「うむ! 余の舞台は整った! 此度も余とエリザの対決の場ともなる閻魔亭ではあるが、多方面からの依頼により野外ステージと相成った! 皆の者! 覚悟は良いか!」
ウオオオオオオオオオオォォォォォォ!!! と沸き上がる割れんばかりの大歓声。
ネロは満足げに頷くと、
「では! ここに、第34回ライブバトル開催をここに宣言する!!」
宣言と同時に打ち上がる無数の花火。
夜ならば眩いほどに輝き心に残るであろうそれは、しかし昼間である現在でも爆発音に色彩豊かな閃光で場を盛り上げる。
そして、ネロが舞台袖に消えると同時に、無数のミサイルが舞台より放たれ、その煙幕の中から特徴的な影が現れ、
「さぁ、私たちのライブを始めるわよ!」
爆音と共に、エリザベートの宣言が観客を震わせるのだった。
* * *
それは昨日の事。
突然やってきたネロが言い放ったことが原因だった。
『余もライブをする!』
当然、エリザベートの意見すら悩まず採用する男である。見事即採用。既に会場の下地はあるので、撤収する予定だった機材をBBとノッブに無理を言い再設置させたので、弾丸開催をすることになったわけである。
後は女将の説得をと考えたら、それは既に雀一同が説得済みだったようで、OKが即座に出た。事前に相談しろと突かれたことはこの際隅に置いておくものとする。
そんなこんなで、ライブに備え戦々恐々としつつも、オオガミは自分の部屋でお茶を飲んでくつろぎながらマシュと話す。
「それで、もう完成ですか……早いですね……」
「仕事だけは早いから。それじゃなきゃ遊んでられないってあの二人。まぁ、ネロがライブをする時点で突撃してくる人がいるのは予想済みなんだけども」
そんなオオガミの期待に応えるように、やってくる足音。
勢いよく開け放たれる襖の先には、何やら覚悟を決めているような顔をしているエリザベート。
そして、
「子イヌ! 私も参加するから!」
「当然。既にスケジュールに組み込んでる」
「マジで!? 流石私のジャーマネ! しっかり出来てるわね!」
「もちろん。安心して参加して。どうせ歌えるでしょ?」
「えぇ! 明日楽しみにしてるわね!」
「ほいほ~い」
そう言って去って行くエリザベートに手を振るオオガミ。
マシュはそのやり取りを見ていて、
「エリザベートさんも参加なさるんですね?」
「その予定で組んでたけど、本人もああ言ってるし、参加は確実だと思うよ」
「……参加しない場合はどうしたんですか?」
「いや、それならネロのソロライブだけど」
「なるほど……」
何に感心しているのか分からない後輩に首を傾げるオオガミの元へ、
「儂も混ぜろぉ!!」
襖を破壊しながら入ってきた、完全に予想外の水着ノッブの登場にオオガミは困惑を隠せないのだった。
宿への被害を考えた屋外追い出し。猿も片付けられていくらでも盛り上がれる最高の舞台ですね。これには王様もにっこり。
当然ノッブも混ざる、参加者が増えたある種伝説のライブと化す今回のライブ。なお、毎度伝説になっている模様。
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ