「あら、エウリュアレ一人?」
「えぇ、そうよ。マスターは狩人の戦いを見届けるって言ってレイシフトしていったわ。ほとんど待っているだけの戦いに近いし、何が楽しいのか分からないけど」
オオガミの部屋でベッドに寝転がりながらタブレットを見ているエウリュアレ。
「ふぅん……その言い方だと、まるで見てきたみたいね」
「見てたわよ。数分で飽きたわ」
そう言って、エウリュアレはメルトにタブレットを向ける。
メルトはそれを受け取り見てみると、そこには森が映っていた。
「なにこれ」
「中継映像ですって。BBがカメラを飛ばしまくって森中を監視してるらしいわよ。で、それだけだとつまらないからって言って、中継映像を流してるんですって」
「……ウイルスとか紛れてないでしょうね」
「さぁ。マスターのだから知らないわ」
「問答無用で入れるとか、流石ね。いえ、まぁアイツのならBBも下手なことしないでしょ」
「えぇ。だってタブレットに盗聴とか入れなくてももうマイクもカメラも仕掛けられているものね」
「その度に破壊しているはずなのだけど。また仕掛けられていたの?」
「いいえ? 私は見てないわ。言ってみただけだもの」
「そう……いえ、それに越したことはないのですけど」
そう言って、ベッドに腰掛けるメルト。
エウリュアレはゴロゴロとベッドの上を転がりながら、
「それ、三日間やるらしいの」
「ふぅん……? 意外と長いわね。イベントとか大丈夫なわけ?」
「ん~……一応イベントまでには帰って来れるようにって理由で三日間らしいのよね。本当は一週間だったらしいわよ」
「一週間……完全にイベントとか考えてないわよね」
「全くよね。まぁ、問題はそこじゃなくて、BBが一緒に行ってることなのよね」
「どう言うこと?」
意味深に言うエウリュアレに聞き返すメルト。
すると、エウリュアレは起き上がってメルトの隣に座ると、
「つまりその間BBは手が離せないってことなのよね。で、BBが監視してた問題児が今解き放たれているらしいのだけど、誰が対処するのかしら」
「BBが監視……あ」
その正体に思い至ったメルトは嫌な顔をすると、
「嘘でしょ? 本気で言ってるわけ?」
「本気も本気よ。今まさに行われているけど見る?」
「なんでそこまで準備万端なの……というか、見れるの?」
「現場ならすぐそこに」
そう言ってエウリュアレが部屋の扉を指し示すと、そこにはにっこりと微笑むキアラがいた。
「あらあら、お二人とも……どうかしたのでしょうか。マスターにご挨拶をと思ったのですが……」
「生憎と留守よ。でも、そうね。厨房でおはぎでも作っていれば良いんじゃないの? きっとマスターも喜んでくれるわ」
「まぁまぁ。マスターの事を良くご存じの貴女が言うのです。作ってみてもよいかもしれませんね。それではごきげんよう」
そう言って、大人しく去っていくキアラ。
メルトは嫌そうな顔をしながら、
「大丈夫なの?」
「こっちからなにもしなければ害がないのに騒ぎ立てる方がバカらしくない?」
「……そう言われると、確かにそうね」
メルトはそう言って、ため息を吐くのだった。
だが忘れてはならない。厨房にはまた別のビーストがいると言うことを……(チラッ)ビーストって、なんだっけ……
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ