

「ほっとけよ、他人に口出しなんかされたくないね。」

 

「そ。でもあなたの望み、叶えられなくもないわ。例えば…、あなたの家族は生き返らせることだってね。」

 

俺のことをからかっているような口ぶりで彼女は言った。

 

「は?!そんなの無理に決まって……」

 

「モーメントリング。

それとμ’sの魂、9つのμ’sコアを集めれば

この世の全てが手に入る。時間さえもね。つまり、過去さえも変えてあなたが失ったものも取り戻せるわ。」

 

「本当に…そんなことができるっていうのかよ…!」

 

「ええ。私たちはそのための組織。

この世界の変革こそが私達の存在意義よ。」

 

「つまり利害が一致しているから協力しろって、あんたはそう言いたいのかよ。」

 

「あら、そんなこと一言も言ってないわ。

でもそうね。あなたがもし協力してくれるなら……、私の悲願が叶う日は近いわね。」

 

「アンタは…世界を変えてどうするつもりなんだ?」

 

「人類の救済、過去の改変、なんだって叶えられる。モーメントリングがあれば世界は変えられる。それで理想の世界は完成される。」

 

「アンタそれ本気で言っているのか?」

 

「あら、冗談でこんなこと言えるかしら。

誰かが変えない限り不幸な人間が増えるだけだわ。だから私が変えてみせる。それがこの指輪を受け取った者の使命であり、私の望みでもある。」

 

「あなたの想いもそこに帰結するのでしょう?」

 

「それは……。」

 

「まぁゆっくり考えてごらんなさい。

答えは後で聞かせてもらうから。」

 

そう言ってツバサは部屋を後にした。

 

「ま、全部幻で、夢の中の話なんだけどね。」

 

ーー偽りでも構わないわ。

 

真の世界でも報われない世界であるのなら

 

私がこの世界だけでも

 

変革させる。

 

ーーto be continued


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