「ほぅ……メルトウイルスだと? 中々興味深い。いかなるものなのか研究させて貰おうか」
「はぁ? 嫌に決まってるでしょ。誰が好き好んで自分の体液を差し出すって言うのよ。バカじゃないの?」
「……そうか。なら興味はない。さっさと失せろ。愚患者に構っているほど暇じゃないんだ」
「は? 殺すわよ」
新しく来たアスクレピオスが、サーヴァント達を一通り見たいと言い、マスター同伴のもと一人ずつ医務室に呼ばれるサーヴァント達。
アスクレピオスの隣にはナイチンゲールがおり、下手なことをすればベッドがいつでも飛んでくる状況だった。
「ちょっと、なんで止めるのよオオガミ! 今ここでこいつを始末しなきゃ私の気が晴れないのだけど! 蹴らせなさい! メルトウイルスを直で味わってもらうわ!」
「ストップメルト! 今は抑えて! 後でいくらでもして良いから!」
「くっ……覚えておきなさい。私は執念深いんだから! 必ず泣かせてあげる!」
「覚えているわけ無いだろうがバカめ。だが貴様のスキルで溶かされかかっているヤツを治療するというのも面白そうだ。是非その時は呼んでくれ」
「なんでアスクレピオス先生はすぐ挑発するの!?」
「バカね。一瞬で溶かすから治す隙なんて与えるはず無いでしょうが! 溶けて消えなさい!」
「失礼。医務室ではお静かに」
直後、砲弾のごとく飛んでくるベッド。
メルトはそれを溶かすことで両断し、自分を抑えているオオガミを守る。そして、
「ちょっと、ナイチンゲール! 今のが当たったら怪我じゃすまないわ!」
「無機物でも溶かせるというのが嘘でないなら問題ないと思ったのですが、そもそも貴女がマスターを置いて逃げるわけもないでしょうに。それに安心してください。即死はしませんので私が必ず助けます」
「マッチポンプ! そんなことをする人だったかしら!?」
「いいえ。ですが、貴女のウイルスのサンプルを採るのには最適だったかと」
「良くやった。これが解明できれば医療の幅も広がるというものだ」
「くっ、とことん迷惑なやつらね……!」
アスクレピオスはそう言って、溶かされつつあるベッドの破片をサンプルとして回収し、メルトは怒りが一周回ってどうでも良くなってきていた。
「……はぁ、もう良いわ。帰る。帰って大人しく本でも読んでるわ。さっさと終わらせて部屋に戻ってきなさいよ」
「う、うん……お疲れ様」
そう言って、力なさげに帰っていくメルト。
オオガミは一緒に出て、
「それじゃ、次の方~……って、劇薬じゃん」
「え、センパイ、面と向かってそういうこと言いますか普通」
待っていたBBを見て、嫌な顔をするのだった。
アスクレぴっぴが想像の何倍も悪い子になっちゃって驚いてる私です。どうしてこうなった……?
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ