「あら、こんばんはマスター。初めまして、の方が良いのかしら? あめ、食べる?」
「エウロペさん? え、あめ?」
はいどうぞ。と飴を渡され、困惑するオオガミ。
渡したエウロペはとても楽しそうに微笑むと、
「私は強くないサーヴァントだけど、召喚してくれてありがとうね。おかげでたくさんの子孫達に会えたわ」
「な、なるほど……?」
「えぇ。毎日楽しいわ。戦いではきっと役に立たないけど、甘いあめや美味しいご飯なんかを作って待っているわ。もちろん、求められればタロスとタウロスと一緒に戦うわ」
「あ、うん……その、ありがとうございます?」
「えぇ、えぇ。みんな可愛い子供たちだもの。戦い以外なら頼ってもらって構わないわ」
「……おばあちゃま?」
「あら、貴方もそう呼びたいの? う~ん、いいわよ。本当は違うのでしょうけど、貴方がそう思ってくれるのならそうでもいいわ」
ふふふ。と楽しそうに笑いながら、エウロペはもう一つ飴を渡すと、
「それじゃあ、私は食堂に向かいますね。また後で会いましょう?」
「うん。またねおばあちゃま」
なんだか許されたらしい呼び方を使い、オオガミはエウロペを見送る。
それと入れ替わるようにやってきたエウリュアレは、
「あら、どうかしたの? マスター」
「ん~……エウロペ様をおばあちゃまと読んだらそれでいいって言われてしまった」
「……なぜそう呼ぶことになったのかを聞き出す義務が私にはあると思うのだけど」
「え、いや、飴玉をちょくちょくくれるのが何となくそんな雰囲気があって思わず声に出ちゃっただけなんだけど……」
「まぁ、確かにそんな雰囲気があるのは確かだけど……だからって普通そう呼ぶ?」
「無意識だったんだって。仕方ないでしょ? 分かるならそう言う事だよ」
「むむ……それを言われると確かに何も言えないけど。それで? エウロペ様は?」
「食堂に。行きます?」
言われ、エウリュアレは悩ましそうに唸ると、
「ん~……あんまり鉢合わせたくないわね……アステリオスにも絡んでるみたいだし……おばあちゃんとして接するのはいいのだけどね。複雑な気持ちよ」
「ふぅん? まぁいいけど。で、エウリュアレは何をしに来たの?」
「ん? お菓子でも取りに行こうかと思ったのだけど、エウロペ様と鉢合わせるのだったら仕方ないわね。ちょっと作って来なさい。もちろん見つからないようにね?」
「難問を押し付けてきますね?」
「出来ないの?」
「まさか。マシュ対策に磨き上げた隠密術を見せてあげようじゃないか」
「……また無駄な所で無駄な技術を磨き上げてるのね?」
「有益に決まってるでしょ。これでひっそりと石を拝借できるわけですとも」
「それはそれは。大変素晴らしい技能で! では、その技能を少しだけお見せいただけますか?」
「おっと。これは無理みたいですよエウリュアレ様」
にっこりと微笑む後輩に笑顔を浮かべたまま青い顔をするオオガミ。
エウリュアレはそれを見て楽しそうに笑うと、
「じゃあマスター。後はよろしくね? マシュも、ちゃんと手伝ってあげて?」
「えぇ。しっかり見ておきますね!」
「おぉっと。これは売られたかな?」
そう言って、オオガミはマシュに引きずられ、エウリュアレはそれを見送るのだった。
エウロペ様のおばあちゃま力に震えました。おばあちゃまですね。震えました。思わず様付けしちゃう。圧倒的おばあちゃま。
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ