「紅ちゃん土産、美味しいんだけど女将はお持ち帰りできなかったんだよねぇ……」
「そう。残念ね」
「軽いなぁ……いやまぁ、マシュも呆れてたけども」
閻魔亭のお土産のまんじゅうを留守番組に渡して回るオオガミと、そのまんじゅうを隣でモグモグと食べながらついてくるエウリュアレ。
旅行も良いが、なんだかんだカルデアが一番安心すると思いつつ、差し出されたまんじゅうを食べる。
「……なんでさっきから食べかけしかくれないの?」
「……なんでかしらね」
「一口で食べれば解決じゃないの?」
「貴方の食べる分が無くなるけど良いの?」
「丸々一つくれればいいと思うんですけど……?」
「それはちょっと出来ないわ」
「えぇ……まぁいいけどさ……」
差し出されたら食べるというのが刷り込まれているのか、食べかけだろうと差し出されれば食べるの繰り返し。
気付けば一箱空いていて、食べさせていたエウリュアレの方が首をかしげていた。
「いつの間にか無くなっていたのだけど……」
「ほとんど食べてないのに不思議だね?」
「えぇ……一体誰がこんなに食べたのかしら」
「誰だろうねぇ~……でも悪くないと思うな~」
「……なによ。私が悪いっていうの?」
「悪くないと思うって言ったんだけどなぁ~?」
「ふぅん? つまり、私が食べたっていうの?」
「どうあがいてもダメなんですか!?」
「ふふっ、冗談冗談。そんなに怒ってはないわ」
「怒ってはいるんだね」
オオガミがそう言って苦笑いをすると、エウリュアレはイタズラな笑みを浮かべ、
「だって、あんなに食べたのにねぇ? 認めないんだもの」
「全部食べかけだったでしょ。自分で一口しか食べなかったのに文句言わないでください」
「うるさいわね……もう一つ寄越しなさい!」
「ダメです。代わりにこれあげるので静かにしててねエウリュアレ」
機嫌を直そうとしているのか、オオガミはエウリュアレに透明な瓶を渡す。
その瓶には色とりどりの小さな粒のようなものが入っており、ラベルには『金平糖』と書かれていた。
「……私を子ども扱いするなんて、覚悟は出来てるんでしょうね? どんなイタズラをしてあげようかしら」
「イタズラをするなら、これは要らないよね。後でメルトにあげようかな」
「ちょっと、要らないとは言ってないじゃない」
「じゃ、どうぞ」
オオガミはそう言ってエウリュアレに手渡すと、すぐさまふたを開けてポリポリと食べていく。
それを見てリスのようだなぁと思いつつ、残りのお土産を配っていくのだった。
エウリュアレ様の行動が暴走気味なの凄い……最近想像以上に暴れ狂ってるなこの女神さま……
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ