「ふっ。狩人は獲物の機微は見逃さねぇのさ。いやぁ、トップですまないねぇ」
「ふっざけやがって! カードに仕込みとかしてないだろうな!? いや、してるだろう絶対!」
「いや、あんだけ表情出てたらガキでも分かるだろ。てっきりわざとだと思ってたらマジでやってたよ。ビックリだぜマスター」
今回のババ抜きバトルは前回の真逆で、ロビンが連戦連勝。イアソン大敗北という状況だった。。
アンリはそれを聞きながら呆れたように首を振り、隣にいるオオガミに話を振る。
突然振られたオオガミはしかし不思議そうな顔で、
「アンリ、今真っ黒だけど、これってあり? 顔見えないからポーカーフェイスとか関係無いよね? 不正では?」
「いやいやマスター。考えても見てくれ。これはマスクだと考えれば簡単なものだろ? マスクだぜマスク。病気の時につけるものでも、お祭りの日に買うものでもあるあのマスク。いや、後者はお面か。どのみちそんな感じのヤツだ。よーするに、誰だってつけられるもんだし、そういうのはつけてるヤツじゃなくてつけないヤツの方が悪くねぇか? つまりオレ悪くねぇだろ?」
「……なるほど?」
「なるほど。まぁ筋が通ってるような気もするわな。じゃあ良いんじゃねぇの? 全員つければ」
「は~、仮面ババ抜きっすか。つまり相手の反応が見れないと……それ、要するに駆け引きが無くなるってことじゃ……あ、いや、なんでもないっす」
「あぁ、確かに。駆け引きのないババ抜きとか、それもはやただのカード交換じゃない?」
説得されかかっていたオリオンとオオガミは、マンドリカルドの一言で我に返り、指摘する。
そんな全員の視線を受けたアンリは、
「チッ。あ~はいはい分かりました~。黒いの禁止ですね~。んじゃ青く発光してやらぁ」
「ぴかーって光るもんね。イルミネーション黒サンタ」
「黒サンタは赤白サンタに対抗して青黒サンタって訳か。そりゃいい。が、年明けたばかりだぞ」
「サンターズも言ってた。年が明けたなら今年のクリスマスがある。つまり既にクリスマスは始まっていると!」
「それ、クリスマスじゃない日が6日しかない計算だよな。サンタになったヤツはおかしくなるのか……?」
「その理論だとアンリも頭おかしいことになるけど」
「あ、じゃあ正常だな」
「手のひらドリルか?」
クルクルと意見を帰るアンリに思わず突っ込むイアソン。
だが、彼はすぐにニヤリと笑うと、
「つまり今まで顔を見せないようにしてきたってことはポーカーフェイスが苦手って訳だ! これで最下位は交代だ! ハッハッハッハッハ!」
そう言って高笑いをしながら、イアソンは再戦を宣言するのだった。
数分後、彼の悲痛な叫びが響いたのは言うまでもないだろう。
なんでこの男衆は書いててこんなに平和なのか。六人集まってババ抜きですよ。絶対楽しいじゃん……
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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