「し……死んでるのだわ……!?」
「んなわけないでしょ。というか、アンタがそう言うとわりと縁起悪いのだけど」
裏山で倒れているオオガミを発見したエレシュキガルとイシュタル。
イシュタルはその辺の木の枝を頬をつつき、エレシュキガルは心配そうに顔を覗き込む。
「それにしても、なんだってこんなところに……うわっ、ロビンとかアンリも倒れてるじゃない」
「本当ね……ん~、巨獣がいた痕跡はあるけど、肝心の本体が見付からないのは逃げられたってことかしら。ということはつまり、マスターはソイツと戦って負けたということなのだわ!?」
「いや、流石にそれはないと思うけど……いや、それもありね。よし。エレシュキガル! とりあえずコイツらを閻魔亭に投げ込むわよ!」
「分かったのだわ! って、イシュタルは?」
「私はその巨獣を探して縛り上げておくわ。だって危険でしょ? こういう時くらい女神らしく始末しなきゃね!」
「……本当にそれだけなのでしょうね?」
「……へ、下手に疑うのもよくないわよ。マスターに嫌われるかもしれないわ」
「そ、そうかしら……でもそれはそれ。そもそも、貴女は前科がありすぎて野放しにしたくないのだけど」
「あぁもう面倒ね! 良いわよさっさと二人で巨獣倒して帰るわよ! 来る日も来る日も温泉ばっかりで体が鈍ってるのよ! そろそろ発散しないといつぞやの真夏のレモネード事件みたいにブクブク太るんだから!」
うがー! と激昂しながら言うイシュタル。
それを聞いたエレシュキガルは顔を赤くしつつ、
「そ、そんな筈無いのだわ!? ふ、太るはずないし!」
「神が集まる神性モリモリなここで食べるものがサーヴァントにとって栄養にならないわけないでしょ! 普通に栄養よ! 太るに決まってるでしょ!」
「う、うそ……そんなことあっていいはずないのだわ……」
「認めないのはいいけど、それはそれとしてさっさと回収して一か所にまとめておかないとサルたちに身ぐるみ剥がれて捨てられるわよ!」
「そ、それは流石に困るのだわ……先に閻魔亭に届けてくるから、貴女はそこで待ってなさい!」
「えぇ~……まぁいいけど、早く帰って来なさいよねぇ~」
そう言って手を振るイシュタル。
エレシュキガルがオオガミ達を連れて行ったのを見送ってから軽く体を伸ばして準備運動をすると、
「さてと。マスターチームは全滅でイアソンチームの勝ちかしら」
「ふはは! やはり私に負けは無い! いやまぁ、あいつらを倒した奴らからは逃げたわけだが」
「いやぁ、流石にアレは無理だろ。勝てなくはないだろうが、割と辛いぞ~?」
「殺されそうになったら助けに入る予定だったんすけど、軽く戦ったら帰っていったんで、そこまで怒って無かったんじゃないかなぁと」
「なるほどね。じゃ、そいつを始末しに行こうかしら。どうせ普通の獣でしょ?」
「魔獣の域に気もしたがな。だが後々面倒そうなのは確かだから始末するのは賛成だ。場所は目星がついているからな。準備ができ次第行くぞ」
「……この男、意外と仕切るわね」
「リーダーとしては優秀だからなぁ……」
無駄にカリスマ性を発揮しているイアソンを見ながら、イシュタルとオリオンはそう話すのだった。
一体何にやられたのか……でも編成的に戦力になるのがロビンさんしかいない時点で勝てる敵は割と少ないのだな……
イシュタルとエレシュキガルって、仲悪かった気がするけどマスターがマスターなので是非も無いですね。ちなみにうちのイシュタルは悲しい事にライダーです。アーチャーは……?
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