「む。ロビンフッドにウィリアム・テルか。何をしているのだ?」
「んあ? あぁ、アタランテか。いや、たまには狩人らしく狩りでもしようと思ってな。戦闘訓練も兼ねてマスター引き連れてウィリアムの爺さんと一緒に適当な山にでもレイシフトしようと思ってな。食料補充も必要だろうし」
「そういうことだ。それと、嬢ちゃんもウィリアムと呼んでくれ。フルネームはムズ痒くて仕方ない」
そう言って、準備を進めていく二人。
話を聞いたアタランテは首をかしげ、
「そういうわりには、マスターがいないようだが……」
「あぁ、マスターには注文したものを取りに行ってもらっててな。すぐ戻ってくると思うんだが……」
「お待たせ~」
「お、ちょうど戻ってきたか」
そう言ったロビンの視線を追って声の方を見ると、段ボールを運んでくるオオガミがいた。
オオガミもこちらに気付いたようで、
「あれ、アタランテも行くの?」
「ん。いや、私は別に――――」
「おぅ。行くぜ。暇そうにしてるしな」
「なっ、ロビンフッド貴様!」
「まぁ良いじゃねぇか。オレたちだって神代の狩人ってのを見てみたいしな。一体どれだけスゴいのかってのをよ」
「もちろん、ワシらも腐っても狩人。負けるとは思ってないが、その技術を見てみたいというのは誰しも思うだろうよ。まぁ、無理にとは言わないがな」
「うん? 決定してない感じ?」
ニカッと笑う二人と、純粋に首をかしげるオオガミ。
アタランテは呆れたように笑うと、
「まぁ、そこまで言われて悪い気もしないし、狩りに同行するくらい問題ない。良いだろう、同行させてもらう」
「よっし。これで三人。相当数狩れるだろ。晩飯は肉厚ステーキか?」
「おいおい若いの。取ってもないのに取った後の事ばかり考えるなよ? 足元掬われるぜ?」
「ふっ、全くだ。だが、気が逸るのも致し方無い。勝負というのはいつでも心踊るものだ」
アタランテがそういうと、ロビンとウィリアムは真剣な顔になり、
「勝負か……考えてなかったが、冷静に考えたらそれもありだな?」
「勝負となりゃ手を抜くわけには行かねぇな……ウーリの狩人伊達ではないというのを見せるしかないだろうな」
「うん? なんだ、勝負ではなかったのか?」
「いいや、今からこれは勝負だな。ルールを明確にしよう」
「三頭で総合重量が最も多い者が勝ちでどうだ。取りすぎは良くないからな」
「構わない。もちろん、三頭以上を狩るのは禁止だ。また、時間は一週間だ。保存ならスカディに頼めば持つはず。三頭狩り終わったら戻ってきて残りを待つというのでどうだろうか」
「一週間は長くないか? 次のイベントに間に合わないだろ?」
「ふむ……なら三日。これでどうだ?」
「意義なし」
「規模がわからんから何とも言えんが……問題ない。獲物の回収はどうする。拠点を決めるか?」
「あ、それならBBにやらせるよ。たぶん暇だろうし」
「えぇ……アイツを使うのか?」
「アビーが良い?」
「……BBを使うほうが心に優しいな。よし。問題なし」
「よし。ではまとめよう」
そう言って、アタランテは一つ咳払いをする。
「一つ、期限は三日間だ。二つ、三頭以上の狩りを禁ずる。また、三頭に届かずとも期限を迎えた場合その時点で狩れていたもののみを判定する。三つ、狩った獲物の総重量が最も大きい者が勝者だ。異論は?」
「なし」
「構わん」
「では、準備が出来次第レイシフトとしよう」
「ワシはもう出来ておる」
「オレも大丈夫だ。っと、マスター。その段ボールは部屋に置いといてくれねぇか?」
「了解。じゃ、BB呼んでくるね~。先に行ってて~」
そう言ってオオガミは駆け出し、BBを迎えに行くのだった。
果たして三日後、三人は生きているのか! 何より私が覚えているのか! 頑張れ三日後の私!
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ