「さて。最近温泉に来ているのを忘れて室内で遊んでますが、いい加減外に出ようぜマスター」
「あれ、ロビンさん怒ってる?」
「いやまったく。10連敗して怒ってるとか無いから」
そう言いつつも、どこかムスッとしているロビン。
イアソンはニヤニヤと笑いつつ、
「良いなそれは! よしよし。んじゃ、裏山に行って獲物狩りだな! 審判は任せろ。この大富豪イアソン様が直々に行ってやろうじゃないか!」
「うわウッザ! おいマスターコイツ蹴って良いか? いや射るわ。とりあえず撃ち抜くわ。毒にして宝具でドン! で良いだろ」
「うわ怖! 何が怖いってそこまで言ってるにも関わらず顔が微動だにしないところだよ! もちっと嫌そうな顔をしやがれ!」
「してるしてる。マスターが笑ってるんだししてるだろ」
「お前は笑ってないで止めろよな!?」
イアソンに言われ、倒れるほどに笑っていたオオガミは起き上がると、
「あはは、いや、ロビンさんに噛みつくのは良いけど、王様キラーですけど、覚悟できてます?」
「いやオレが戦うとは言ってないからな!? むしろお前がやれ!」
「えぇ……イアソン様、こんなか弱いマスターに特攻しろって言うんです……? なんて無慈悲なんでしょう……」
「可愛い子ぶっても可愛くねぇけど声だけは可愛いせいでちょっと背筋がゾッとするからやめてくれ……!」
嫌そうに頭を抑えオオガミに手を振るイアソン。
オオガミはそれを見てニヤニヤと笑うと、
「声だけで弱るとかさてはイアソン様雑魚……?」
「うるせぇ! いいよ分かったやってやろう! この! 大富豪が! 貴様みたいな大貧民に実力でも勝っていることを証明してやる! 行くぞマンドリカルド!」
「えっ、オレっすか?」
「お前以外に誰がいる。現状平民だろうが。さぁ馬車馬のように働け! 私が指揮を執る!」
「さっすがイアソン様。じゃあ富豪なのでロビン側につきますね。ついでにアンリもこっちで」
「あれ、うまく隠れてたつもりなんだがな?」
「残念だけどメンバー全員覚えているからいなくてもバレるのだバカめ!」
「うっわ、今日のマスター荒れてんなぁ……まぁいいや。お供するぜ~」
そう言って、ロビン側につくオオガミとアンリ。
イアソンは傍らにいるマンドリカルドを見て、再度ロビンたちに目を向けると、
「いや不公平すぎないか!? 人数差はあからさまに不利だろ!?」
「あれあれ、天下のイアソン様も平等じゃなきゃ勝てないとか、そういうこと言っちゃうんですか? 悲しいなぁ……イアソン様なら部下が一人でも戦えると思ったんだけどなぁ……」
「いや、流石にそれには乗らねぇからな!? 不利は不利だ。何より上空に対してこっちは何も出来ない! つまり鳥類に対して何も出来ないわけだ! アーチャーを一人寄越せ!」
「いやいや。イアソン様はなにか勘違いしてますね。こっちのパーティーはロビンさん以外無力ですがなにか!? 戦力だけで考えるならそちらの方が圧倒的に有利! 何もおかしいことはないですよ!」
「今回のは個人より集団の方が有利じゃねぇか!」
獲物狩り。つまりどちらがより多く倒せるかと言う問題なのだから、罠や索敵など、人数が多い方が有利なことばかり。なので、個人よりも集団の方が有利、というのは深く考えずとも分かることだろう。
よって、一切ごまかされないイアソンはオオガミに噛みつき、オオガミはそれを丸め込もうと必須なわけだ。
だが、そんな言い合いも突然に終わりを迎える。
「なんだなんだ? 面白そうなことか? グループ分けされてるってことは勝負とか?」
「あ、オリオン」
「あ、どうもっす」
通りすがりの超人オリオン。彼を見た瞬間にイアソンは目を輝かせ、
「よし! オリオン、貴様もこっちのチームだ! これで条件はフェアだな!」
「あぁ!? くそぅ、アンリを蹴ってでもオリオンを入れるべきだったか……!」
「おいなにサラッとひでぇこと言ってんだマスター? 気持ちはわかるが流石に心に来るぜそれ」
「よくわからんが、とにかくイアソンのチームに入れば良いのか? よろしくな!」
「おぅ! よしマスター。こっちはこれで完璧だ。さっさとやろうじゃないか!」
「くそぅ、清々しいまでに良い笑顔をしやがって……! 二人とも、絶対勝つよ!」
「おー」
「おー……って、なんでこうなったんだ?」
「知らね。でも発端はアンタだな」
「言い訳なんざしねぇけど、納得したくねぇなぁ……」
そう言って、六人は裏山に向かうのだった。
特に意味のない10連敗がロビンを襲う……! 普通にやってたら10連敗とかしないのでは……? とか思うも、きっと裏でBBに妨害されてたんだろうなぁと予想。
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