「ねぇオオガミ。どうして厨房に立ってるの?」
「おせち作るのに人数は必要だしねぇ。お手伝いってところ」
食堂で、エプロンと三角巾を着けてまるで調理実習の学生のようなオオガミに、ため息を吐くメルト。
「それで、いつ終わるの?」
「ん~……一応そろそろ終わり。明日も手伝うけどね」
「そう……じゃあ、待っていようかしら」
「そろそろって言っても、時間かかるよ? 座ってた方がいいと思うけど」
「いいえ? 貴方を見ているから、気にしなくていいわ。どうせすることもないもの」
「なら、いいけど……座りたかったら座ってね? あと、邪魔にならないように」
「分かってるわよ。子供じゃないのだし……むしろ、貴方の方が大丈夫? 年末に何か考えてるんでしょ?」
調理をしていた腕が一瞬止まり、視線を泳がせるオオガミ。
「あぁいや、それは……この時期はみんな忙しいから、出来たらって話になってるんだけど」
「ふぅん……まぁ、それならそれで構わないけど。そのうちやるのは確定なんでしょ?」
「まぁね。とはいえ、今回の企画は技術部メインメンバー使えないからなぁ……」
「そうなの? 面倒ね。まぁ、手伝いはしないけど」
「それなりに準備すればなんとかなるはず。あの二人に頼りっぱなしだと肝心なところで何かやられそうだからね……ぼったくられたら目も当てられないし」
「あの二人ならやりそうね。他にも頼る先を作るのは、まぁ間違いではないわね。そういう面ではその企画も良いのかもね」
「うん。何よりもあの二人を舞台に引きずり出せるのが一番の理由」
「あぁ……確かに、私たちだけ振り回されるのは納得いかないものね。それは、えぇ。本当に成功させないとね?」
「う~ん、メルトがやる気になったぞぅ?」
「あら、不味いの?」
「いや、そういうわけじゃないけどね。ただ、メルトにも協力してもらうのはあるよ?」
「もちろん。楽しめるならいくらでも。でもしょうもないのだったらお腹にくちばしよ」
「ん~……期待に添えるか分かんないなぁ……」
「ふふっ。まぁ、努力しなさい」
悪い笑みを浮かべるメルトに、楽しそうな笑顔で返すオオガミ。
すると、メルトは視線を下に向け、
「それ、大丈夫なの?」
「え? ……あ! っちゃぁ~……作り直しかなぁ……」
「まぁ、そういうこともあるわよ。喋りすぎ注意ね」
「うぅ……メルトにそれを言われるのはなんか納得いかない……」
「ふふっ。これも私の甘い毒かもしれないわね?」
「それならまぁ、ありかもね?」
そんなことを言いながら、オオガミは調理を再開するのだった。
さりげなくお料理出来る子オオガミ君。私が出来るとは言ってない。
年末の企画はコミケから帰って体力があったらですかねぇ……明日と四日目なんですよねぇ……
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ