マスターふて寝してるってさ(遊んでないとは言っていない)
標高6000メートルの雪山の斜面にある入り口を通り、地下へ進み、様々な面倒くさい認証を得てから入る事が出来る、人理継続保障機関フィニス・カルデア。
人類社会を見守る機関であり、有事の際はあらゆる手を尽くして人理を守り通す。
そして、1年をかけて7つの人理崩壊特異点を定礎復元し、世界を滅ぼそうとした黒幕にトドメを刺した後、更に亜種特異点新宿を証明した英雄は、今もなお、戦っているのだった。
* * *
「あれ、どうしたんですか? 信長さん」
そう声をかけるのは守りの要、超鉄壁サーヴァント(オオガミ主観)マシュ・キリエライト。
話しかけられたのは、つい最近復刻したぐだぐだ本能寺でやってきた魔人アーチャー、織田信長だった。
「あぁ、マシュか。それがの、マスターが部屋から出て来んのじゃ。今日は弓の種火の日じゃから、儂のレベルを上げるには最適じゃろ? じゃから行ってもらいたいのじゃが…」
若干ムスッとした表情で信長は言うが、マシュはそれを聞いて苦笑する。
「昨日、最後のチャンスの為に! と言って、全力で石を探しに行って、しかも結局沖田さんをお迎えできなかったので、それで未だに倒れてるんじゃないでしょうか?」
「むぅ…それなら仕方ない…今日は寝かせてやるかの」
残念そうにした信長と共にマシュが去ろうとした時だった。
「よっし! コンプリートしてやったぜ!!」
「「……………」」
部屋の中から聞こえた声に反応して、二人とも動きを止める。
直後、天の岩戸の如く開かなかった扉は、当然の如く開き、中からマスター――――オオガミが出てくる。
「あ、マシュ! やったよ! エイプリルフールアプリをコンプしたよ!」
「は、はぁ…えっと、先輩? 沖田さんが召喚されなかったことが響いてふて寝してたのでは…?」
「え? あぁ、うん。半日ほど寝て回復したから遊んでたよ」
「あ…そうでしたか…」
喜ぶオオガミに苦笑いしか出来ないマシュ。その原因は後ろにいるわけで――――
「なんじゃ。ふて寝などしておらぬではないか」
当然のごとく、信長には丸聞こえである。
「あ、ノッブ。見て見て。今日限定アプリ、FGOGO、英霊コンプリートしたよ!」
「ほぅ? つまり、あれか? マスターは、儂を放置して別ゲーをしてたと?」
「えっ、あっ、それは、ほら。戦士にも休息は必要不可欠だよ。うん。つまりはそういうことだよ」
「ふむふむ…。では、出てきたということは、休息は終了じゃな? 良し。では、今から種火狩りじゃ。行くぞマスター」
「えっ、えっ、えっ。ちょ、助けてマシューーー!」
オオガミは反論すらさせてもらえず、そのまま連れ去られたのだった。
「先輩…さすがに弁護しきれないです。すいません」
マシュはそう言って、その場を立ち去るのだった。
という事で 、本当に沖田さんが出なかったのでこの話を。ちなみに今日が弓だったことは、ログインしてから知ったのでした。
ちなみに、私の中で、ノッブはメタ発言に普通に応じてくれる設定です。